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坂西精機 株式会社

坂西精機 株式会社 複合的な加工技術が産み出す多種多様な製品の数々<br>コア技術である歯車製造に別の加工技術を織り交ぜて独自のスタイルを確立する

坂西精機 株式会社

複合的な加工技術が産み出す多種多様な製品の数々
コア技術である歯車製造に別の加工技術を織り交ぜて独自のスタイルを確立する

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輝く技術 光る企業

坂西精機 株式会社

複合的な加工技術が産み出す多種多様な製品の数々 コア技術である歯車製造に別の加工技術を織り交ぜて独自のスタイルを確立する

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  • 社名:坂西精機 株式会社
  • 設立年月:創業 1945年(昭和20年)6月
    設立 1953年(昭和28年)1月
  • 資本金:50,000,000円
  • 従業員数:93名(平成22年10月現在)
  • 代表者:代表取締役社長 坂西宏之
  • 本社所在地:東京都八王子市七国一丁目32番1
  • 連絡先:042-632-0211
  • 公式HP:http://www.sakanishi.co.jp/
  • あらゆる産業機器の部品として使用される、縁の下の力持ちといえる歯車。歯車は通常、棒状の金属を加工し、歯切り盤と呼ばれる工作機械によって切削し製造される。坂西精機は歯車製造を専門とした企業。さらには歯車を組み合わせた減速機の製造や、そこで得た技術から旋盤加工やフライス加工も行うという、複合的メーカーである。
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業種

歯車、減速機、精密機械加工部品の設計、製造、販売

事業紹介

・精密歯車を中心とする減速機、一般機構ユニット等の設計、組立
・多品種少量を中心とするあらゆる精密機械部品の加工
・遊星歯車減速機の製造および販売

歯車製造というコア技術から複合的な加工技術へ

坂西 宏之さん
坂西精機 株式会社
代表取締役 社長
坂西精機は昭和20年に渋谷区で創業。創業当時から歯車の製造を専門にしていたという。昭和37年に東京都日野市に工場を移転。以降ずっと東京都日野市で製造を行ってきたが、昨年東京都八王子市に工場を移転した。今回お話を伺った坂西社長は二代目経営者で社長就任13年目。小さい頃から跡を継ぐという気持ちはあったというが、大学卒業後、あらゆる産業のアウトプットの集大成だと思って、修行として自動車メーカーに勤務していたという経歴をお持ちである。会社の沿革や工場移転のお話など、丁寧にお話していただいた。 「父である先代が戦後まもなく歯車屋として独立してスタートした会社です。創業65年、当時とは業界の様相はまるっきり変わりましたが、基本的には今まで歯車ひとすじでやってきました。会社が大きくなったのは昭和50〜60年頃ですね。今は社員数94名です。」 現在、坂西精機では歯車の製造以外にも減速機(歯車等で動力の回転速度を減じて出力する機械装置)、旋削加工製品、フライス加工製品、研削加工製品など多様な製品を取り扱っている。歯車から始まった企業がどういった経緯で変化していったのだろうか。 「以前は歯車の歯切り加工だけでしたが、時代の流れから歯車を組み立てた減速機の製造もしようという流れに変わっていきました。そうなると歯切り盤だけでは出来ないのでNC旋盤やマシニングセンターなど、設備を増やしていきました。設備をそろえたら、今度は逆に歯車以外の金属加工も出来るじゃないか、ということになりまして、フライス、切削などの金属加工も請け負うようになってきたのです。」 歯車の製造は機械油や金属の切削片だらけという印象があるが、移転間もない八王子の工場は外観から内部までとにかくきれいで整理整頓が行き届いている。 「工場を移転した理由は二つありまして、お客様に対する供給責任を果たさなければいけないということと、社員の安全を守らなければならないということです。以前の日野の工場は40年以上経っていたので設備が老朽化していましたからね。ただ、移転は本当に大変でした。大型設備や、精密加工を行う装置は一般的な輸送業者では運べないですし、それを新工場で使えるようにセッティングするのも大変でしたね。」

sakanishi-09.jpg 代表取締役 社長 坂西 宏之さん
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なんでも屋といってもいいぐらいの多種多様な製品群

