TOKYO SHIGOTO WAGON REPORTトーキョー・シゴト・ワゴン 実施レポート
社員と社員の家族を大切にする。働く環境が優れた企業特集
1社目 株式会社クリエイティブキャスト/5名参加
最初に訪問したのは、金融機関などで使われるコンピュータシステムの開発や運用を手掛けるクリエイティブキャスト。同社はリラックスした空間で仕事に取り組めるようなオフィス環境づくりに力を入れています。ここでは、会社説明、オフィス見学、若手社員を交えての座談会を行いました。
ツアー内容
会社説明
2003年創業のクリエイティブキャストは、情報システムやネットワーク構築などの受託開発や、AIツールの導入支援、教育関連事業などを行うIT企業。80人の社員のうち、約8割がエンジニアとして働いています。
「当社の経営理念は『みんながHAPPY』。そのために『社員とその家族の心の充実』の実現に取り組んでいます」と説明してくださったのは、採用担当の田崎さん。理念を実現するために、同社では独自の福利厚生制度を導入しているといいます。
「当社では、有給休暇とは別に特別休暇制度をいくつか設けています。例えば記念日がある月には、アニバーサリー休暇制度を使って自由に休みを取ることができます。記念日の種類には制約がないため、結婚記念日に家族で旅行に行ったり、誕生日に友達と遊びに行ったりというような使い方が可能です。更に、初めてダイビングをした日や金沢に行ってお寿司のおいしさに感動した日、といったものを記念日ととらえ、その地にもう一度行くために使った社員もいます。また、社員のリフレッシュやスキルアップを図るために、年に一度、丸1日を休暇にできるCCナショナルホリデーという制度も設けています」
また、同社は社員が働きやすい環境づくりにも積極的に取り組んでいます。例えば、幼い子どもがいる社員が、仕事をしながら子どもの面倒を見られるようにと、キッズスペースを設置しています。これは、産前産後休業・育児休業を取得した女性社員が代表に相談したことで設置が実現しました」
社員と代表との距離が近く、意見を言いやすい環境の同社に、参加者も感心していました。
- 採用担当の田崎さんによる会社説明
- 同社の福利厚生について参加者も興味津々
オフィス見学
オフィス見学では、執務室や会議室、フリースペース、キッズスペースを見学しました。
執務室や会議室のレイアウトや備品は、自分たちが仕事をしやすいように、社員と代表が話し合って決めているそうです。またフリースペースでは、社員が仕事の合間にリフレッシュできるように卓球台が置かれている他、カフェコーナーもあり、安価でコーヒーが飲めるようになっています。
続いて見学したキッズスペースでは、2人の社員が子どもと一緒に業務を行っていました。子どもたちは見学に来た参加者たちに興味津々。手を振る子どもたちに参加者も思わず笑顔になっていました。実際に社員の方々も日々子どもたちに癒されているそうです。
- オフィスに入るとまず、明るいフリースペースが目に入る
- 壁紙から会議室の机まで、会社の備品には社員の意見が反映されている
座談会
次に、参加者が2つのグループに分かれて、若手社員とママ社員を交えて座談会を行いました。
「入社することにした決め手は何ですか?」という参加者の質問には、「社内の雰囲気が良かったところです。一人ひとりのデスクが広くて、のびのび仕事しているように見えたのも魅力的でした」と回答。また、社内の環境については、他の社員からも「内装がかわいくて、働くモチベーションが上がります。部屋ごとにレイアウトが違うので、集中力が切れたときには違う部屋に移動して作業したりしています」とオフィスの活用方法についても教えてもらいました。
キッズルームで働くママ社員には「出産しても働きやすいですか?」という質問が挙がりました。それに対して、「段々と子育てをする社員が増え、子どもがいても働きやすい環境が整ってきました。社員の皆さんが優しく、理解があります」と語ってくださいました。
- 社員が子供を抱えながらの座談会
参加者からの声
参加者からは「内装がきれいで個人の机が広く、働きやすそうな環境だと思った」、「出産後も働きたいと思っていたので、キッズスペースがあるのは魅力的」といった感想が聞かれました。
2社目 株式会社電巧社/5名参加
続いて訪問したのは、配電盤の製造や電気設備の卸売りを行う電巧社。創業91年を迎えた同社は、社員がやりがいを持って働けるように、社員が主体的に参加する独自の研修プログラムを導入するなど、様々な改革に取り組んでいます。ここでは、会社説明、オフィス、工場見学、若手社員を交えての座談会を行いました。
ツアー内容
会社説明
電巧社は、建物内に電気を送るために必要な配電盤の製造をするメーカーとしての一面と、空調機器や照明器具、エレベーターを扱う商社としての一面を併せ持っています。近年ではITソフトウェアの開発を行うなど、まさに電気を扱う複合企業といえます。
