TOKYO SHIGOTO WAGON REPORTトーキョー・シゴト・ワゴン 実施レポート
帝京大学 経済学部限定回
1社目 株式会社TOK/12名参加
はじめに訪問したのは、家電製品に使われるベアリング部品などの製造を行う株式会社TOK。ここでは、吉川社長による会社説明からスタートし、オフィス見学、そして若手社員を交えた座談会を行いました。
ツアー内容
会社説明
「本日は当社の業務や取組に加えて、これから就職活動を行う学生の皆さんに、イメージの湧きづらいものづくり中小企業についてもお話ししたいと思います」という吉川社長の挨拶から、会社説明が始まりました。
1938年創業の同社は、樹脂ベアリングとロータリーダンパーという製品の製造、販売を行っています。樹脂ベアリングは、冷蔵庫などに取り付けられ、引き出しの開閉をスムーズにするための部品です。最近では、品出しを効率的に行えるように、コンビニの棚にも取り付けられています。また、ロータリーダンパーは、トイレやピアノのふたをゆっくり閉じるために使われている部品です。
吉川社長からは同社で製造される樹脂ベアリングを例にして、中小企業で作られた製品がどのような工程を経て、消費者が購入する商品になるのかを説明していただきました。
「当社では、樹脂ベアリングの部品を作るために必要なプラスチックを、『材料商社』から買い付けています。これを成型して樹脂ベアリングに必要な外輪や保持器という部品を製造します。これらの部品を組み立て、樹脂ベアリングが完成します。そして、これを『部品商社』と呼ばれるところに納品します」
その後、同社の製品は「部品商社」から「メーカー」に運ばれ、家電製品の一部として組み立てられます。出来上がった商品はメーカーから卸売に納品され、そこから家電量販店などの小売業を介してはじめて消費者の前に並ぶことになります。
普段はあまりなじみのない部品の流通過程を知り、学生たちも興味津々で聞き入っていました。
次に、社員に充実感を持って働いてもらうための社内制度について説明していただきました。
「社員教育の一環として、社外の通信教育講座と提携し、社員が自由に受講できるようにしています。業務に必要な資格を取得するための講座や営業トークを磨く講座など、仕事に直結するものはもちろんのこと、業務に関係ない講座を受けたとしても、費用は会社が負担しています。社員からは、教材費などを気にせず幅広い知識、技術が身に付けられると好評です」
- 自社製品について説明する吉川社長
オフィス見学
会社説明の後は、同社のオフィスを見学しました。
はじめに案内されたのは試験室。同社の製品が長年の使用に耐えられるか、何万回もの動作テストをしています。 次に見学したのはワークスペースです。カフェ風のコンセプトで内装が作られており、木目調の落ち着いた雰囲気。同社では社員ごとに決まった机がない、フリーアドレス制を取っています。そのため、直属の先輩の隣に座ったり、打ち合わせをしたい人と隣り合って座ったりと、その日の業務に合わせて座る位置を選ぶことができるといいます。
更に、ワークスペースの入り口の近くには、バリスタスペースが設けられています。そこでコーヒーを飲みながら一息ついて、気分転換をはかることができます。
おしゃれなオフィス環境に、学生たちも目を輝かせながら見学していました。
- 試験室は24時間稼働している
- 清潔感があり、開放的なワークスペース
座談会
続いて6名の若手社員を交え、座談会を行いました。
「中小企業で働くやりがいは?」という質問に、「取引先ごとに特注の製品を作ることが多く、そのような柔軟な姿勢は中小企業ならではだと思います」と答えていただきました。また、他の社員からは「当社で製造している製品は小さな部品だけれど、コンビニの棚やトイレなど、普段の生活で見かける商品にたくさん使われているので嬉しいです」と製造業ならではの魅力を教えていただきました。また、「残業はありますか?」という質問には、「当社は毎月第一水曜日と毎週金曜日、更には週に1日好きな曜日をノー残業デーに設定できます。ノー残業デー以外の日にも遅くまで残って仕事をすることもなく、残業はほとんどありません」と答えていただきました。
働きやすい環境で、やりがいを持って働く社員たちの話を学生たちも真剣に聞いていました。
- 和やかな雰囲気で始まった座談会
- 若手社員の話に学生も真剣に耳を傾ける
参加者からの声
学生からは、「身近な商品に使われているものを製造できるのは楽しそう」、「オフィスがおしゃれでやる気を持って働けそう」といった感想が聞かれました。
2社目 コーデンシTK株式会社/12名参加
続いて訪問したのは、半導体を使ったセンサーやLED関連商品の販売を行うコーデンシTK株式会社。ここでは、会社説明、オフィス見学、若手社員へのインタビューを行いました。
ツアー内容
会社説明