坂西精機の主力製品である歯車は主に機械の内部部品として使われている事は想像できるが、実際どんなところで使用されているのだろうか。坂西社長に伺った。 「本当に多種多様な業界で製品の中で活用されています。例えば、自社製品の『遊星歯車減速機』は駅のプラットホームの安全ドアや、粉末スープを包む機械、無人搬送車…など様々な所で活用されています。小さいものでは歯医者の歯を削る器具の中の外径3ミリ程度の歯車なども製造しています。外から見えるものではありませんが、食品、医療、産業機器など私たちが日々接するたくさんのものに関わっているのです。製品は800種類近くありますし、通常の製品の他に受注生産品も製造しています。特殊な部品一個からでも受注する小回りの良さは当社の強みですね。また、歯切り加工以外にも、複合的な加工が一手に出来るところも当社の強みです。お客様が一社にまとめて注文できますので、品質が安定しますし、納期も管理しやすい。なんでも屋といってもいいぐらいだと思いますよ。」 あらゆる業界の多種多様な製品の製造を行っているが、品質マネジメントシステムISO9001の認証登録をうけており、三次元測定機や歯車試験機を導入するなど、品質に関しても徹底して取り組んでいるという。 「作業者とチェックする者を別にしたダブルチェック体制を行うなど、徹底して品質管理を行っています。とはいえ、いくら社員に良いものを作るように指示しても限界があります。品質は現場のひとりひとりが作り出すものなので、良い現場作りを心がけることが良い品質を作り上げるのだと考えています。やはり人柄の良い人が作るものは品質が良いんですよ。ひとつ例を挙げますと、当社の製品は主に部品なので、エンドユーザーの顔は見えません。取引先のお客さんが会社に来ると、工場内を見学していただき、社員の働く姿を見てもらって、どんなことでもいいので声をかけてもらうんです。そうするとお客様と触れ合うことが出来て、社員のモチベーションが高まります。一人ひとりの意識を高め、人間性をつくることが最終的に品質向上につながると思うのです。」

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sakanishi-05.jpg ISO9001とISO14001を取得
sakanishi-00.jpg 歯車試験機

人柄を重視し、積極的に新卒で採用しているため、若い世代が働きやすい環境

品質管理のお話でも述べられていたように、坂西社長が社員に最も重要視していることは人間性。坂西精機では積極的に新卒採用を行っているという。技術力が必要とされる製造業であるが、意外にも技術的な部分で採用する人を見ているわけではないという。 「当社では毎年新卒で採用している他に、中途でも採用しています。採用はとにかく人柄重視です。専門的知識や技術は入ってから身につければいいですし、勉強出来なくてもいい。人柄が悪くて技術力がある人よりも人柄が良くて技術がない人の方が大事だというのが会社の考えです。新人に対しての技術的な指導は、簡単な研修を行ってからすぐに実践で身につけてもらっています。難しい作業も多いのですが、そこは習うより慣れろという感じで頑張って覚えてもらいます。全体的に若い社員が多いところが新人に取って働きやすい環境なのか、入ってすぐに辞める社員は少ないです。また、当社は環境マネジメントシステムISO14001の認証登録を受けており、環境問題にも取り組んでいます。工場の周りは自然が多く、貴重生物が生息しているので特に環境に対しては高い意識をもっています。」

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誇りと責任感を持ってものづくりの仕事をもらいたい

歴史ある企業であるが、工場も新しく若い社員が多い組織である坂西精機。坂西社長はご自身の目標とする組織についてこう語る。 「難しい事ですが、社員一人ひとりが自分の仕事に自信を持てるようになって自分の居場所がしっかりと持てる会社にしたいと思います。そして、仕事が世のため人の為になっていることが自覚できる、誇りと責任感を持って仕事できる会社にしたいですね。」 最後に坂西社長からものづくりを志す若者に向けてメッセージを語っていただいた。 「上からの目線ではありませんが、ものづくりは出来上がった製品として仕事の結果がはっきりと出ることがいいところです。自分の仕事の良し悪しがはっきりと確認できますし、それが世の中の役に立っていることが実感できる。街を歩いていて、当社の製品が部品として使われているものを見つけるととてもうれしいものです。そういったものづくりの醍醐味を共感したいという若い方がいるとすれば、是非一緒にやっていきたいですね。」

