<中小企業しごと魅力発信プロジェクト>

中小企業しごと魅力発信プロジェクト 東京カイシャハッケン伝 東京カイシャハッケン伝

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TOKYO SHIGOTO WAGON REPORTトーキョー・シゴト・ワゴン 実施レポート

働く環境とビジネスモデルが秀逸な企業特集

1社目 株式会社ライフィ/3名参加

 最初に訪問したのは、インターネットを通して生命保険や損害保険の代理販売をメイン事業として展開するライフィ。代表から会社の歩み、保険代理店の役割、更に「社員の幸せ」という経営理念についてお話をいただきました。その後、ミニ会議体験、グループワークを行いました。

参加者に語りかける澤田代表

ツアー内容

会社説明 生命保険、損保保険の代理店の役割
 ライフィは2000年の創立以来、インターネットで約60社の生命保険や損害保険を取り扱う代理店として事業を拡大してきました。まず、参加者に声を発したのは澤田代表。
 「生命保険や損害保険の「保険会社」と「代理店」の違いが分かりますか」との質問。どよめく参加者を前に澤田代表は、保険会社は保険という商品を作り、私たち代理店がその保険を販売する、という関係ですと簡潔に説明。参加者全員からは納得の声が上がりました。
 ライフィの企業理念は、「真心を込めた良質な情報提供を通し、和をもって、係る全ての人の成長・幸せ・未来に寄与する」というもの。その理念を実現するために社員と共に働きやすい環境を整えた結果、平成30年度に東京ライフ・ワーク・バランス認定企業の大賞を受賞しています。具体的には、その日の退社予定時刻が書かれたカードをパソコンのモニター等に掲げて見える化し、お互いがその申告を妨げないように仕事をそれぞれに進めるといったものがあります。

 更に、一般的に企業は利益を第一優先するものですが、ライフィは、「真心を込めてお客様のために」の理念に従って、お客様に寄り添った営業を実践しているといいます。そうした仕事への取り組み方が結果的には利益を生むことにつながると澤田代表。理念を大切にする熱いお話は参加者を大いに納得させたようでした。

  • 参加者からの質問にも澤田代表が丁寧に答えてくれる

ミニ会議体験 全員で課題を共有、解決する独自の会議
 続いて、参加者たちは若手社員2名を交えてのミニ会議を体験しました。ルールは制限時間を3分とし、代表の話で「分かったこと」を瞬時かつ端的に発表するというもの。リズムよく時計回りにリレー方式で発表を繰り返しました。3分が経過すると今度は「分からなかったこと、もっと聞きたいこと」を同じく一言ずつ3分間発表し、代表から一つひとつに答えていただきました。「生産性を上げる方法」、「残業時間を減らすには」、という発表に、「社員教育を徹底し、少なくとも月に1回は研修を実施している」、「各チームが継続的に効率改善を行う仕組みなどをしっかり作っている」、など全てに回答していただき、参加者は理解を深めました。この会議は全員が参加者意識を持ち、課題を共有し、皆が自分で考え解決していくための訓練になると同社で実際に取り入れているといいます。
 参加者からは緊張している様子が見て取れましたが、誰もパスすることなく発表を遂げました。これには代表も、社員からも愕きと称賛の声をいただきました。

  • 社員も参加者と一緒にミニ会議に参戦

社員インタビュー 執務スペースで社員に質問・1分間プレゼン
 次に参加者は執務スペースで働いている社員にインタビューをして、感想を1分間で発表するというワークを行いました。執務スペースで参加者の目を引いたのは澤田代表の話にあったパソコンモニターの上の退社時間を知らせるカードです。参加者からの、申告通り退社できているのかという質問に、社員からは「お互いが気遣い、その時間に退社できるようにミーティングなども時間設定している」という回答がありました。
 そして、インタビューに答えていただいた社員全員を前に、感想を1分間プレゼンでまとめました。「社長と社員の距離が近いということを実感した」、「目標を立てて仕事にかかることが、残業を少なくする、未来への糧となっていくということが分かった」と参加者は各自、臆することなく発表しました。

  • 各自の机に退社時間申告カードが掲げられていた執務室
  • 堂々たる態度でプレゼンテーションに挑む参加者

社員との交流 参加者へエール
 次に社員との交流が行われました。まずは社員から「どのような仕事をすると他の人に喜んでもらえると考えていますか」と質問を投げかけられました。参加者は、「困っている人の役に立てる仕事をしたい」「お客様が求めていることをやれる、相手のニーズに応えられる働き方をしたい」「必要とされる、感謝される仕事をしたい」とそれぞれに答えました。
 代表からは、自分が幸せでなければお客様を幸せにできないということを念頭に、相互が幸せになれる職場を見つけて欲しいという言葉が参加者に贈られました。
 ツアーの締めくくりに同社社員から中小企業の魅力を語っていただきました。「実践を通して短期的に仕事を学べるのが魅力」、「与えられた仕事が何のために必要なのかが見えやすい」「人との距離が近い分、深い付き合いができる」「自分の意見が通りやすい」「自分の裁量で仕事に取り掛かれるチャンスが多い」、「自分らしく生きることができる」など、中小企業で働く素直な感想が聞くことができ、参加者たちにとっては貴重な交流の場となったようです。

  • 就職活動を控えた参加者に代表からのエール

参加者の声

 「インターネットに特化した事業展開や、会社の独自の制度について具体的に知ることができた」「自分、そして周りの人を幸せにするために働くことの素晴らしさがよくわかった」といった声が寄せられました。

