<中小企業しごと魅力発信プロジェクト>

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十川産業 株式会社

十川産業 株式会社 農業・住宅・土木・自動車など、主に10業種向けにホースを製造<br>数万種類のプラスチック製ホースを生産。「高温・高圧に強い」「液体が流れやすい」といった高機能を付け加える

十川産業 株式会社

農業・住宅・土木・自動車など、主に10業種向けにホースを製造
数万種類のプラスチック製ホースを生産。「高温・高圧に強い」「液体が流れやすい」といった高機能を付け加える

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輝く技術 光る企業

十川産業 株式会社

農業・住宅・土木・自動車など、主に10業種向けにホースを製造 数万種類のプラスチック製ホースを生産。「高温・高圧に強い」「液体が流れやすい」といった高機能を付け加える

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  • 社名:十川産業 株式会社
  • 設立年月:1959年1月
  • 資本金:9850万円
  • 従業員数:102名(平成21年3月)
  • 代表者:代表取締役社長 十川 雅一
  • 社員平均年齢:44.7歳 (男 43.9歳 女 47.2歳)
  • 初任給:高校 172,000円 高専 181,000円 大学 202,000円 平成25年4月入社
  • 主な勤務地:東京・名古屋・京都・大阪・福岡
  • 休日:土日祝日、有給休暇、夏期・冬期休暇
  • 本社所在地:東京都府中市南町6-18
  • 電話番号:042-362-4331
  • 公式HP:http://www.togawa-sangyo.co.jp/
  • ・機能・色・長さの違いを考慮すると、数万種類ものホースを生産
  • ・難度の高い押出成形に加え、高機能を付与する加工までを成し遂げる技術力
  • ・海外のホースメーカーとの技術提携
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業種

各種プラスチック成形品の製造販売

事業紹介

十川産業はこんなホースを作っています。

【工業用ホース】
工場の設備配管及び機械装置の組込み用配管として水や空気を流すホース。柔軟性・透明性・耐圧性・負圧性・耐油性等用途に適したホースを作っています。

【エアーツール用ホース】
各種エアー工具・工場内エアー配管用ホース。識別可能なカラーバリエーションが豊富です。

【塗装用ホース】
“手吹き塗装”から“自動ロボット塗装”まで用途に適した高機能製品を提供しています。例えば、内面粗度を極限まで追求し、色替え時間を短縮させた製品や静電気除去用のアース機能を備えた製品等

【食品用ホース】
環境ホルモンを含まず、臭い、味の無く、耐熱、耐寒性に優れた無毒で、安全・安心なホース。食品衛生法に適合したホースを作っています。

【その他】
特定のお客様と共同で、特殊用途に特化した製品の開発と生産も行っております。

何を作ってる?

ホースの使い道として、どんなことが思い浮かぶだろうか。植物に水をやる、ガスコンロにガスを引く、洗濯機に給水する――といった用途が身近なところだが、産業用途まで含めると他にもさまざまな場面が考えられる。工作機械を動かすために圧縮空気を送る、製品を塗装するための塗料を流す、土木工事用に水を引く、ペットボトルに詰める飲料水を通す――といった具合だ。 そうした家庭用・産業用でさまざまな用途に使われるプラスチック製ホースを生産しているのが十川産業だ。農業・住宅・土木・自動車など、主に10業種向けにホースを製造している。 用途ごとに最適な素材を選び、「曲がりやすい」「高温に強い」「高圧を掛けても破裂しにくい」「流す塗料の色を変えても、前の色の塗料をきれいに洗い流せる」「環境負荷物質を含まない」といった特徴を持つホースを作り上げる。機能の違い、長さの違い、色の違いなどを数えていくと、これまでに製造したホースの種類は数万種類にも達している。

03.jpg 素材として使うプラスチック
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会社の強み

ホースを作るときには、押出成形という加工方法が用いられる。十川産業の十川雅一代表取締役社長は「プラスチック加工の技術の中でも、押出成形はとても難しい」と、その理由について次のように語っている。 「押出成形機の出口から出てきたプラスチックは射出成形と違い押さえ付けられないため、『ところてん』のように常に不安定な状態です。機械をほんの少しずつ調整して、上手く押し出せるようになるまで、時間がかかるのです」 そうした押出成形の課題の1つを解決するため、同社は「押出ブロー成形」という独自の加工方法を生み出した。押し出した筒状のプラスチックに金型を添えて、内側から気体を送って膨らませることで、金型どおりの形に仕上げるやり方だ。洗濯機や給湯器に使われる蛇腹のホースは、この技術によって作られている。 その他、用途によっていろいろな機能を付加していく。高圧に耐えられるようにホースの中に糸・ワイヤーを巻き付けたり、ホースの内側にフッ素で作った0.2~0.3ミリほどの薄膜を形成して液体が滑りやすくしたりといったさまざまな加工を施す必要がある。こうした機能を加えるための加工は一段と難度が高く、特にフッ素の薄膜をホースの内側に形成する加工法は、世界に先駆けて同社が開発。「世界でも最先端の製品で、自動車の塗装などに利用していただいています」と十川社長は胸を張る。

