<中小企業しごと魅力発信プロジェクト>

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昭和風力機械 株式会社

昭和風力機械 株式会社 創業から50年以上黒字を続ける産業用送風機メーカー<br>ゴミ焼却・下水処理・発電など、社会を支える施設で使われる送風機を100%受注生産。国内シェア8割の分野も

昭和風力機械 株式会社

創業から50年以上黒字を続ける産業用送風機メーカー
ゴミ焼却・下水処理・発電など、社会を支える施設で使われる送風機を100%受注生産。国内シェア8割の分野も

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輝く技術 光る企業

昭和風力機械 株式会社

創業から50年以上黒字を続ける産業用送風機メーカー ゴミ焼却・下水処理・発電など、社会を支える施設で使われる送風機を100%受注生産。国内シェア8割の分野も

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  • 社名:昭和風力機械 株式会社
  • 設立年月:昭和38年4月
  • 資本金:4100万円
  • 従業員数:64名
  • 代表者:代表取締役 加瀬 武雄
  • 社員平均年齢:43.2歳
  • 初任給:200,000円
  • 主な勤務地:本社
  • 休日:週休2日制(土、日)、祝日
    年末年始、夏季休暇(年間休日111日)
  • 本社所在地:東京都葛飾区奥戸1-16-3
  • 電話番号:03-3692-2001
  • 公式HP:http://www.showafuryoku.co.jp/
  • ・産業用送風機を100%受注生産。下水汚泥焼却プラント用は国内シェア8割
  • ・難解な流体力学や、羽根車を加工する熟練の技を、入社後じっくり教え込む
  • ・創業から50年以上、黒字を継続。利益が出た分は、必ず社員に還元
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業種

各種ファン及び単段ターボブロワ・多段ターボブロワの製造

事業紹介

【送風機(ファン・ブロワ)とは】
気体にエネルギー与えて、圧力を上昇させたり、気体を圧送する機械であり、圧縮の程度によって、ファン、 ブロワ、圧縮機に分類されます。

【送風機の用途】
1.換気(建物やトンネルの換気など)
2.圧送(ガスプラントなど、)
3.反応のための原料の昇圧(アンモニアプラントなど)
4.燃焼用空気の供給(焼却プラントなど)
5.機器の冷却
6.風洞用(橋、車、航空機などの試験設備)
7.石油増産用(石油プラントなど)

【昭和風力機械は】
送風機の専門メーカーです。100%受注生産体制を採っており、ユーザーの細かい要求にまで対応できることが特徴です。
また、独自の技術と永年培われた経験により実用運転で高い評価を受け、国内宇宙産業や世界各国の各種プラントに採用されています。
製造~メンテナンスまで一貫したプロセスを構築しているため現場でのメンテナンス作業等も行います。
また、海外プラントでは技術員派遣による技術指導等も行います。

何を作ってる?

家庭では、料理中に出た煙やお風呂にこもった湿気を、換気扇を回して外に出す。ゴミ焼却場などの産業分野でも同様に、煙や臭いなどを、送風機(ファン・ブロワ)を回すことで思いどおりに移動させている。 そういった産業分野で使われる大型の送風機を作り出しているのが、昭和風力機械だ。同社の作る送風機は、古くは収穫直後の米を乾燥させるためにヒーターと組み合わせて使用され、最近ではゴミ処理場や発電所などでも利用されている。特に下水汚泥焼却プラント用の送風機については、顧客からの細かな要望に応えられる技術・経験を持つ企業が、同社以外にほとんどない。国内シェアで8割と、日本の隅々にまで同社製品が行き渡っている。 同社の作る送風機は100%受注生産。送風機は使う目的・設置場所によって、風の強さや装置の大きさ、使用する素材などを決める必要がある。同社は50年以上にわたって設計してきた数十万枚にも及ぶ図面を大切に保管。時には大学のスーパーコンピューターを借りて「目的を達成できる設計になっているか」「強度は十分か」と解析して、送風機の開発に役立ててきた。

03.jpg 高精度が求められる羽根車の溶接
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会社の強み

