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トキワ精機株式会社

トキワ精機株式会社 資源・エネルギーを大切にするモノづくり<br>究極の環境技術はゴミを出さないと知った

トキワ精機株式会社

資源・エネルギーを大切にするモノづくり
究極の環境技術はゴミを出さないと知った

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輝く技術 光る企業

トキワ精機株式会社

資源・エネルギーを大切にするモノづくり 究極の環境技術はゴミを出さないと知った

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  • 社名:トキワ精機株式会社
  • 設立年月:1960年12月(昭和35年)
  • 資本金:2,000万円
  • 代表者:木村 洋一
  • 所在地:

    【本工場】東京都大田区大森東2-14-12
    TEL:03(3762)5511(代)
    FAX:03(3763)9144
    【名古屋営業所】愛知県高浜市呉竹町1-16-12
    TEL:0566(52)6844
    FAX:0566(52)6384
    【阿見工場】茨城県稲敷郡阿見町星の里2番1号
    TEL:029(829)5200
    FAX:029(889)1151

  • 公式HP:http://www.tokiwa-seiki.com/
  • 油圧駆動システムとは、一見何のことかわかりづらいが、パワーショベルやフォークリフトやレッカー車の作業機部分に使用されているといえば、わかるだろうか。このような作業機の油圧回路には油圧ホースとともにそれらを継ぐ『配管継ぎ手』が重要な部品として使われている。トキワ精機は、『油圧配管継ぎ手』で独自開発の特許製品「まるみ君」を開発。この開発でトキワ精機が学んだのは、「資源・エネルギーを大切にするモノづくり」だった。
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業種

各種油圧継手、特殊車輌部品の製造、販売、その他の機械部品の製造、販売

事業紹介

当社は建設機械、産業車両、業界を中心に高圧用油圧配管継手を製造、販売している専門メーカーです。独自に開発した、厚肉管の極小曲げ技術により製品化された “まるみ君”は環境負荷の低減、コンタミ問題の解消、圧力損失の改善、等従来製法品を凌駕した製品として、多くのお客様に信頼され広く使用されています。

理想的製造方法がもたらした「高品質」「低コスト」

「私たち部品メーカーにとっては、常に低コストというのが要求されます。そこで生まれたのが『まるみ君』です」とトキワ精機の木村社長は、新世代エルボ『まるみ君』誕生の経緯を話した。 『まるみ君』は、継ぎ手メーカーの画期的な穴あけ加工の無い製法として開発された画期的配管継ぎ手製品だ。 「原理は厚肉管を曲げて、継ぎ手となるようにねじを切る等の削り出しを行う製法。これまで、理論的には可能だということは知られていたものの、厚肉管を歪みなく曲げる技術が困難であることから各社で実現はできていませんでした。当社は鋼材メーカーの協力や独自開発で特許を取得した『極小曲げ技術』により、世界に先駆け製法の確立と製品化に成功したのです」(木村社長)。 もちろん、トキワ精機の製品ラインナップの一角を占めるまでに、そんなに多くの時間はかからなかった。 「従来の鍛造品にドリルで穴をあけてつくる方法だと、中に細かいバリ(屑)が残りやすく、その除去に多大な時間と労力を必要としていたわけです。それが、私たちが編み出した方法だと、もともと穴があいている厚肉管を加工するので、バリは全く出ない。大幅な工数低減ができたこともあるのですが、コストと品質が飛躍的に向上しました」(木村社長)。

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環境保全として、モノづくり企業ができること。それは「ゴミ」を出さないこと

さらに木村社長は、『まるみ君』の開発で大きなことを学んだ。 「鍛造品からドリルや旋盤などを使用して削り出す従来の方法から比べて、『まるみ君』は、加工屑が圧倒的に少ない。社会全体が環境に対する意識が高まる中で、私たち中小企業・モノづくり企業では何ができるのか? その答えの一つを『まるみ君』の開発を通じて、教えて頂いたような気がしますね」。木村社長の熱弁は続く。「モノづくりをしている私たちが言うのもおかしいですが、究極の環境対策は、余計なモノを造らないこと(笑)」。もし造るとしたら、モノづくり企業のプライドをもって、工程でできるだけゴミを出さない、そして有害物質を出さないことを意識することが重要だという。そして、「そのための技術開発は、日本の中小企業・モノづくり企業の責任」とまで木村社長は言い切った。 現在、『まるみ君』を製造している茨城県・阿見工場では、この哲学に基づいた工場運営が行われている。 実際、産業廃棄物であるスクラップとして出される切り子・加工屑では、従来の鍛造品に比べ『まるみ君』は1/5の量になる。 まさに、製品づくりから工場の運営まで、環境に配慮したモデル工場なのである。 「少し前までは、『環境に配慮した製品・モノづくりをしている』ということが、取引先選定の一つの要素でもあったのですが、今はそのようなことは当たり前。残念なことにそれを前提としたコスト競争に突入し、デフレスパイラルに陥っているので、そのスピードについていくのが精一杯。でも、日ごろから、そのようなことをシステムとして出来ている企業が最終的には評価され、信用に結び付く。何か問題が起こった時、その最終責任は部品メーカーの当社にも及びますから。その緊張感は大切ですね」と木村社長は一気に話した。