05.jpg プラスチックを押し出しながら、内側から気体を送っ
て膨らませて、金型の形に整える「押出ブロー成形」

職場としての魅力

「自分たちは世界最先端の製品を作っている」という誇りを持たせるため、そして世界各国のモノづくりから優れたところを学ばせるため、十川産業では社員に海外研修を薦めている。 「海外のホースメーカー数社と協力関係を築いています。海外研修に行き、そうした企業の技術者と交流することで、技術だけでなく、海外の事情を肌で学ばせるわけです。中には日本よりも彼らが優れている部分もあります。異文化交流による刺激で気付いたこと、海外で見つけた優れた技術を持ち帰ることで、当社の技術をさらに磨いているのです。 ホースの市場規模はそれほど大きくありませんが、その分、技術的に優れたホースを開発したら、すぐに世界的な有名企業になれます。自分が努力すればするほど世界で勝負できる業界ですから、一緒に働いてもらえれば、非常に楽しい仕事だと分かってもらえるでしょう」(十川社長)

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社長メッセージ
ナンバーワンの企業になるよりも、オンリーワンの企業でありたい

代表取締役社長
十川 雅一さん
――目指している会社の姿は? 企業というものは、「大きくしよう」と考えれば、いくらでも大きくするための手段は考えられます。けれど私は、ナンバーワンの企業になるよりも、オンリーワンの企業であることを目指しています。「この会社にしかできない」「この会社抜きには語れない」といった存在感のある会社でありたいと考えています。 そのためには、製造技術をさらに磨き上げて洗練していく必要があります。これまでプラスチック製ホースでは難しく、ゴム製ホースが採用されてきた分野でも勝負できるように、製品を改良していくことも必要でしょう。ただ、ゴム製ホースのメーカーと争うつもりはありません。お互いに得意な技術を教え合いながら、お互いが成長していければいいと思っています。 当社の社員には、勉強のために海外研修をさせています。「この社員は成長したな」と思える社員は、私が何かを言わなくても自主的に申請書を出して、積極的に勉強しています。とにかく肌身で異文化の違いを感じることで、人は多くの刺激を受けます。成長するためには、それが最も有効な自己啓発になると思いますね。 私は「国があって企業があり、企業があって家庭がある」と考えています。企業で働く時間は8時間もあって、1日の大部分を会社で過ごします。そう考えると、会社が社員とその家庭に与える影響力は、非常に大きなものになります。 ですから私は、社員の家族に職場での近況報告をするようにしています。そうすると、みんな喜んでくれますよ。 企業と社員がこのような関係を築けるのは、中小企業だからこそだと思います。大企業では、ここまで深い関係を築けないでしょう。社員を大切にしているからこそ、社員の家族とも深い関係を持つ今のやり方を続けていくつもりです。

08.jpg 代表取締役社長 十川 雅一さん

先輩メッセージ
塩ビ、ウレタン……と1社でさまざまな素材のホースを作れるところが強み

東京支店マネージャー代理
島田さん
――十川産業に入社した経緯を教えてください。 私は府中市の出身です。就職先を考えるときに「地元の企業がいいな」と思い、当社を含めていくつかの企業を見学させていただきました。 十川産業を見学したときには、「ホースという身近な製品を、こんな身近なところで製造していたのか」と驚きました。工場を見学していると、働いている社員の方々が学生だった私を温かく迎えてくださいました。「とてもアットホームな会社だ」と感じましたね。 営業担当者は東京・大阪・名古屋・九州の4拠点それぞれに数名ずつ配属されています。その中で東京勤務の営業担当は、北は北海道、西は静岡までのお客様を担当しています。 営業のやり方としては、当社製品をご利用いただける企業に直接売り込むこともあれば、販売代理店の力を借りて売ってもらうこともあります。 会社全体としては、販売代理店経由の売上が中心になっていますが、東京では企業に直接売り込む方が多いくらいです。少し前のことですが、私自身、ある大手のホームセンターと交渉して、当社のホースを販売してもらうことに成功したことがあります。ホームセンターの商品棚に当社製品を置くときに、私の手で目立つように飾り付けて、その結果として注文が1個ずつ増えていったときの喜びは今でも忘れられませんね。 当社の特徴としては、塩ビ、ウレタン、ポリエチレン、ナイロン、フッ素とさまざまな素材でできたホースを扱っています。一方、同業他社のホースメーカーは、1種類の素材に特化してホースを作っているところが多いです。営業をしていても、「十川産業に相談すると1社で全種類の話ができるから、手間が省けて助かる」と評価いただいています。また技術者とすぐ近くで働いていますから、「こんな用途には、こんな機能のホースが適していると思います」とお客様に提案できます。そういったところが、お客様から信頼いただいているのだと思います。 大手の企業になりますと、社長と社員の間に、部長・課長・係長といった管理職が入り、なかなか社長と直接話をすることはできません。けれど当社の場合は、社長も気さくな方で、社員と同じ目線で話をしてくださいますから、社長の考え・思いが分かりますし、自分たちの考えていることも伝えやすいです。 業務上、必要なものがあれば、直接社長に相談することもできます。製造担当者からは「こんな設備を導入してほしい」とお願いすることもありますし、営業担当者からも「営業用の社用車を1台増やしてほしい」と頼んで新しい社用車を導入していただいたこともあります。 社長がよく言っている目標は「ナンバーワンでなくてもいいから、オンリーワンの企業になろう」ということです。私もオンリーワン企業の一員として、十川産業にしか作れない製品を売り込んでいきたいですね。 そして私自身も、お客様にとってオンリーワンの存在になって、「十川産業の島田に頼めば、きっと対応してくれる」と思ってもらえるようになりたいです。 社会人になって一番厳しく言われたのは、時間に対する意識です。遅刻をするなど、時間を守れない人は社会に出てから通用しません。知識や技術といったものは、経験を積み重ねることで後からついてくるものです。まずは時間をしっかり守って、経験を積める機会を逃さないようにしてください。

