株式会社 内野製作所

株式会社 内野製作所
「工場と思わなかった」ほどの美しい新工場。大手にも劣らぬ職場環境
新型車用の試作からF1用の製作まで、自動車・バイクの歯車を一貫製造。主要メーカーにとって欠かせぬパートナー

株式会社 内野製作所
「工場と思わなかった」ほどの美しい新工場。大手にも劣らぬ職場環境 新型車用の試作からF1用の製作まで、自動車・バイクの歯車を一貫製造。主要メーカーにとって欠かせぬパートナー

- 社名:株式会社 内野製作所
- 設立年月:1949年6月
- 資本金:1000万円
- 従業員数:61名
- 代表者:代表取締役社長 内野 徳昭
- 社員平均年齢:35.9歳
- 初任給:会社規定により優遇
- 主な勤務地:本社(東京都八王子市戸吹町2105番地)
- 休日:年末年始、夏期休暇、週休2日制(但し、弊社年間カレンダーによる) 年間休日112日(2013年度実績) その他、就業規則による休暇制度・費用全額会社負担による新年会・バーベキュー大会・研修旅行(2013年度海外)等
- 本社所在地:東京都八王子市戸吹町2105番地
- 電話番号:042-696-6210
- 公式HP:http://www.uchino-ss.co.jp/
- ・自動車やバイクの歯車(ギア)を中心に試作。F1/Moto‐GP用歯車の製作も
- ・各社の一番厳しい要求水準で各技術を磨く。最新鋭工作機械を計画的に導入
- ・自然光・風を取り入れ、社員食堂もある新工場。給与などの待遇も大企業級

業種
精密歯車の試作加工 、 自動車、オートバイレース用歯車の加工
事業紹介
■内野のブランド
内野製作所は他社で真似出来ない歯車技術で様々な分野で頂点を極めている企業
自動車試作開発歯車・二輪車試作開発歯車・F1/Moto‐GP/GT選手権のレース用ギア・トラック試作開発歯車・ハイブリット車試作開発歯車・EV車試作開発歯車をメインとして、その他産業用ロボット装置・風力発電機用小型歯車・航空産業用歯車他多数の分野で実績を上げています。
■技術力の内野製作所
内野製作所は、1927年(昭和2年)に創業。織物機械製造機械の修理から戦後、自動車部品加工を開始し、1971年から精密歯車の試作加工を中心に品質への情熱(Quality Charge)を持ち続けています。
■世界に誇る設備群
国内工作機械のみならず海外メーカー(ドイツ・スイス等)の超一流の工作機械をいち早く導入し、国内外のTOPメーカーの設備を保有しております。 精度保証の測定器も国内外のTOPクラスを保有し、洗練された職場環境を維持しております
何を作ってる?
新型の自動車やバイクが世に出るまで、量産に入る前に試作という過程が入る。メーカーの研究者が考えた設計について、「どれくらいの性能が出るか」「部品を設計図どおりに加工できるか」と、さまざまな角度から試すためのものだ。 内野製作所は自動車・バイクの歯車(ギア)試作を手掛けるモノづくり企業。F1やル・マン24時間レース、ロードレース世界選手権(Moto‐GP)といったレース用マシンの歯車も製作。材料の熱処理から、各種加工、研削・研磨、検査まで、すべて社内で賄っている。 量産と違い、試作は1点1点、新しく届いた設計図を見て、加工方法を考えながら、短納期で完成させる必要がある。通常は1カ月程度、時には1~2週間でゼロから作って納めていく。 「お客様からは『出来栄えがいいね』と評価いただいています。工程を減らして効率化を図れば作業時間をより短縮できますが、どうしてもわずかな歪みが生じてしまいます。当社は工程をできるだけ細かく区切り、丁寧に作っているから、そのように評価いただけているのでしょう」(内野徳昭代表取締役社長。以下、同)


会社の強み
もともと、歯車を作れる企業は日本でも多くない。さらに言うなら、自動車やバイクといった高精度が求められる分野で、F1などのレース用マシンの歯車まで製作できる企業はごくわずかだ。 そんな事情から、国内大手自動車メーカーのほとんどと取引がある内野製作所。精度・納期など、メーカーによってこだわる点は異なる。そうした各社のこだわり、一番要求の厳しい企業の水準に合わせることで、自社の腕を磨いてきた。 「試作の場合、図面だけでなく設計者の意図もくみ取らないといけません。まだ完成品ではありませんから、どうしても設計図どおりでは加工に無理が出ることもあります。そんなときにはお客様とコミュニケーションを取り、最善策を考える。そうして今のような信頼関係を築いてきました」 そして同社工場には、検査用の3次元測定器など、数千万円~数億円するような工作機械が多数ある。計画的に最新鋭の機械を導入してきたこともあって、他社が一朝一夕には追いつけない総合力を持つようになった。


