<中小企業しごと魅力発信プロジェクト>

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株式会社オータマ

株式会社オータマ 科学技術を支える礎の重要な1ピース、磁気シールドのオンリーワン企業<br>資本力勝負の量産品を避け、いち早く少量多品種の磁気シールドに軸足を置き、取引先にとって代替のきかない企業に

株式会社オータマ

科学技術を支える礎の重要な1ピース、磁気シールドのオンリーワン企業
資本力勝負の量産品を避け、いち早く少量多品種の磁気シールドに軸足を置き、取引先にとって代替のきかない企業に

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輝く技術 光る企業

株式会社オータマ

科学技術を支える礎の重要な1ピース、磁気シールドのオンリーワン企業 資本力勝負の量産品を避け、いち早く少量多品種の磁気シールドに軸足を置き、取引先にとって代替のきかない企業に

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  • 社名:株式会社オータマ
  • 設立年月:1964年2月
  • 資本金:1000万円
  • 従業員数:50名
  • 代表者:代表取締役社長 奥村 哲也
  • 社員平均年齢:41歳
  • 初任給:200,000円
  • 主な勤務地:本社
  • 休日:土日祝日、有給休暇、GW、冬期休暇
  • 本社所在地:東京都稲城市押立1744
  • 電話番号:042-377-4311
  • 公式HP:http://www.ohtama.co.jp/
  • 科学技術や医療、モノづくりの最先端の現場では、電気・電子に影響を及ぼさないように、外部から入ってくる磁気を遮断したい場面が往々にして出てくる。株式会社オータマが扱う磁気シールドは、磁気遮断のために使われる部品。多くの出荷量が見込めない少量多品種品を主に製作しているが、科学や医療などの重要な分野において、なくてはならない存在になっている。
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事業紹介

【磁気シールド・遮蔽部品】

通信機器・放送機器・半導体関連の電子ビームや電子顕微鏡・医療機などのシールド用部品です。


【磁気シールドルーム・チャンバー】

外部磁界を遮蔽、または発生磁界の漏洩を防ぐ為に様々なご提案を用意しております。


【磁場キャンセラー】

高感度センサーとヘルムホルツコイルを利用したアクティブ磁界シールドシステムです。


【磁界環境測定サービス】

電子ビーム設置場所の出張測定を行います。その他、各種の低周波磁界測定を承ります。


【熱処理】

パーマロイ・純鉄などの、水素雰囲気中、または真空中での磁性焼鈍を承っております。

磁気シールドのオンリーワン企業が科学技術を基礎から支える

たった一つの部品であっても、それが替えの効かない重要な役割を担っているとしたら、その部品の供給が止まってしまうと、ドミノ倒しで想像以上の大きな余波が生まれてしまうことがある。 株式会社オータマの製作する磁気シールドは、まさにそんな部品。例えば、半導体製造の一工程を担うマスク描画装置の大多数には、外部から入ってくる磁界を遮断する目的で、同社の磁気シールドが採用されている。磁界の影響を受けて、描画に使う電子ビームが曲がってしまうのを防ぐためだ。この領域はオータマのほぼ独占市場。万が一にも同社の生産が長期的に滞るような不測の事態が起こってしまうと、半導体業界に多大な影響を及ぼすことになるだろう。 磁気シールドのよく知られた用途としては、外部からの磁界によって致命的な影響を受けかねないブラウン管テレビ、磁気ヘッド、フロッピーディスクなどが挙げられる。だが、これらの製品はどれも旧世代のものになってしまい、市場規模は全盛期と比較にならないほど縮小してしまった。 「ここ10年で同業他社は、ほとんど撤退していきました」と同社代表取締役社長の奥村哲也氏は振り返るが、「量産品は資本力のある会社が勝つ」と考えた創業社長の方針により、同社は量産品の開発・製造には一貫して手を出さないできた。代わりに、前述の半導体分野、素粒子加速器などの科学技術分野、医療器機や電子顕微鏡などの分野に特化。少量多品種の特殊な磁気シールドに絞って生産することで、対象分野では独占に近いシェアを確保。科学技術を基礎から支えるオンリーワン企業として、創業以来の黒字を続けている。

03.jpg 代表取締役社長 奥村哲也 さん
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板金・熱処理・シミュレーションのすべてができるのはオータマだけ

