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株式会社 ピー・エス・インダストリー

株式会社
ピー・エス・インダストリー 警察が捜査に使う鑑識機材を、一式揃えられるメーカー <br>犯罪捜査を科学的なものにするために。指紋・足跡などの証拠を集める6000点以上もの鑑識機材を開発

株式会社 ピー・エス・インダストリー

警察が捜査に使う鑑識機材を、一式揃えられるメーカー
犯罪捜査を科学的なものにするために。指紋・足跡などの証拠を集める6000点以上もの鑑識機材を開発

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輝く技術 光る企業

株式会社 ピー・エス・インダストリー

警察が捜査に使う鑑識機材を、一式揃えられるメーカー 犯罪捜査を科学的なものにするために。指紋・足跡などの証拠を集める6000点以上もの鑑識機材を開発

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  • 社名:株式会社 ピー・エス・インダストリー
  • 設立年月:1947年4月
  • 資本金:3,000万円
  • 従業員数:17名(役員・パート含む) 2014/6/17現在
  • 代表者:代表取締役 清水 康明
  • 社員平均年齢:43歳(役員・パート含めず) 2014/6/17現在
  • 初任給:150,000円 ~ 240,000円
  • 主な勤務地:本社
  • 休日:土日祝日・有給休暇
  • 本社所在地:東京都世田谷区赤堤5-35-4
  • 電話番号:03-3322-5301
  • 公式HP:http://www.psiltd.co.jp/
  • ・ 犯罪捜査に使う鑑識機材を6000点以上も開発・製造
  • ・ 都道府県ごとの要望や、機材の相性まで考えて“最適”を提供
  • ・ 犯罪抑止にも効果!使い勝手がいいペン型マグナブラシ
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業種

・犯罪捜査用鑑識機器の製造・販売 
・犯罪捜査用鑑識薬品の販売
・キャビネット・保管庫の製造・販売

事業紹介

初代社長・清水建司は内務省警保局に在籍しておりました1945年11月、日本警察の近代化の一環である鑑識課設置に併せて退職し、民間協力の立場で警察科学研究所を設立、鑑識器材の開発に着手いたしました。

それ以降も鑑識器材の要望は日を追って増加し、1947年4月には組織を株式会社に改め、社名を「ピー・エス・インダストリー」と定めて鑑識機器専門メーカとしての第一歩を踏み出しました。

以来60年、一貫して鑑識機器の研究開発に努めてまいり、現在では国内はもとより海外の警察機関の要望にも応えております。

【事業内容】 犯罪捜査に使う鑑識機材を6000点以上も開発・製造

犯罪が起きてしまったら、犯人を特定・逮捕するため、指紋や足跡、だ液といった証拠を集めなくてはならない。そうした証拠を科学的に収集するのに必要な鑑識機材を作っているのが、ピー・エス・インダストリーだ。 例えば指紋を採取するのなら、ドアノブや窓枠、家具など、犯人が触っていそうなところに粉末等の薬品を振り掛け、刷毛を使って余分な粉末を取り除く。すると指紋が浮かび上がってくるので、ゼラチン紙という特殊な紙を当てて指紋を転写。警察署に持ち帰って専用の光学装置を使って鑑定する。そういった粉末・刷毛・ゼラチン紙・鑑定装置などの機材を、同社は延べ6000点以上も開発・製造している。

03.jpg 鑑識が犯罪操作時に持ち込むさまざまな機材を
開発・製造している

【独自戦略】 都道府県ごとの要望や、機材の相性まで考えて“最適”を提供

捜査に使用する鑑識機材は、都道府県の警察がそれぞれ選んでいる。寒暖や湿度などの気候条件によって機材の使いやすさは変わってくる上に、都道府県ごとに鑑識方法を工夫していて使用する機材も異なる。そうした細かな違いに対応した製品を作り続けた結果、取り扱う製品数は6000点以上にもなった。 さらに「粉末Aで採取した指紋を鑑定するなら装置Bが最適」といったように、粉末・刷毛・鑑定装置などの組み合わせにも適性がある。最適な組み合わせで、より精度の高い鑑定を実現するために必要な機材を一式そろえて開発・提供できるのが、同社のセールスポイントだ。

04.jpg お客様の要望に耳を傾け、
顧客ごとに最適化した製品を納品する

【プロジェクト】 犯罪抑止にも効果!使い勝手がいいペン型マグナブラシ

同社が開発した製品の中に、ペン型マグナブラシがある。マグナブラシとは、磁力を帯びた指紋採取用の粉末を吸い付けるブラシ。同製品はそれをペン型に収めて、鑑識官が胸ポケットに入れて持ち運べるようにしたものだ。 従来のブラシの形状では、持ち運ぶ際にかさばって、吸い付けた粉末も飛散してしまう。使い勝手が悪く、必要なときにだけ持ち出されていた。 それが携帯しやすいペン型マグナブラシの登場によって、鑑識官ばかりか一般の警察官も常備できるようになった。粉末を入れた小瓶と組み合わせれば、その場で指紋採取できる。「すぐに指紋を採られるかも……」と認識が広まれば、犯罪抑止にもつながる製品だ。

