<中小企業しごと魅力発信プロジェクト>

中小企業しごと魅力発信プロジェクト 東京カイシャハッケン伝 東京カイシャハッケン伝

文字サイズ

理学メカトロニクス株式会社

理学メカトロニクス株式会社 科学技術および産業分野で世界トップクラス<br>半導体産業を支える磁気シールユニットで最高レベルの技術力の供給責任を果たしています

理学メカトロニクス株式会社

科学技術および産業分野で世界トップクラス
半導体産業を支える磁気シールユニットで最高レベルの技術力の供給責任を果たしています

main_rigaku
輝く技術 光る企業

理学メカトロニクス株式会社

科学技術および産業分野で世界トップクラス 半導体産業を支える磁気シールユニットで最高レベルの技術力の供給責任を果たしています

main_rigaku
  • 社名:理学メカトロニクス株式会社
  • 設立年月:1989年2月3日(平成1年)
  • 資本金:3,000万円
  • 代表者:志村 晶(リガク 株式会社)
    西森 俊光(理学メカトロニクス 株式会社)
  • 所在地:

    【本社・東京工場・X線研究所】東京都昭島市松原町3-9-12
     TEL:042(545)8117(代)
     FAX:042(544)9605
    【大阪支社・大阪工場】大阪府高槻市赤大路町14-8
    【山梨工場】山梨県北杜市須玉町若神子4495-8

  • 公式HP:http://www.rigaku-mechatronics.com/
  • 私たちは、パソコンや携帯電話、薄型テレビやLED等、実に多くのハイテク製品に囲まれての日常生活を送っています。しかも、これらは、日々進化を続けており、新たな製品の開発もメーカー各社で激烈な競争をしています。これらに組み込まれている半導体の製造装置に欠かせないのが、過酷な環境下で可動部分から全く汚染物質を出さないクリーンな軸受としての磁気シールユニットです。
  • 1952年(株)リガクが世界で初めて商品化した回転対陰極型X線発生装置(ローターフレックス)で真空中に回転対陰極を高速回転させる装置を世に送り出しました。その後、四半世紀を過ぎた1978年、現在の磁性流体を使用した磁気シールユニットの原型が開発され、ローターフレックスへ搭載されました。理学メカトロニクスは、その後リガクが10年間培った磁気シールユニットの技術を基に、1989年磁気シールユニットメーカーとして誕生したのです。
intro_img

業種

理科学機器の製造・販売

事業紹介

私たちリガクはX線分析・熱分析・X線非破壊検査機器のメーカーとして社会と時代のニーズに応える製品とサービスの提供を半世紀上にわたり続けてきました。その間、世の中の状況はめまぐるしく変わり続け、私たちを取り巻く環境もますます複雑になってきています。
そうした中、国内トップシェアを誇る私たちリガクのさまざまな製品群は、時の流れとともにその活躍の場を拡げています。

他社製品の数歩先をいく、耐久性・精度と絶対的な信頼性

「当社の主力製品である、磁気シールユニットは、1952年にリガクが回転対陰極型X線発生装置(ローターフレックス)を世界で初めて商品化したことに由来しています。これは、回転対陰極を真空中で高速回転させ、強力なX線を発生させる装置でした。その当時の真空シールがゴムパッキンであったことから、様々な不具合が発生したわけです。そこで、磁性流体を使用した磁気シールユニットが開発され、搭載されることになりました。その技術を基に磁気シールユニットメーカーとしてリガクから分社化したのが、当社なのです。」 西森社長は、理学メカトロニクスの成り立ちをこのようにお話しされました。さらに、磁気シールユニットの競争力の源泉は技術力にあると力説されました。 「磁気シールユニット自体は、現在ではいくつもの競合メーカーがあります。その基礎理論の1つは、磁性流体。これは、NASAの宇宙開発技術なのです。それをいち早く事業化したのはリガクでした。その当時から、X線分析装置を中心とした科学技術および産業分野で世界トップクラスの企業であり、現在でもX線分析装置では、国内シェア80%を持ち、海外でも75カ国以上で利用されている世界3大メーカーの1つです。そのリガクが10年間培った磁気シールユニットの技術、特に磁性流体に関する基礎材料開発と、ユニットにおけるリガク独自の磁気回路構造、それを可能とした高度な加工技術・組立技術は世界トップクラスです。ですから、他社製品の数歩先を常にいく、絶対的な信頼性のある製品を提供しています。」 元々は、自社製品に搭載されていた磁気シールユニット。それが、回転部分から全く汚染物質を出さないクリーンな軸受けとして、半導体製造装置や産業ロボット、電子顕微鏡を始めとした理化学機器に採用され、一大市場を確立していったのです。