送風機の設計には、気体や液体の変形・応力を扱う流体力学の知識が必要になる。流体力学は、物理学の中でも理解が最も難しい分野の1つ。同社は外部から講師を招くなどして、設計担当の若手社員に流体力学の知識を教え込んでいる。 また製造現場においては、風を発生させるために回す羽根車(インペラ)の加工が特に困難で高精度が求められる。長時間にわたって高速回転することになるため、羽根車に取り付ける羽根のわずかなズレが、故障の原因になってしまうからだ。重さ1トンの羽根車でも、左右の重量差を0.2グラムの範囲内に収めないといけないほど。それだけ精度の高い羽根車を加工する技術を、入社後に長い時間をかけて磨いていくことになる。 高度な専門知識と熟練の技術があって初めて完成する送風機だが、使用されるのはゴミ焼却場や発電所といった社会インフラを支える場所。そこで、完成した製品に欠陥がないことを保証するため、検査結果をまとめた品質管理報告書などの書類も必要になる。そうした手間を嫌がる企業も多いが、同社は書類作成に必要なノウハウを習得するまで努力を惜しまず挑戦を続けてきたことで、審査の厳しい仕事も受注できる実績を作り上げてきた。

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職場としての魅力

昭和風力機械の自慢の1つは、創業から50年以上、黒字を続けていること。利益が出た分は社員に還元しようと、毎年3月末ごろに全社員を集めて、ボーナスを支給。さらに勤続年数に応じた永年勤続表彰も行い、該当する社員には感謝状と金一封を渡している。 「社員を大事に思う気持ちが、一番目に見えて分かるのがお金だと思います。立派な言葉だけでは伝わりません。会社が利益を出した分は、できるだけ社員に還元したいと思っています。 それ以外にも、当社では社員持ち株制度を導入して、社員にも会社の決算情報を明らかにしています。隠しごとをしない会社にすることで、会社と社員が家族のような関係を築ける会社を目指しています」(加瀬武雄代表取締役)

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社長メッセージ
小型・高効率化が競争力を生む。より小型・高効率を目指して、設計の工夫を徹底

代表取締役
加瀬 武雄さん
――会社として力を入れているところは? より小型で効率のいい送風機を開発することです。他社の送風機が総重量1トンになるのなら、当社はその半分の500キロで作ることができれば、材料費は半分になります。材料費を減らせた分だけ、当社が有利になります。 そのためには設計に工夫が必要です。当社の場合は100%受注生産。製品ごとに材料を選ぶところから始めます。鉄鋼だけでも2~3種類、ステンレスを含めればもっと選択肢は膨らみます。ステンレスを選べば耐久性はよくなりますが、材料費は高くなります。鉄鋼でも「こんな形にすれば耐久力が増して、要件を満たすことができる」と設計を工夫することで材料費を抑えることができるわけです。そうした工夫を重ねることを徹底し、海外製品にも負けないほどの価格で送風機を提供できるように努めています。 旋盤・溶接といった技能を磨くことになる製造職は、立派な職業です。専門学校で技能を学んでいる学生さんは、しっかりと練習して、溶接などに必要な資格取得を目指してほしいですね。 製造の仕事は、夏は暑く冬は寒い職場で働くことになります。エアコンで快適な職場で働ける設計職などよりも苦労をする分、給料は多めに支払うようにしています。 一方の設計職は、飛行機やロケットを飛ばすために使う流体力学の知識が必要な仕事になります。それだけ高度な学問を駆使する仕事に、誇りを持ってほしいです。 当社に入社する時点での学力は、それほど重視しません。まずは身体を鍛えて、健康であってください。どれだけ頭がよくても、体力がないと仕事になりません。プロの世界は厳しいものですから、それを乗り越えられるだけの体力をつけてきてください。