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先輩メッセージ
失敗して得るものは大きい。恐れずに挑戦して欲しい

太田 龍一さん
製造部 製造2課 主任
2004年4月入社
昔からものづくりが好きだったという太田さんは、大学主催の合同説明会で坂西精機と出会って、歯車の製造という特殊な技術に惹かれて入社したという。 --今の仕事内容について教えてください。 「当社の主力製品でもある、歯車の中でも、内歯車やウォームと呼ばれるものを中心に加工をしています。主に自社製品である遊星歯車減速機の部品に使われています。加工の精度には特に気をつけています。加工するときに加工刃を決めたり、治具を選んだりするのが難しいところですね。後輩には、作業ひとつひとつにやる理由があることを理解してもらうように指導しています。新規の品物が入ってきた時など、作業工程の時間短縮が出来たり、効率化が実現できた時が最もやりがいを感じます。」 --今までで特に印象に残っている仕事はありますか? 「歯車は通常、油をかけながら歯を削っていくのですが、油をかけずにエアを吹きかけて加工するという新しい機械が導入された時のことですね。誰も分からないので加工条件を自分たちで探し出さなければいけなかったのが大変でした。誤って機械を止めてしまって他の加工をしている人に迷惑をかけてしまった時は落ち込みましたね。でもその失敗以降は多少の事は気にならないようになりましたね。」 --会社の特徴を教えてください。 「プライベートでも社員同士仲良くやっていますし、新人には先輩の方から声をかけるような明るくて優しい雰囲気の会社ですよ。先輩の面倒見が良いので新人は皆辞めずに残っています。最近は工場が移転してすごくきれいになったので、仕事がすごくやりやすくなってやる気が出ました!」 --ありがとうございました。最後に、ものづくりを志す後輩へメッセージをお願いします。 「何にでもチャレンジすることが大事です。失敗しても得るものはありますから、失敗を恐れずにいろんなことに挑戦していって欲しいですね。」

sakanishi-48.jpg 太田 龍一さん
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先輩メッセージ
多種多様な製品が扱えることが魅力です!

太田 和裕さん
技術部 品質管理課
2005年4月入社
太田さんは大学で機械工学を専攻し、就職活動で、現場を経験できる会社を希望していて坂西精機と出会い、入社を決めたという。現在は品質管理という製造業の信頼に関わる重要な部署を担当されている。 --担当されている仕事について教えていただけますか? 「出荷前に、自社で製造した製品が規格どおりに出来ているかという検査と、協力工場から来た製品の受入検査が主な仕事です。製造業の最終工程で、ミスをしたらお客様に迷惑がかかってしまいますから常に緊張感を持っています。新規の製品を取り扱う場合や、納期に余裕が無い場合は特に大変です。多種多様な製品が見られるので、飽きないし面白いです。入社前は製造を希望していましたが、今の部署はすごく楽しいのですごく満足しています。まだまだ覚えることは多いですし、完璧ということはありません。」 --会社の特徴を教えてください。 「入社当時から先輩は皆、優しく教えてくれる人ばかりですので、すごく仕事しやすいです。工場内にはいくつもの部署がありますが、会社全体としてすごく一体感があります。上司の人たちからプレッシャーを受けて抑えつけられるような会社ではないと思うので、居心地は良いですね。」 --ありがとうございました。最後にものづくりを志す後輩へのメッセージをお願いします。 「新しいことにチャレンジすることでいろいろな経験が出来ることがものづくりの魅力です。チャレンジしてみてください!」

sakanishi-52.jpg 太田 和裕さん
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