rigaku_ph01.jpg 西森 俊光社長

難題をクリアすることで鍛えられてきた技術力

約10年前のことですが、次世代の300mmを超える400mmのシリコン単結晶の製法を確立するため、当時の通商産業省と国内メーカー7社の共同出資で(株)スーパーシリコン研究所が設立され、MCZ法を採用して、単結晶インゴット製造方法を確立するプロジェクトが企画されました。MCZ法は溶融状態のシリコンに、0.5テスラの強磁場が使用されるため、採用される磁気シールは磁場に影響されないことが絶対条件となりました。この難題を解決するメーカーとして理学メカトロニクスに白羽の矢が立ったのです。 西森社長に、その時の様子をお話しいただきました。 「技術的な解説となりますが、リガク独自の磁気回路構成として磁気回路をポールピースと呼ばれるスペースの中に収まる構造としているので、磁気シールから磁場の漏えいが少ないのです。したがって、外部磁場の影響も受けにくいのです。この磁気シールユニットが400mmのシリコン単結晶の引き上げに貢献したことで、当社の磁気シールユニットが優れた耐外部磁場特性を有していることが証明されました。この他にも、原子力研究機構(JAEA)と高エネルギー加速器研究機構(KEK)が東海村に建設を進めていた大強度陽子加速器施設(J-PRAC)にも中性子チョッパー用の磁気シールユニットを納入しています。これも、当社の基礎技術力と、過酷な環境下でも絶対的な信頼性を担保する当社の技術開発能力が高く評価されたからです。」

rigaku_ph02.jpg
rigaku_ph03.jpg

たゆまぬ研究開発への投資を継続、最高レベルの技術力を提供していきます

全てのモノづくりが、グローバルメガコンペティションの中にあります。これは、磁気シールユニットといえでも例外ではありません。しかし、西森社長は、価格競争に関しては毅然とした対応をしていきたいと言われました。 「中国・韓国等新興国メーカーの進出で、低価格の磁気シールユニットというものも多数出回るようになりました。しかし、当社では、技術力を世界最高レベルに維持していくことで販売を強化していきたいと考えています。なぜなら、引き上げ炉(シリコン単結晶インゴット)、半導体製膜装置、LED製造装置、イオン注入装置、太陽電池製造装置等に搭載される磁気シールユニットには、信頼性と耐久性への高い要求が常に求められるからなのです。高真空に加え、クリーン度も原子レベルでのクリーン度の要求があります。そして、これらを常に保証する絶対的な信頼性が必要なのです。半導体の製造装置に搭載された場合に、磁気シールが原因でラインがとまると億単位の損害が発生しますから。採用して頂くための技術力は最高レベルである必要があるのです。そのため、これは親会社のリガクとほぼ同じように毎年売上の10%前後の研究開発費を投入しています。中には、これまでの技術を根底から改善するような画期的な技術開発にも取り組んでいるのですよ。」 「特に半導体製造装置の業界は、製品の微細化・高密度化の方向にあります。これらを実現するためには、高いクリーン度はもちろん、高温環境や活性ガス環境等の過酷な環境に耐えうる磁気シールユニットの開発が求められます。それとともに必要なのは、提案型の営業スタイルでしょうか。お客様はより一層グローバルな広がりを見せています。特にこれから注目したいのはアジアです。アジアマーケットへの対応力をつけていくためにも、語学力UPなどの人材育成も重要です。」