05.jpg 指紋がありそうなところに粉末を振り掛け、
ペン型マグナブラシで吸い付ける

社長メッセージ
若手の意見を否定しない。「やってみよう」という社員の姿勢こそが、成功の原動力に

代表取締役
清水 康明さん
――鑑識機材という特殊な製品を手掛けるようになったのは、なぜでしょうか。 戦前、警察活動に従事していた当社創業者は戦後、「これからの警察は、科学的根拠に基づいて捜査しなくてはならない」と考え、1945年、警察科学研究所を立ち上げました。そしてその2年後、同研究所を母体に、当社が設立されました。 もともと創業者と警察とのつながりが深く、一緒になって鑑識機材を開発していたわけです。そんな経緯があって当社は創業当初から、警察で使われる鑑識機材を扱うようになりました。 警察と一緒になって開発した製品の中には、当社の看板商品であるゼラチン紙があります。指紋は建物や家具に付いていますが、捜査のためとはいえ、家具などを警察まで持ち帰るわけにはいきません。そこで指紋を転写して持ち帰られるように、ゼラチン紙を開発したのです。 残念なことに、逮捕されないように悪い人たちはさまざまな工夫をしています。私たちも次々と開発される最新の機能性材料を使うことで、より捜査に役立つ新しい機材を作り出そうとしています。 最近の例で言うと、ブラックライトのような特殊な波長の光を当てる装置を開発しています。その光を浴びると発光する粉末と組み合わせて使えば、これまでよりも指紋の採取や鑑定がやりやすくなるのではないかと期待しています。 粉末や塗料を提供してくれる協力会社との情報交換に、十分な時間を割くことです。 例えば塗った後に触ると指紋が残りやすいペンキがあるとすれば、ペンキとしては失敗作かもしれません。けれど当社にとっては、そんなペンキが指紋の検出に役立つかもしれません。 そうした失敗作の情報は「指紋の発見に役立ちそうな製品はありませんか?」と聞いても出てきません。「最近、どんな製品を開発しました? 失敗したのなら、どんなところが悪かったのですか?」とじっくり時間をかけて細かいところまで質問することで、情報を拾い集めているのです。 そうして情報を収集しても、製品開発に生かせるものは、全体の100分の1、いや1000分の1もないでしょう。それくらい、結果がすぐに出ない仕事だと覚悟して、腰を据えて取り組んでいます。 新入社員の意見にも、耳を傾けています。過去に失敗したアイデアでも、最新の素材・技術を使えば成功するかもしれません。「以前、失敗したことがある」「そんなのうまくいかない」と頭ごなしに否定せず、まずは挑戦です。そうして育んだ社員の「やってみよう」という姿勢こそが、製品開発を成功させる大きな原動力になるのです。 今後は海外売上を増やしていきたいです。 今、鑑識機材を必要としているのは、日本以外ではアメリカやヨーロッパの先進国くらいしかありません。けれど今後は、新興国の中から科学的な捜査を必要とする警察が増えてくるはず。潜在的な市場規模は大きいと予測しています。 日本の鑑識技術は世界の中でもトップクラスです。それを支える機材を世界の皆さんに紹介して、使っていただけるようにしていきたいですね。 プロになってください。自分の頭で考え、自分の力だけで仕事をやり遂げられるようになってください。 最近は、何でもマニュアル化されています。確かにマニュアルを読めば、ある程度はすぐできるようになります。けれど、マニュアルに頼っているうちは、器用なアマチュアでしかありません。営業のプロ、設計のプロ、製造のプロ。どんな仕事でも、プロになってください。