09.jpg 東京支店マネージャー代理 島田さん

先輩メッセージ
静電気を逃がすホースと継手を開発。少しずつ注文が増えて手応えを感じた

東京工場 生産技術・企画開発グループ マネージャー代理
渡辺さん
――どのような学生時代・就職活動を送ったのか、教えてください。 私は高校を卒業して、電子工学・機械工学を中心に学べる専門学校に進みました。そのような進路を選んだのは、モノづくりの仕事に就きたかったからです。就職先について、「規模の大小は問わず、とにかくメーカーで働きたい」と考えていました。 専門学校の卒業が近づき、将来のことを考えたとき、「働くならプラスチックを扱う会社がいいな」と思いました。鉄やゴムといった素材は昔から使われていますが、プラスチックの歴史は比較的浅いです。プラスチックという素材の魅力をもっと引き出せる仕事に魅力を感じましたので、プラスチックを扱う当社を志望するようになりました。 自分たちが製造ラインに直接立つことはあまりありませんが、工場に関わるそれ以外の幅広い業務をしています。例えば、営業が新しい製品を受注してきたら、製品を設計した図面も必要ですが、その図面を基に「どんな材料を使い、どんな手順で作っていくか」と工場内での段取りを決める工程設計という業務が必要になります。そうした業務を担当している部署になります。 特に思い出深い仕事は、自動車の製造ラインで塗装に使うホースを改良したときのことです。製造ラインにおいては、静電気を帯びてしまった人が金属を触って火花を生じさせる現象は、引火の恐れがありますから避けたいことです。静電気を身体から逃がすための装置もあるのですが、製造ラインで働く方々が面倒くさがって、装置があっても使わないという現状を伺いました。そこでホースの継手部分に、静電気を逃し作業者に安全であり、面倒でない仕組みを考えてみました。開発が完了するまで半年ほどかかりましたが、製品完成後、しばらくしてから少しずつ受注が増えてきたときには、手応えを感じましたね。 「自分の持ち場」を作りやすい職場だと思います。自分が責任を持って働く業務が用意されていると、その業務で培った経験・自信を踏まえ、社内の別部署の人に働き掛けたり、自分自身が新しい仕事に挑戦したりと前向きな気持ちで仕事に取り組めるようになります。 「最初から自分が興味を持てる業界で働きたい」と考えている学生の方は多いと思いますが、全員が興味を持てる業界で働けるわけではありません。ですが、自分の持ち場をしっかりと持って働くことができれば、どんな業界の仕事であっても、面白く感じられるものだと私は思います。 私が社会人になって20年経ちました。あと20年は働くことになるわけで、今がちょうど中間地点です。 そう考えると、まずは自分が培ってきた技術を後輩たちに伝承していきたいですね。ただ伝承するだけでなく、後輩たちが働きやすく、自分たちの技術を磨ける環境を整えてあげることもやっていきたいと考えています。 もう1つ、私個人の目標としては、これまで磨いてきた技術を生かして、売れる製品を作っていきたいですね。 仕事をしていて感じるのは「いいことも、悪いことも、ずっと続くわけではない」ということです。浮き沈みは必ずあります。目先の結果に一喜一憂せず、幅広いことに興味を持って、自分自身を磨いていくことを忘れずにいてください。 注)掲載している情報は、取材日(2013年12月)時点のものです。

10.jpg 東京工場 生産技術・企画開発グループ
マネージャー代理 渡辺さん