rigaku_ph04.jpg
rigaku_ph05.jpg

幅広い視野を通じて物事の本質に近づく探究心を持つ人に出会いたい

最後に、西森社長にどのような人材が理学メカトロニクスに必要なのかをうかがいました。 「これから、社会人となる学生さんに申し上げたいのは、残念ではありますが、学校で学んだことが即役立つとは限らないということです。したがって、これは当社に限らず、物事の本質に近づくための手法や応用性、発展性を重視し、単に知識を得るだけではなく幅広い視野が持てるよう努めて頂きたいと思います。そして、これからの日本を支える皆さんには、成長性のある海外市場で活躍するためにも、語学力は必須です。当社では、このような考え方やスキルを身につける意欲がある方であれば、活躍できるフィールドは無限に有り、活躍の場を切り開いていけると信じています。最後に、社会人として働く意義は、単にお金を得る事ではありません。働くということを通じて、自己の人間形成を形作ることです。そして社会に貢献することで、社会に対する責任も全うできるのです。」 世界でトップクラスの技術を常に追求する研究開発型企業、リガクグループ。その企業理念は「科学技術の進歩を通じて、人類社会の発展に貢献する」。 理学メカトロニクスは、この理念を念頭においたモノづくり・人づくりに今日も取り組んでいます。

rigaku_ph06.jpg
rigaku_ph07.jpg

先輩メッセージ
質実剛健な営業スタイルができる会社です。

大阪支店 真空機器グループ
樋川 藤人さん
私が当社へ入社したのは、本社近くに住まいがあって、少年時代からこの会社で仕事をしてみたいなぁ。という漠然とした夢があったからです。その頃は、大きな敷地があり工場がある会社というイメージでしかなかったのですが、高校を卒業する頃に世界的なX線分野でのメーカーということを知り、ますます興味を持ち、入社させていただく事ができました。 私は、装置メーカー・デバイスメーカーに納める磁気シールユニットを販売しています。これは、半導体や有機EL、LED、太陽電池等の最先端技術を駆使している製造装置に搭載されるものです。ですから、競合他社も含め、激烈な競争が繰り広げられています。そのような競争環境の中で、当社は、一言でいえば「質実剛健」な営業スタイルを貫く事が出来る数少ないメーカーです。お客様には、技術力を認めてもらって購入して頂くという事が当社の強みとなります。材料調達から製造まで全て国内で行い、品質にも自信を持って販売できるということは、営業としては幸せなことだと思いますね。 そのようにストレスをあまり感じない営業をする事が出来るのですが、一方で苦労する事が、お客様の装置や仕様に関して理解する事です。但し、お客様の装置は最高機密情報にあたるようなものですから、中々教えて頂く事もできません。ですから、基礎的な半導体の製造装置に関する知識をいろんなところから吸収して、お客様とある程度の技術的な会話ができるまで知識を高めていくことが必要です。つまり単なるモノを販売するような営業ではなく、求められるのは、セールスエンジニアとしてのスキルだと思います。守秘義務契約を交わしたうえで、設計図面等を見ながらの打ち合わせなどもありますので、ある程度は図面を読めなくてはならないです。そのようなこともあり、日々勉強する事だらけですね。 当社は、磁気シールユニットの販売を通じて、日本の最先端技術を学べる環境にあります。だからこそ、肉体的にも精神的にもタフな人がいいと思います。それは、何で相手の人はこんなことをいったのかな?と考えてみることができる、コミュニケーション能力がある人です。でも最初からみんなができるわけではありません。常に問題意識をもって仕事に取り組んでいけば、素直に身についていくと思います。そこから新しい提案や製品も生まれてくるのではないでしょうか。