06.jpg 代表取締役 清水 康明さん

先輩メッセージ
もっと世界に目を向けて、当社の製品が世界各地で使われるようにしていきたい

営業部 主任
長﨑さん ――どんな縁があって、この会社に入社されたのでしょうか。
当社で働いていた伯父に、「この会社で働いてみないか」と声を掛けられたのがきっかけでした。 それまで、「モノづくり企業で働こう」という志があったわけではありません。けれど伯父から「警察の鑑識が使う機材を作っている会社だ」と説明を受けまして、「普通の会社が扱っていない特殊な製品を作っているのは面白そうだ」と感じました。 それで興味を持って面接に訪れてみると、会社は静かな住宅街の真ん中にありました。のんびりとした雰囲気の中で、先輩たちは落ち着いて仕事をしていました。「こんな職場なら、安心して働けるだろう」と好印象を持ちましたね。 お客様との打ち合わせ、電話の応対、書類作成、そして注文品を手配して納品するところまで、幅広い業務を任されています。 時には、お客様から「指紋検出に使う刷毛の毛の長さをもっと長くしてほしい」といった要望を頂くことがあります。そんなときは、「要望どおりの品物ができるか」と社内で製造担当者と話し合って、できる限り改良した品物を納められるように努力しています。 具体的な要望として出てこなくても、お客様から「こんなところで困っている」と相談いただくこともあります。そんなときには、こちらから「こんな改良をしてはどうでしょう」と提案して、製品を開発することもあります。 そうして開発された新製品の中には、お客様から高く評価いただき、他の都道府県で活躍する鑑識の方々にも使っていただけるようになるものも出てきます。そうなったときには非常にやりがいを感じますし、自分たちがゼロから育てた製品が広まっていくところに、モノづくり企業で働く魅力を感じます。 小さな会社ではありますが、お客様の要望・相談に迅速に対応して、社会の役に立つ製品を世に送り出せる。そんな仕事ができることを誇りに感じています。 当社で働くようになって10年が経ちました。仕事に慣れて、新製品・改良品を生み出していく流れも分かってきましたが、まだ細かな改良にとどまることが多いです。いつかもっと画期的な新製品を生み出して、社会に貢献したいです。 また鑑識用の機材は非常に特殊なものですから、日本だけを対象にしていては、それほど多くは売れません。もっと世界にも目を向けて当社の製品を輸出し、世界各地で使っていただけるようにしていきたいと夢見ています。 私自身、学生時代には「こんな仕事をしたい」と明確に思い描けていたわけではありません。ただ、「英語を使った仕事をしたいな」とは漠然と感じていましたから、英会話を習って海外留学もしました。 そうして身に付けた英語力は、当社で働くようになってからも、海外の取引先とやり取りする場面で生かせています。 そのように、自分が興味を持ったこと、得意だったことを学生でいる間に磨いておいてください。将来働くようになってから、きっと何らかの形で役に立つと思いますよ。

07.jpg 営業部 主任 長﨑さん

先輩メッセージ
製品開発でぶち当たる壁、乗り越えるための工夫は意外なときに思い付くことが多い

製造部
板橋さん
――こちらの会社に応募したきっかけを教えてください。 父親から「この会社が若手社員を募集しているから、受けてみてはどうだ」と勧められ、応募してみました。 「警察が捜査に使う機材を作っている」と父親に説明されたのですが、それだけでは漠然としていて、作っている製品をなかなか想像できませんでした。けれど実際にモノづくりの現場を見学させていただいて、ニュース番組に出てくるような製品をいくつか見掛け、「こんなものも作っていたのか」と驚きました。今もニュースを見ていて、「当社の製品が出てきた」と気付くことがよくあります。 専門学校で電気関係のことを学んでいましたから、その知識を生かして、今はLEDを使った装置を開発しています。犯行現場で特殊な波長の光を照射して、指紋を浮かび上がらせる装置です。 “開発”といっても、私は設計だけをやっているわけではありません。LEDを収納するのに適切な大きさの筐体が市販されていないかと調査したり、足りない部品があったら自分で試作してみたりと多くの業務を自分でやっています。 新製品の設計を考えるのも楽しいのですが、私としてはそれ以上に、設計した図面を現実の形にしていくときに胸躍ります。ボール盤や旋盤を使って、自分で部品を加工するのも好きです。普段は厳しい上司から「この加工はうまくできたな」とほめられたときには、うれしくなりますね。 他にも、なかなか設計どおりにうまく形にできなくとも、工夫して壁を乗り越えられた瞬間が好きです。最近では、LEDにつなぐケーブルが固定できず、装置を動かすとケーブルが揺れてしまうことが気になっていました。そこで装置内の板に穴を空けて、ケーブルを通してみたのです。うまくケーブルを固定できたので、「いい工夫ができた」と思えました。 そうした壁を越えるための工夫は、意外なときに思い付くものです。私の場合は、帰り道にコンビニなどで買い物をしているとき、「この商品のアイデアが、開発中の製品で使えるかもしれない」とひらめくことが多いですね。 社員数は決して多くはありませんが、その分、「社員1人1人をしっかり育てよう」と丁寧に仕事を教えてくださいます。 ボール盤や旋盤を使った加工にしても、私は入社するまで未経験でした。なんとか上司にも評価してもらえる品質で加工できるようになってきたのも、上司や先輩が丁寧に教えてくれたからだと思いますね。 まだ修行中の身ですから、まず何より自分自身を成長させて、技術を磨くことが大事だと思っています。 旋盤加工はある程度覚えてきましたが、曲げ加工など、身に付けなくてはいけない技術はまだまだたくさんあります。そうした技術を1つずつ習得していきたいです。 いろいろなものに興味を持ってください。私が試作品の開発中に壁にぶち当たったとき、ふとした瞬間にひらめくことが多いように、「仕事の役には立たない」と思っていたことでも、意外と後から役立つこともあるのです。 引き出しが多い方がいろいろと有利ですから、いろいろなことに興味を持つことがとても大切だと思います。 注)掲載している情報は、取材日(2014年6月)時点のものです。

08.jpg 製造部 板橋さん
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