2社目 FSX株式会社/13名参加

 次に訪問したのは、飲食店などでお客様に出されるおしぼりの製造、販売、レンタルなどを手掛けるFSXです。総務部の社員の方から会社の概要、同社が提供するおしぼりの特徴、そして同社のこれからの展望についてお話を聞いた後、工場見学、そして若手社員たちとの座談会を行いました。

アロマが施されたFSXの主力商品群

ツアー内容

残業を削減するシステムの構築
 1967年に創業したFSXは、おしぼりの製造・レンタル、配送、おしぼり用の冷温庫やおしぼり周りの製品などの企画開発・販売などを手掛ける企業。国立市に本社と2つの生産工場を置き、更にベトナムの連絡事務所を拠点におしぼりやタオルの輸入事業を展開しているという案内からツアーはスタートしました。まずは総務部の社員の方からお話をお聞きしました。
 「おしぼりは日本発祥であり、江戸時代の旅籠という宿泊施設で使われたのが始まりです。現在では外食産業などを中心に、広く私たちの生活にも根付いています。戦後復興で外食産業が増え始めた頃から続くおしぼり業も、バブル崩壊後の1997年をピークに苦戦を強いられています。そこで当社では、アロマの香り漂うおしぼりや抗ウイルス・抗菌の『VB(ブイビー)』を配合したおしぼりなど付加価値のある製品開発を行うことで、業績を伸ばしています」
 独自性を生かした同社のビジネス展開に参加者たちは興味津々に聞き入っていました。
 次に社員の働く環境の改善について紹介してくださいました。同社では、客先の都合で発生する残業時間の削減に力を入れているそうです。例えば、ウェブ制作の内製化や集金システムの構築などに着手したといいます。
 「インターネット通販のシステムやカタログなどの制作を外部に任せることなく、全ての工程を社内で行うことで即応性が図れ、制作物などを短時間で作ることができ、担当者の残業時間の削減につながりました。また、集金システムを構築し、これまで配達担当者が集金に出向いていたものを自動引落しや振込システムにしたことで大きく移動の手間が省け、これも残業時間の削減につながりました」
 こうした改善で従業員の多くが家族と過ごす時間が増えたという声を多く聞くようになったそうです。また、女性社員のための環境改善や外国人・障がい者雇用の整備などにも力を入れ、社会に貢献する企業として成長しているという話も紹介されました。

  • 会社概要について説明を受ける参加者
  • 事業内容を聞き入る参加者の表情は真剣そのもの

工場・施設見学 配送システムの変革が効率化を高める
 ライン化された工場では、従業員が一糸乱れぬ動きで作業を行っていました。従業員一人で1時間に1,300枚のおしぼりを包装機に送り込むと聞き、参加者からは驚きの声が上がりました。次におしぼりの洗浄工程を見学。1度に約1万枚のおしぼりを洗浄できる業務用の連続洗濯機があり、年間約7千万本ものおしぼりを出荷しているそうです。参加者は物流現場も見学。そこでおしぼりのルート配達やネット注文を受けた商品の管理体制の説明を受けました。より多く注文があるものを倉庫の手前に、注文が少ないものを奥にというシンプルなシステムながら、この形にすることで、商品仕分けの時間を大きく抑え、効率化が図れているという現場ならではのお話が聞けました。
 次に訪れたのが、事務職部門。多様化するお客様に対応し新規開拓を行う営業部門、地域に密着して手厚い対応を行う配送部門、事務処理を行う総務部門、様々なお客様のニーズに応え商品を取り揃え管理を行う商品管理部門といった全ての部門がつながる社内システムが社員同士の連携を円滑にし、業務の効率化に繋がっているというお話をしてくださいました。

  • 情報システム・商品管理室で業務内容の紹介を受ける参加者
  • 清潔な作業現場を窓越しに見学する参加者

座談会 仕事の流れを聞いて、働く姿をイメージ
 次に社員3名と参加者が3グループに分かれ、座談会を行いました。おしぼりの配送についての具体的な説明や、家族と過ごす時間が持てることがいかに働きがいにつながるかという話をお聞きし、参加者たちも一同にメモをとっていました。
 更に営業担当の社員からは営業職の仕事について具体的にお話しいただき、同社の仕事の輪郭が参加者にもつかめた様子でした。事務職の社員からは、一日の仕事の流れについてお話しがありました。午前中は注文書作成、午後は電話対応といった具体的な説明に、参加者は働く姿をリアルにイメージできたようでした。

  • 業務内容やプライベートなど、ざっくばらんに質問

参加者の声

 参加者たちからは「業界全体が苦境の中、新しいアイデアで業績を伸ばしていることに大きな魅力を感じた」という意見や、「ニーズの変化に合わせた商品開発をしている点が印象に残った」、また、「工場では、効率性とともに衛生面にも配慮していることが見て取れた」という感想が多く聞かれました。

まとめ

 1社目のライフィは、インターネットを通して生命保険や損害保険の代理販売事業を展開し、2社目のFSXはおしぼりの製造、販売、レンタルなどを手掛ける会社でした。どちらも私たちの生活と密接に関わる事業であるにも関わらず、当初はあまり仕事内容をイメージできなかった参加者でしたが、ツアーを通じて、独自のビジネスモデルを展開していることや、働きやすい環境づくりに力を入れていることを知ることができました。