1928年創業の同社の経営理念は「全社員が人生の成功者になる」。成功とは「健康・絆・幸福」の3つであり、それを社員が努力して実現していくことだそうです。同社では、その考え方を表す言葉として「シゴトをアソベ!」を採用活動のキャッチコピーとしています。採用担当の方から同社の特徴をお話しいただきました。
「これからの人生、ほとんどの時間を仕事に費やします。その仕事がつまらなかったら人生もつまらないものになってしまいます。努力し苦労を乗り越え感じる達成感が喜びであり楽しさです。だからこそ当社では、年齢にかかわらず社員がやりたいことにチャレンジできる環境を整えています。年に2回の全社でのミーティングでは、入社3カ月の若手社員が立候補し司会を担当したり、1年目の社員が部門の方針をプレゼンしたりします。毎年恒例の社内イベントであるバーベキュー大会では、若手社員が実行委員として、企画、運営を行っています。新しいイベントを立ち上げたいと思ったら、社長にプレゼンをして、企画が通れば社内イベントを実現させることができます。最近では、屋上での映画観賞会を実現させました。このように、若手のうちから社内で提案をする経験を積み、ビジネススキルの向上をはかっています」
また、同社は他にも、社員やその家族を大切にする取組を行っています。
「バーベキュー大会は、社員の家族も招待することができ、オフィスや工場の見学ツアーが行われ、働く環境や仲間を実際に見てもらいます。工場で働くエンジニアたちはこの日のために、子ども向けに段ボールハウスなどの遊具を作り、盛り上げます。参加する社員の家族や子どもたちからも大好評のイベントになっています」と紹介していただきました。
他にも、同社では社員の健康推進のために、エントランスのオシャレなカフェでは昼食時にサラダバーを提供。社内でストレッチ・トレーニング講座なども開講したことがあるそうです。
- 数々のユニークな社内制度を紹介する八木橋さん
- 同社の様々な取組に、参加者からも質問の手が挙がる
オフィス、工場見学
続いて、オフィス内の見学を行いました。仕切りのない開放的なオフィスで社員はもちろん、役員の机も同じスペースにあります。社内でのコミュニケーションがとりやすいようにレイアウトや配置を工夫しているとのことでした。
次に、オフィスの1階にある工場を見学しました。床を見ると、緑と赤に色分けされています。これは、歩行スペースと作業エリアを区別するための安全対策ということです。また、工場には様々な配電盤がずらりと並んでいました。同社の配電盤は空港などの屋外に配置されることも多いそうです。実際に、飛行機や管制塔から見ても認識できるよう色が塗られたものや、上部に雨除けの屋根がある配電盤なども見学することができました。
今回は特別に、ネジ締め体験も行いました。配電盤には大小さまざまなネジが使われています。そして、ネジのサイズによって締めなければならない力が異なるそうです。この力加減が弱いとネジの緩んだ部分に電気がたまり、火災につながってしまうのです。
今回のネジ締め体験では、配電盤で一番多く使われているサイズのボルトを「50ニュートン」の力で締めるという体験をしました。はじめは原理がわからず、戸惑っていた参加者たちもボルトの締め具合を調整できる専用レンチの使い方を教えてもらうと、夢中になってネジ締めをしていました。
- 開放的な雰囲気の同社オフィスを見学
- ネジ締め体験をする参加者たち
座談会
若手社員を交えた座談会では、商社部門と管理部門の社員の方に質問に答えていただきました。「働きやすい環境ですか?」という質問には「オフィスがワンフロアにまとまっていて、社内の風通しは良いです。また、工場もすぐ下の階にあり、また高い技術力を持ったエンジニアも多くいるので、疑問や問題が出たときにすぐにコミュニケーションが取れるところも良いところだと思います」と回答。また、「面接のときに緊張してしまう」という相談には、管理部門で採用も担当している社員の方が対応してくださいました。「とにかく練習の数をこなすことが大切です。友達だけではなく、学校の先生などの大人ともできるだけ話すようにしてみてください。また、緊張しているときは無理に隠す必要はありません。面接官に緊張していることを伝えて、ゆっくりでも良いので、事前に話すと決めたことだけは話すようにすれば、印象も悪くありません」と丁寧にアドバイスしていただきました。
- 座談会では、若手社員に次々と質問が投げかけられた
参加者からの声
参加者は、「入社してすぐやりたいことにチャレンジできる雰囲気がよかった」、「安い値段でサラダバーを利用できて、社員の健康に気を使っている印象だった」、「ネジ締め体験で、社員の方が軽々とネジを締めていてかっこよかった」といった感想を述べていました。
まとめ
1社目のクリエイティブキャストは、子育てをしながら働く社員にも働きやすい環境づくりに取り組んでいる会社。2社目の電巧社は社員のチャレンジ精神を積極的に応援する会社でした。どちらの会社も自社の社員だけでなく、社員の家族まで大切に考えており、社員の声に耳を傾け、安心して働ける環境を次々に整えていく様子が感じられました。参加者たちは、家族まで大切に思う会社の考えに、中小企業で働く温かさを感じているようでした。