1973年設立の同社は、コーデンシグループの東日本営業拠点として、赤外線を使った半導体センサーやLEDディスプレイの販売を行っています。半導体センサーは自動車の追突防止機能に使われているほか、様々な家電製品に組み込まれ、例えば、プリンタやコピー機に搭載され、ガラス面に置かれた原稿のサイズを自動で測るのに一役買っています。LEDディスプレイは、各種イベントでのデジタルサイネージ広告をはじめ、駅や繁華街のディスプレイ広告に使われています。最近では、画面やキーに触ることなく手のひらの動きで色々な操作が行えるジェスチャーセンサと言うセンサー&システムを使って、ディスプレイを見る人が非接触で画面を操作できる商品の販売も行っています。LEDディスプレイの需要は年々拡大しており、観光地の宣伝用としてニーズが高まっているほか、有名アーティストのコンサートで使われるセットの一部としても、同社の商品が使われているといいます。
「自動運転車、自動搬送ロボットや工作機械ロボットには、物との距離を測定したり、動きを見たりする為に半導体センサーが欠かせません。自動車には、現在でも数多くのセンサーが取り付けられていますが、自動運転になれば、更に多くのセンサーが取り付けられるようになるでしょう」
次に同社が行っている社員研修や働きやすい職場づくりについて、音綿取締役に話していただきました。
「当社の社員は9割近くが文系学部出身です。そのため、入社してからしっかりと製品についての知識を研修で学べるようになっています。研修後も約半年間は先輩社員の営業同行の期間とし、時間をかけて教育をしていきます。更に、社員の働きやすさを向上させるために、厚木にサテライトオフィスを設置しました。これにより、遠方に営業に行ったときでもわざわざ本社に戻って作業をする必要がなくなり、労働時間の短縮につながっています」
他にも、駐車場にキッチンカーを誘致し、従業員は割引価格で利用できます。これによりお昼を購入する手間や時間が省け、ゆっくりお昼休みを取ることができます。
充実した研修制度や働きやすい職場の環境づくりに、学生たちも真剣に耳を傾けていました。
- 同社の取組を熱心に聞き入る学生
- 同社が扱う半導体センサー
オフィス見学
続いてオフィス見学が行われました。学生たちはエントランスや執務室を訪問。エントランスには、「東京ライフ・ワーク・バランス認定企業」などの表彰状や、同社が取り扱っているLEDディスプレイがずらりと並べられており、学生たちも興味津々な様子で見学していました。
- エントランスに飾られている東京ライフ・ワーク・バランス認定企業の盾
インタビュー
次に、グループに分かれて若手社員にインタビューをし、グループごとに同社の魅力を伝えるプレゼンを行いました。
インタビューでは、学生から「同社の強みだと思う点は?」という質問がなされ、それに対して「研修期間が長く取られているので、社員をきちんと育てフォローが手厚いという点です。また、センサー市場はどんどん広がっているので、事業に未来があるということも強みです」と営業部の若手社員に答えていただきました。
更に、会社に関してだけではなく、就活に関するアドバイスもいただけるということで、「就活時に気をつけたことは?」と学生が質問。「自己分析をきちんとしてから面接に挑みました。特に、自分が0を1にする仕事が得意なのか、1を100にする仕事が得意なのかをきちんと理解した上で面接官に伝えることが重要だと思います」と丁寧に回答いただきました。就活に関する具体的な回答をいただけ参考になっただけでなく、社員の方に気軽に質問できる雰囲気や魅力も感じ取ることができました。
インタビュー後のプレゼンでは、学生から同社の魅力が次々と語られました。「同社で販売する半導体センサーはひとつ10円~数10円という価格ですが、ひとつの家電製品に何個も搭載されており、それが世界中で製造、販売されていることを考えると、とても有望な会社だと思いました」という発表には、音綿取締役や若手社員も感心していました。
- 学生の質問に情熱いっぱいに答える社員
- 同社の魅力をプレゼンする学生
参加者からの声
学生からは「文系学部出身の社員が多いことに驚いた。研修がしっかりしていて文系の自分でもがんばれそうだと思った」、「残業が少ないと聞き、私も就活するときにそういう会社を選びたいと思った」、「好きなアーティストのコンサートにも同社の商品が使われていると聞き、親近感がわいた」といった声が聞かれました。
まとめ
1社目のTOKは樹脂ベアリングやロータリーダンパーという製品の製造、販売を行う会社。2社目のコーデンシTKは半導体センサーやLEDディスプレイの製品の販売を行う会社でした。どちらの製品も家電製品などの部品として取り付けられており、まさに日本のものづくりを支える縁の下の力持ちといえます。参加者たちは、中小企業から人々の生活に寄り添う製品が発信されているという事に、驚きと魅力を感じていました。