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有限会社 オクギ製作所

有限会社 オクギ製作所 不可能を可能にする超微細ワイヤーカット放電加工<br>超微細ワイヤーカット放電油加工に特化することでオンリーワン企業に

有限会社 オクギ製作所

不可能を可能にする超微細ワイヤーカット放電加工
超微細ワイヤーカット放電油加工に特化することでオンリーワン企業に

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輝く技術 光る企業

有限会社 オクギ製作所

不可能を可能にする超微細ワイヤーカット放電加工 超微細ワイヤーカット放電油加工に特化することでオンリーワン企業に

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  • 社名:有限会社 オクギ製作所
  • 設立年月:1957年(昭和32年)7月
  • 資本金:5,000,000円
  • 従業員数:8名 (平成22年12月現在)
  • 代表者:和氣 幸博
  • 本社・工場所在地:東久留米市八幡町三丁目14番27号
  • 本社連絡所:東京都杉並区上井草町三丁目18番21号
  • 電話番号:042-471-0867
  • 公式HP:https://www.okugiss.jp/
  • 金型や歯車の製造など、産業の現場では非常に重宝されているワイヤーカット放電加工。ワイヤーカット放電加工とは、電極となる0.数ミリ程度の髪の毛よりも細いワイヤー線に電流を流し、金属など導電性の工作物との間の放電現象により、工作物とは非接触で行う溶融加工のことである。レーザー加工などに比べて時間は掛かるが、より精度の高い加工が可能である。有限会社オクギ製作所は他社には真似できない超精密加工をワイヤーカットによって行う企業である。その高い技術力を求め、ホームページで全国から様々な依頼があるという。
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業種

精密ワイヤーカット加工
フィルム抜き金型、および製品加工

事業紹介

精密微細ワイヤーカット油加工に特化しており、微細ワイヤーカット線は、細線0.03mmより0.2mmまでの仕様で対応いたします。 加工精度、面精度においては、通常の水加工にくらべ、酸化被膜が少なく、数段良好な面(最良で0.1μmRz)までの加工が可能です。歯車、接点の先端部の微細加工に適します。寸法精度においても、±1μの加工も可能としています。各種破壊テストパーツや、微細試作部品、超硬、ダイヤモンドコンパックス等の難加工材の精密加工を得意としております。 角穴の精密加工、上下異形状などの加工を行っております。検査能力としては、光学式3次元測定や、キーエンス社製のIM画像測定器、マイクロスコープを所有し微細加工の精度向上を目指しております。 フィルム抜き加工は、0.18〜3mmぐらいの製品の加工をしており、主に弱電、自動車計器類のイルミネーションなどの特殊フィルムの加工では、長年の経験より微細加工で養った技術で金型を作成し、加工して多くのメーカーに納めています。

苦労して高めていった、他ではできない精密加工技術

和氣 幸博さん 有限会社オクギ製作所 代表取締役 東久留米市に工場を構える有限会社オクギ製作所は、1951年1月に先代社長が創業したという、59年の歴史を持つ企業。電気部品、事務機部品、液晶部品の金型製作やプラスチック板のプレス加工といった加工業を専門におこなってきた。近年では超精密のワイヤーカット放電油加工に特に力を入れており、0.2mmから0.03mmという精密な加工技術は産業展示会などでも高い評価を得ている。2代目経営者である和氣幸博社長から会社の沿革についてお話を伺った。 「私が入社したのは1973年(昭和48年)の事です。当時はラジオ、ステレオのシャーシや部品やテレビの後ろの背面パネルなどのプレス加工を行っていました。金属とフィルムの両方のプレスをやっていたのですが、金属プレス加工は近隣の住宅への騒音問題や、海外の工場での加工が多くなってきたこともあり、次第にやらなくなっていきました。その時期に縁あって、金属プレスに取って代わるように、ノートパソコンなどに使われる特殊フィルムの加工用金型を作ることになり、プレス加工も行うようになったのです。特殊フィルムは素材に独特の癖があり、精度が重要なため、金型をつくるにもプレスするにも高い技術力とノウハウが必要なのです。」 「そして、15年程前からワイヤーカットの油加工機を導入しました。最初は1台の加工機を導入しましたが、使い方もわからなかったですし、本当に大変でした。導入当時はいっぺんに水の放電加工機を3台動かしながら営業活動を行うというような事もありましたね。そうした苦労の末、ワイヤーカットの加工でミクロン単位の微細加工が可能なまでの技術力を持てるようになりました。ワイヤーカットによる微細加工は受注の数が少なく利益はそれほど多くはないのですが、他社には簡単に真似できない将来性のある技術力だと感じています。」 ワイヤー放電加工は産業の現場ではよく用いられる技術であるが、もちろん加工機さえあれば誰でも微細加工が可能という簡単なものではない。微細加工を行うには治工具の選定や綿密な加工段取りなどの卓越したノウハウとひらめきとも言える加工方法のアイデアが必要であるという。