職場としての魅力
内野製作所を訪れて、最初に驚くのは、世界のどの工場と比べても勝るとも劣らない新工場の美しさ・機能性だ。 新工場には2011年に移転したばかり。ヨーロッパの工場を参考にして、自然光・風を積極的に取り入れる構造に。社員食堂もあり、ランチのメニューは毎日3種類の中から自分の食べたいものを選ぶことができる。 「『工場だと思わなかった』『こんなきれいな工場を見たことない』と仰る方がほとんどです。ヨーロッパからのお客様にも『今まで見た中でナンバーワンだ』とほめていただきました」 大企業と同水準のボーナスで、業績次第では年3回支給することも。福利厚生も充実。社内イベントにも力を入れ、今年はグアムに社員旅行へ行く予定だ。 「教育もしっかりできる環境が整ったことで、ここ数年は新卒採用にも本腰を入れるようになりました。採用した若手社員はみんな、1人前に育てていきたいですね」


社長・取締役メッセージ
自動車・バイクに一点集中。もっと突き詰めて技術を磨いていく
代表取締役社長
内野 徳昭さん
――既に国内自動車メーカーとはほとんど取引があるようですが、今後はどのような方向性で会社を成長させていくお考えなのでしょうか。
時計の中に使われている超小型のものから、風力・火力などの発電所に使われる直径10メートル級の大型のものまで、歯車にはさまざまな種類があります。
当社は歯車メーカーですから、そうした自動車・バイク以外の歯車も視野に入れて事業を拡大していくのも、1つの選択肢かもしれません。ですが、同じ歯車でも大きさが違うと、加工用の装置も違うものが必要です。加工のノウハウも別物になってきます。
ですから、当社は今後も自動車とバイクに事業を集中していきます。時には、航空機用のエンジンギアや工作機械の歯車などの製作を依頼されることもありますが、やはり自動車・バイク用の歯車が一番高い精度を求められます。難しい仕事は他にできる企業がありません。価格競争に巻き込まれず、しっかりと利益を確保できますから、事業をここに集中しようと考えているのです。
それに、日本の基幹産業は自動車だと私は考えています。万一、自動車産業が崩れたときの影響は甚大です。鉄鋼メーカー、工作機械メーカーや物流なども大きな痛手を被るでしょう。そして自動車メーカー含め、関連メーカーに勤める人たちまでもが失業したら、家電や住宅なども買われなくなります。
そう考えていくと、日本経済の浮沈は自動車産業が握っています。自動車産業が沈んだときに備えようとしても、逃げようがありません。一点集中で自動車・バイクのことだけを考えて、もっと突き詰めて技術を磨いていくつもりです。
私が学生時代を振り返って、唯一後悔しているのはあまり勉強しなかったことです。学生時代には、せっかく勉強のための時間を確保できるわけですから、自分のやりたい勉強を一生懸命やっておいた方がいいと思います。
私は文系に進んだのですが、理系にも興味を持っていました。今も仕事にしていますが、昔から自動車やバイクのことが好きでした。機械系の学科に進み、突き詰めて勉強してみたかったですね。
あとは英語です。会社を継ぐために当社へ入社する前、私は外資系の石油会社で働いていました。そこで海外とビジネスをするためには、やはり英語が必要でした。学生のころに、ビジネスで使える英語をしっかりと習得しておけばよかったと思っています。ただ会話できるようになるだけでなく、もう1つ上の段階、仕事で使える英語を身に付けておきたかったですね。
私が懸念しているのは、最近の若い人の中に、覇気のない人が多いような印象を受けるところです。遊びでも何でも、何かをするときは全力投球であってほしい。もっと熱意を持って何かに取り組む経験を、若いうちに積んでおいてほしいです。