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新たな第二創業を支えてくれる、そんな人材に会いたい

「最近、為替や原材料の高騰等、品質や技術とは関係ない領域で、メーカーの利益の大半が飛んでしまうような新聞報道を目にします。そのような影響を受けないビジネスができないかと思っています。それは、現在の事業でしっかりとしたベースを築いている間に立ちあげていきたい」と木村社長。 『まるみ君』の開発を通じて、木村社長は、モノづくり企業として環境負荷低減や自然と共生できるようなビジネスの重要性を強く意識したそうだ。それは、社内だけではなく、面接や会社説明会等のイベントで会う学生にも繰り返し話しており、反応は上々。このビジョンに対して確かな手ごたえを感じている。 「特に若い人にとっては、環境問題は、自分の未来として身近にとらえている人が多いし、関心も高いようです。そのような若くて意欲のある人材と仕事をしてみたいですね。今ある技術力を活かして、モノをひたすら造るのではなくて、修理して長く使う。繰り返し使うというような『リユースビジネス』ができないかなと考えています。それは、国内市場のみでもできますし、為替の影響もない。事業化になるには、まだまだ先の話、解決すべきハードルをいくつもクリアしなくてはなりませんが、私の夢の一つなんです」と木村社長は目を細めて笑った。 木村社長のアイデアの泉は止まることがないようだ。 木村社長をはじめ、トキワ精機の夢への挑戦は、まだまだ続いている。でも、それは『まるみ君』を発明・製品化した時のように、一歩ずつ着実に近づいているのである。

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先輩インタビュー
モノづくりマニアの自分を満足させる環境と先輩がいる会社です。

阿見工場 第1製造部(加工担当)
根本 将太 神林 拓磨
私たちは、阿見工場で現在、当社の主力製品「まるみ君」の加工部門に所属しています。「まるみ君」は、素管を高周波で熱して押し曲げてエルボを作成し、その両端にねじ切り等の加工を施して、東京工場へ出荷します。そのねじ切り等の加工を私たちは担当しています。 加工部門で注意すべきことは、曲げの部門との緊密な連携です。曲げの部門では、素管を高周波で熱して押し曲げる際に熱の加減整にもよりますが、コンマ何度という精密なレベルでの角度の誤差が生じます。その誤差を加工部門がきちんと把握して、ねじを切る芯を出すために、どのように機械に咥えさせ切削していくかを調整することが、私たちの技術者としての腕の見せ所なのです。 以前からある鍛造品の場合は、角度は決まっていますし、ドリルで穴をあけて加工するので、穴とねじがずれることはありませんが、「まるみ君」は、もともと穴があいているので、ねじをきるために芯を出すことが難しいのです。そのため、うまく調整ができないと、1時間に数10個単位で自動的に加工する機械の場合、1晩で数百個の不良の山を築いてしまったこともありました。 モノづくりが好き、機械いじりが好きという人であれば、当社の環境はいいと思います。 なぜなら、「自分はこのようにやってみたい、この方が効率的だ。」等といった社内的な提案を受け入れたり、機械が空いているときに自分の構想した製品の試作をしてみることを温かく見守る先輩社員の皆さまがいるからです。もちろん、安全面に配慮した自動化された機械ですから、ケガ等をする心配もありません。のびのびと、モノづくりに取り組むことができる環境がある。それが当社の魅力だと思います。   それとともに、「まるみ君」の開発を通じて、環境に配慮した製品・モノづくりを進めていることは、トキワ精機の企業理念でもありますが、これからのモノづくり企業共通のテーマだと思うのです。 そのテーマを実現している企業の一員であることに、私たちは、誇りと喜びを感じています。

tokiwaseiki_ph06.jpg 根本 将太さん
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