okugi-04.jpg 代表取締役 和氣 幸博さん
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okugi-26.jpg 厚さ7mの金属板に0.1mmの溝が深さ2.4mmで均等に加工されている。
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インターネットによって全国に自社の技術力をアピール

非常に高いワイヤーカット放電油加工技術を持つオクギ製作所であるが、試作では1個から製造を請け負うという。また、この高い技術力をアピールするために、受注はインターネットにより全国から受けつけている。製造業を専門とした中小企業としては非常に先進的な営業スタイルだといえる。和氣社長はこの営業スタイルについてこう語る。 「2000年にホームページを作りまして、以来、自社の技術力を常に発信するようにしています。今の時代、仕事を依頼する事に距離はさほど関係ありませんからね。ホームページから仕事を受注することもけっこう多く、日本中から問い合わせが来ますよ。最近では私のブログを開設しました。こまめに更新していくことが営業活動にもなっていると思います。ブログはコストもかかりませんし、情報を発信するのにとても良い手段ですね。とはいえ、インターネットでの受注は、全国の同業者が競合になってくるために、生半可な技術力ではやっていけないという厳しい部分もあるのです。」 また、少数の試作品から大量生産のプレス加工までを手がけるオクギ製作所では、品質管理にも徹底して力を入れている。 「品質管理では全ての製品で加工工程表を作成し、工程表にしたがって作業を行っています。そのため万が一何か問題が生じた場合はすぐに原因究明と再発防止の対策を取ることが可能です。この管理体制は当社独自のものですが、ISOに匹敵する管理を行っていると自負していますね。」 最後に和氣社長は日本のものづくり企業についてこう語った。 「私はものづくりがコストの安い他の国に移っていくのは当然の流れだと思っています。そんな中で、ドイツやスイスのような国にいまだに製造業が残っているのは何か特化したものがあるからだと思います。今後日本のものづくりを残していくためには、企業が何か特化した物を持たなければならないのでは、と思います。」

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先輩メッセージ
限られた時間と材料の中で技術を極めていきたい

小野寺 雅人さん
ワイヤー担当
ワイヤーカット放電加工を一人で担当している小野寺さんは入社12年目。オクギ製作所の微細加工技術を一手に担う職人である。 --今の仕事内容について教えてください。 「ワイヤーカットの微細加工の担当です。ワイヤーの加工は初めは社長に教えてもらい、その後はCADの導入も含め、ほぼ独学で学んでいきました。微細加工の技術が身についていったのはお客様の要求に応えていった結果だと思いますね。毎回違った図面が来るので面白い仕事ですよ。」 --微細加工を行う上で気を付けているのはどういうところですか? 「ワイヤーによる微細加工は設置や段取りのノウハウが必要で、前例の無い難しい物の加工はアイデア勝負になってきますね。一見すると加工するのが不可能に見えるような製品の加工も、試行錯誤を繰り返しながらなんとか加工しています。そういう難しい加工は一晩考えて作戦を練って、実際に加工してみて、それでも失敗する場合もありますからね。初めて加工する仕事が多いので大変ですよ。すでにいくつかの加工工程を経てきたものを加工する場合も多いので、できるだけミスをしないようにと気を付けています。」 --職人としての今後の目標を教えてください。 「研究職ではありませんので、時間や材料などいろいろな制約はあるのですが、これからももっと技術を極めていきたいと思っています。毎回新しい方法を見つけていくという仕事はすごく面白いですよ。今は一人で作業を行っていますが、これまで培ってきたノウハウを教えていきたいという気持ちはすごくありますね。」 --ありがとうございました。最後に、ものづくりを志す後輩へメッセージをお願いします。 「中小企業では即戦力であることが要求されると思いますが、責任が大きいので面白いと思いますよ。私は専門的な知識を持って仕事を始めたわけではないので、学歴や経験など関係なく、難しく考えずやる気と向上心さえあれば技術は身に付ける事ができると思います!」

okugi-21.jpg 小野寺 雅人さん
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