先輩メッセージ
取引先は有名企業ばかり。テレビで取引先の名前を聞くとうれしくなる
経理部
神代さん
――どのような軸を持って、就職活動に臨まれたのでしょうか?
事務職として働けて、自宅から通いやすい会社に応募しようと思っていました。
内野製作所のことは、学校の先生から教えていただきました。説明を聞き会社に興味を持ちましたので、自分から連絡をして選考を受けることにしました。
私は短期大学出身。事務職に応募しても「採用人数:1名」の企業が多く、就職活動を続けるうちに、いつしか「どこに応募しても自分は採用されないかな……」とあきらめるようになっていました。ですが、当社を受ける前に「受けてみないと始まらない!」と思い返し、もう1度挑戦してみたのです。
会社見学に来たとき、工場がすごくきれいで設備も整っており、「こんなきれいな会社で働きたい!」と思うようになっていましたので、採用していただけたときには本当にうれしかったです。
最初の1週間は新入社員7名が合同で外部の研修を受けに行きました。社会人としての基礎を学ぶ内容でしたね。
そこから製造と事務に分かれ、私は経理部門の配属になり、取引先企業に支払うお金の管理を担当しています。手形や領収書の作成が主な業務ですね。
入社してまだ3カ月ですから、仕事に慣れるためにも、電話応対は新入社員が率先して対応するようにしています。とても緊張してしまって、聞き間違えや言葉遣いが失礼になってしまうこともありますが、周りの先輩方から「次からは直してね」と優しく教えていただいています。安心して仕事に取り組めていますよ。
特に「いいな」と思ったのは社員食堂があることです。毎日料理を3種類から選べて、3種類がどれも違う内容。好きなものが必ず1つはあります。値段も手頃なのに豪華で……、おなかもいっぱいになります(笑)。
私自身、モノづくりに直接かかわっているわけではありません。正直なところ、最初は「歯車」「ギア」と言われても何のことか分かりませんでした。入社してから製造工程を教えていただき、実際の製品を目にするようになり、ようやく理解できるようになってきたところです。
当社の取引先企業は、誰もが知っているような有名な企業ばかりです。テレビで名前を聞くと、「取引していた会社だ」と思えたりして、うれしくなります。
モノづくりって、学生のころはまったく知らない世界でしたが、働き始めて少しずつ身近な世界になってきていますね。
さまざまな資格を取って、できることを増やしていきたいです。経理の仕事をしていますが、今やっているのは支払いのところだけです。経理の業務にはほかにもいろいろな業務がありますから、まずは経理のことなら何でも分かるようになっていきたいです。
私自身、就職活動がうまく行かず、途中で心が折れて何もしなかった時期もありましたが、本当に縁から当社への入社が決まったのです。
企業との出会いはどこにあるか分からないものです。どんな企業がいい企業かも、実際に見てみないことには分かりません。「こんな企業はどう?」と誰かに薦められたのなら、その助言に耳を傾けて、興味を持って行動に移してみてください。

先輩メッセージ
1本何百万円のF1メインシャフトを研磨。他社がみんな断った仕事を見事にできた
製造部研磨グループリーダー
杉本さん
――以前は別の会社に勤務していたそうですね。
はい、以前は金型関係の仕事をしていました。小さなころから、図面・設計図を見たり描いたりするのが好きでした。それでモノづくりに興味を持って、前職ではCADを使った設計を担当していました。
ところが、前職は残念ながら倒産してしまい、転職活動を開始しました。内野製作所のことを聞いたときには、F1やバイクの歯車を作っているところに興味を持ちました。どちらも好きでしたし、金型も歯車もどちらも鉄を削る仕事でしたから、「この会社で働きたい」と思ったのです。
はい、CADでした。それが転職後、プログラミングが分かるところを買われて、装置を動かすのにプログラミングが必要なワイヤーカット加工を担当することになりました。
そこからある日、「人手不足だから研磨の仕事を手伝ってくれ」と言われ、全くやったことのない仕事でしたが、手伝いに行ったことがきっかけで研磨の仕事をするようになりました。
歯車には軸を通すための円が真ん中にありますよね。研磨を始めたころは、その内径部分を担当しました。実は軸の回転力を逃さず歯車に伝えるため、内径の研磨は非常に重要になります。ある工作機械は1秒間に10万回転しますから、わずかな狂いがあるだけで、ものすごくうるさくなってしまいます。
±1000分の1ミリの精度が求められるだけでなく、「どれだけ円が丸くなっているか」という真円度も計測する必要があり、とても慎重さが求められますが、大事なところだけに、削るときはいつもワクワクします。少しずつ計測しては研磨して、という工程を繰り返しています。
F1のメインシャフトを任されたことがあります。1本何百万円もする部品です。非常に長い部品で、しっかり固定して力を逃さず伝えるのが難しく、うまく研磨するのは至難の業です。どこの企業も断っていた中、当社で引き受けることになりました。
難しい仕事でしたが、研磨に使う砥石などの条件がぴたりとはまるとうまく研磨できるのです。自分がやってみたところ、それが可能になり「どの会社にもできなかった仕事が自分にできた!」ととてもうれしく、楽しい気分になりました。
食事もコックさんが作りたての料理を用意してくれますし、福利厚生も整っています。
私なんかは、海外旅行はすべて会社に連れていってもらっています。今年も社員旅行が海外ですし、工作機械の世界的な展示会がドイツで開かれたときには、「行ってこい」と出張させてもらえました。そのときに見た工作機械で、いいと思った機械を社長にも見てもらい、当社で導入することが決まりました。こんなに重要なことを私が判断してもいいのか、と思ってしまうくらいです。
入社してからずっと加工を担当してきました。もう本当に加工が大好きになってしまいました。これからも極限の公差を求めずっと加工に携わっていたいですね。
「就職=ゴール」と考える人がいるかもしれませんが、就職してからも成長を続けないと取り残されていきます。気を引き締めて日々の仕事に臨んでほしいです。
実際、私自身社会人になったばかりのころは、まさか研磨することになるとは思っていませんでしたよ(笑)。日々、成長しようとする姿勢を忘れないでください。
注)掲載している情報は、取材日(2013年6月)時点のものです。