そうした先見の明に加えて、オータマは戦略的に自社の技術力を磨いてきた。 磁気シールドは、特殊合金(パーマロイ)を板金加工して形を作り、1050度以上の熱処理をすることで本来の磁気特性を持つようになる。板金加工だけ、熱処理だけができる企業は数多くあるが、どちらもできる企業は決して多くない。同社は、板金加工も熱処理も自社工場内で扱える。分業せず、1人の技術者が板金工程を最初から最後まで担当。そうすることで、製品が仕上がる達成感や製品への責任感が養われる。若いうちから全体を見渡せる力を育て、職人の技や勘を伸ばそうと試みている。 「ここはアナログな世界。熱処理にしても、炉へ入れる方法、温度の上昇・下降カーブによって特性の出方が違ってきます。 そしてパーマロイは、高温にかけると曲がってしまいます。熱処理後に金属を叩くと特性が劣化しますから、修正はできません。その曲がり分をあらかじめ考慮して加工したり、曲がらないように治具を工夫したりすることで、コンマ数ミリの精度を出しています。 しかも、私どもが扱うのは数万個も作る量産品ではなく、せいぜい数十個の少量多品種。いちいち試作したりシミュレーションしたりするわけにもいかないので、職人の技・勘に頼ることになるのです」(奥村氏) さらに同社は、磁気シールドによってどこまで磁界を防げるのか、計測・シミュレーションする技術も持っている。これまでに手掛けたシールドの計測データを愚直に入力していくことで、どんな市販ソフトにも不可能な実測値に近いシミュレーションを実現。大手企業の設計協力をするほどの技術力を有するようになった。 そのように「板金・熱処理・シミュレーションのすべてができるのは日本で当社だけ」(奥村氏)という優位性を築き、競合他社との差をさらに拡大し続けている。

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「世の中にない画期的な新製品」で何億もの人を幸せにすることが使命

今後は既存製品・既存市場だけにとどまらず、既存製品の新市場への展開、既存市場への新製品の投入、新製品による新市場へのチャレンジにも意欲を示している奥村氏。特に磁気シールド技術を活かした「世の中にない画期的な技術によって生み出した新製品」(奥村氏)を新市場で展開していきたいとし、「何千人、何万人、もしかすると何億人を幸せにすることができる。金儲けではなく、与えられた使命として取り組んでいかなくてはいけない」と新製品・新市場での事業について、熱い思いを語っている。

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先輩メッセージ
建設業から転身し、「お客様の役に立つ」図面を描けることにやりがいを感じる

営業部 主任
尾上さん

――入社の経緯について教えてください。
前職は建設会社で、営業職として働いていました。ですが建設業界の先行きに不安を感じ、異業種への転職を検討するようになりました。 実は「製造業で働きたい」という強いこだわりを持っていたわけではありません。広い意味では建設業と製造業が同じモノづくりであったこと、前職で培ってきたCADの技術を活かせそうなこと、あとは通勤のしやすさといった条件から総合的に判断しました。 入社後はCADが使えることから設計の部署に配属され、5年ほど図面を描いてきました。2年前には営業に移り、取引先の企業を回る日々を過ごしています。 かなり違いますね。建設業ではメートル単位で図面を考えますが、製造業ではミリ単位です。業界が違うことでルールの違いもありましたので、最初のころは分からないことばかりでとまどっていました。 ですが職場の先輩に恵まれまして、丁寧に指導していただくことで、次第に仕事を覚えていきました。 慣れてみると、製造業の魅力を感じられるようになりました。建設業のCADの仕事では、マンションやビルを少しでも安く建設できるような設計が求められます。一方、当社のCADを使った業務は、困っているお客様からの依頼があって初めて生まれる仕事です。当社だけが持つ磁気に関するノウハウを取り入れながら、お客様から必要とされて喜ばれる図面を描くわけですから、「お客様の役に立っている」という実感が得られます。 特に、要求の厳しい依頼を達成してお客様にご満足いただけた場合、やりがいを感じますね。特殊な形状の磁気シールドを依頼されたことがありまして、通常の2倍の時間がかかりましたが、ようやく完成させて喜んでいただけた時には大きな達成感がありました。 私は主に取引先企業を定期的に訪問しています。相談を受けたら見積もりを作成して、社内の技術者に製作してもらって納品し、納品後にはお客様からの感想を聞き、次に必要な磁気シールドについての要望を伺うようにしています。営業に100%専念しているわけでなく、設計の仕事も10〜20%ほど兼務しています。 営業部は5人体制でして、私を含めた3人で100社ほどのお客様を分担しています。ほかの2人は大型の磁気シールドを担当していまして、設計から納品まで長い期間のかかる案件を見ています。 小さい会社ではありますが、その分、会社全体の動きが見えやすく、社員間に連帯感があって働きやすいです。自分が「こうしたい」と考えたことを提案しやすい雰囲気がありますし、そうした提案に対する意志決定が早く、働いていて充実感がありますね。 社員が少ない分、私が営業と設計を兼務しているように、いくつかの業務を兼ねている社員も多いのですが、やりがいを得やすい職場だと感じています。 まずは営業としての実力を磨いていきたいですね。競合がほとんどいないため、有名な大企業に伺ってお話をする機会も多いです。今はまだ鋭い質問をされて冷や汗が出たりしますが、いつか対等に渡り合えるように成長したいです。 私は営業になって日が浅いからか、まだお客様の中には前任者に対する印象が残っているようです。お客様にとって「オータマ=尾上」であると認識いただいて、頼りにしていただけるようになりたいと考えています。 昨年、奥村が社長に就任して以来、当社は少しずつ変化してきていますので、変化に取り残されないように、自分自身も進化していかなくてはいけません

08.jpg 尾上さん
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