rigaku_ph08.jpg 樋川 藤人さん
rigaku_ph09.jpg

先輩メッセージ
原理の数式化からオーダーメイド品の開発まで、モノづくりのA to Zを全て体験できる会社です。

設計部
嶋﨑 靖幸さん
小さい頃から好きだったので、モノづくり企業に入社しました。当社に入社したのは、親戚の友人の方が勤務されていて、世界的なX線機器メーカーということを知って興味をもったからです。 入社後は、設計開発だけでなく、組立や資材なども経験してきました。磁気シールユニットの場合、カタログで購入されることはほとんどありません。お客様からの注文に応じて形状や材料を決定し、オーダーメイドしていくことがほとんどです。ですから、お客様の要望に合わせて、加工や組み立ての仕上がりも含め、きれいな製品づくりを行っていくことを基本に考えて日々取り組んでいます。 磁気シールユニットは、磁場中に磁性流体を保持させて耐圧をとるという製品ですが、その原理は、実は精緻な数式化がされていないのが実情です。まだ結果ありきでモノがつくられているようなところが多い。経験則上、耐圧がもつのでシールできますというものだと、技術的な確立という領域には到達できないのです。そこで、設計という業務で、実際はCADに向きあう事が多いのですが、磁力等の実験結果も含めて磁気シールユニットのシール性能の数式化理論化というものに取り組んでいます。これは、自分のしている設計をより高度にしていくうえでも欠かす事が出来ない取り組みだと思います。 磁気シールユニットは回転ユニットですから、お客様が前後にモノを取り付けます。ところがこの結果、お客様が取り付けたモノの回転精度が想定より悪かったりする場合があるのが悩ましい問題です。このような場合はお客様と上手にコミュニケーションを取りながら解決していきます。 また、磁気シールユニットを組入れるお客様の装置は、私どもでは実際に見たり扱ったりすることが出来ないため、クレームに対して原因特定に時間がかかるのです。これらの事に関して明確に理解する為にも、前述した磁気シールユニットの数式化、理論化は重要なテーマです。 当社は、大会社でのチーム分業にはない、最初から最後まで、全て自分でやる事ができる会社です。それは、数式化理論化という研究開発から、実際のモノづくりの設計・加工・組立まで、最初から最後まで関わることができます。それができる環境があるからこそ、当社のような技術力が評価される企業があるといえるのです。その一員でいられることを私は誇りに感じています。

rigaku_ph10.jpg 嶋﨑 靖幸さん
rigaku_ph11.jpg

先輩メッセージ
自然科学の神様に近づくために、早朝からシミュレーションに励んでいます。

XRD開発設計部 要素技術開発課
理学博士 山片 正明さん
私は、大学院でX線を使う研究をしていました。具体的には原子がどのように並んでいるのかという学問で物性物理学という学問です。そのまま国の研究所で7年間勤めていて、使うという方は十分に経験できたので今度は作るという方に興味が沸いて、当社に就職させていただきました。 今、私が担当しているのは、コンピュータを使用して仮想空間上で様々なシミュレーションをした結果をデータとして当社内の各研究開発チームに提出しています。磁気シールユニットでは、磁場・磁界を効率よく磁性流体に流しこむ必要があるので、その部分の最適な先端形状や材料や設計上の最適化をするシミュレーションをコンピュータ上で行い、確認・研究・開発をするという業務です。現在では解析技術が非常に進歩しているので、そのような方法で様々なデータを抽出することができるのです。それは、ちょうど自然科学の神様がみていて100点というのはどこかにあるのかもしれないが、それに向かってどんどん進んでいくという状況に近いとイメージしています。そして、実際に作業するのは、やはり静かな環境で行いたいので、誰も出勤していない早朝に来て行う事が多いです。 コンピュータ上でのシミュレーションとはいえ実験ですので、想定通りかそれ以上の結果が出た成功であればやはり嬉しいです。但し、失敗すれば全て悲しいかというと、それもデータですから、やがては成功につながる種となるのでそれもうれしいものです。 最近の研究としては、磁気シールユニットだけではなく、次世代のシールユニットの開発にも取り組んでいます。それは、高い真空状態或いは最高のクリーン度を追求するために、東工大との共同研究で磁気軸受・磁気浮上といわれる技術開発を進めております。これは、リニアモーターのようなもので、磁気で回転体そのものを浮かせて磁気・磁力で回転体を動かしていこうという技術です。真空チャンバーを密閉化した状態で動かすわけですから、究極のクリーン度が実現できるのですが、解決すべき課題もまだ多く、今後の研究開発課題の1つとして残っています。 当社は、いろいろとモノを創るということでいろんなカタチで関われるし、社会に貢献している会社です。ですから入社される皆さんは、ご自身が得意な分野で会社や社会に積極的に携わって欲しいと思います。そのような取り組みが、やがては全く新しいコンセプトの技術開発の芽となるのですから。

rigaku_ph12.jpg 山片 正明さん
rigaku_ph13.jpg