07.jpg 代表取締役 加瀬 武雄さん

先輩メッセージ
満たされない思いを抱えて転職。幅広い業務に携われて、とても充実感がある

営業部 営業技術課
塙さん
――昭和風力機械に就職するまでのことを教えてください。 大学を卒業して、最初に就職したのは不動産業界でした。数千万円もするマンション販売の営業をしていたのです。新卒でしたから、仕事のやりがいや「商品を売ることでどうなるか」などは深く考えず、ただマンションを売っていました。 がむしゃらに働くことで販売成績は伸びましたが、心のどこかに満たされない思いがありました。それがあるとき、モノづくりの仕事に携わる方と出会って、その方が自分の仕事に誇りを持っていることに衝撃を受けました。自分も、誇れる仕事をしたい。そう思って会社を辞め、モノづくりの専門学校に入学し直しました。当社に入社したのは、その学校で卒業後の就職先として紹介されたのが縁でしたね。 お客様と打ち合わせをして、工業用送風機の使用方法や設置場所を伺い、どれくらいの性能を持つ送風機が必要かと詳細を詰めていきます。次に、お話を伺った内容を設計担当に伝えて、一から設計を進めてもらいます。当社の場合は、お客様の要望に合わせて1台1台の送風機を特注していくことになります。 このようにお客様との打ち合わせから、できあがった製品を納品して、試運転してみるところまで、営業担当者として幅広い業務に携わります。1人1人の担当する業務範囲が広く、1つの案件が完了するところまで立ち会えますので、とても充実感がある仕事だと感じています。 すごく家族的なところのある職場だと思います。どんな小さな問題であっても、職場のみんなが力を合わせて、何とか解決していきます。 社員の家庭に幸・不幸があったときも、本当の家族のように、自分事として感じてくれる社員が多い会社だと思います。 送風機の形状は、世の中に登場した産業革命のころから、それほど大きくは変わっていません。当社で参考にする文献の中には、昭和の初めのころに書かれたものもあるくらいです。 ただ、これからは省エネが重視される時代になっていくでしょう。送風機の設計も大きく変わっていく可能性があり、よりエネルギーを使わず、より小さな送風機を作ることが求められます。時代の要望に応える送風機を開発・提供していくことで、昭和風力機械のブランドを業界の中でもっと知ってもらえるようにしていきたいです。 私は「社会人になっても、すぐに成果を出せるはずだ」と根拠のない自信を持って社会に出ました。けれど、初めて会社で働いてみて、わずか2週間で叩きのめされました。それからはまっさらな気持ちで働くことで、徐々に成果を出せるようになりました。 そんな自分の経験から考えるに、謙虚であることは非常に大切だと思います。あとは元気で、当たり前の受け答えができるコミュニケーション能力を持っていること。その3点があれば、社会人になってもそれほど苦労することなく、業務に慣れていけると思います。

08.jpg 営業部 営業技術課 塙さん

先輩メッセージ
大学時代と違い、お客様と決めた仕様がある。仕様どおりの設計になるよう心掛ける

設計部 設計課
市川さん
――昭和風力機械との出会いは、どんなものでしたか? プラモデルなど、小さいころから何かを作るのが好きでした。それで「何かを作ることに携わりたい」と考え、大学の専攻も機械工学を選びました。 就職先についても、「大学で学んだ機械設計を仕事にしたい」と思い仕事を探していたところ、大学の研究室の先生から当社のことを紹介していただきました。それが当社のことを知ったきっかけになります。 まだ入社3年目ですので、簡単な設計を中心に担当しています。大学の研究室では、自分の考えどおりに設計を進めることができましたが、仕事ではそうはいきません。営業担当者がお客様とやり取りして決めた仕様がありますから、その仕様どおりに設計できるように心掛けています。かなり細かい要望をされるお客様もいらっしゃいますから、お客様のご要望を見落とさないように、細部にまで目をしっかり通すようにしています。 仕事以外でも、社員同士の交流が盛んです。例えば、会社で野球チームをつくって、区の大会などに参加しています。 私が守っているのは外野、打順は1番か9番になることが多いですね。季節ごとに大会がありまして、大会の日程が近づいてくると、みんなで集まって練習します。他チームには野球経験者が多くてなかなか勝てませんが、以前に3~4試合も勝ち進んだこともありますよ。 試合の後はいつも会社に戻って飲み会です。普段、一緒に働く機会の少ない別部署の仲間とも仲良くなれます。いつの間にか部署の垣根を感じなくなり、仕事にも好影響があると思います。 まずは基礎をしっかりと学んでいきたいです。周囲の先輩方から認められて、難しい仕事も任せてもらえるようになっていきたいですね。 注)掲載している情報は、取材日(2013年12月)時点のものです。

09.jpg 設計部 設計課 市川さん
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