TOKYO SHIGOTO WAGON REPORTトーキョー・シゴト・ワゴン 実施レポート
大東文化大学連携回
1社目 株式会社TOK/8名参加
午前中に訪れたのは、冷蔵庫などに使われる機械部品を製造するTOKです。元の建物をリノベーションしたという本社オフィスで吉川代表から事業概要、BtoBビジネスとは何か、大手と中小企業の違いなどをお話いただきました。その後、製品の品質を検査する試験ルーム、オフィススペースを見学。最後に若手社員6名を交えた座談会という流れとなりました。
ツアー内容
会社説明など 技術力や評価を知る
東京都板橋区にある本社オフィスを訪問。カフェのような内装を目にした参加者から「きれい」「おしゃれ」と声が上がりました。まずは吉川代表から、会社概要をお話していただきました。
1938年創立の同社は機械部品メーカーとして、数々のオリジナル製品を生み出してきました。主力製品は、樹脂ベアリングとロータリーダンパー。聞きなれない名称ですが、実は身近なところで活用されていると例を挙げながら説明してくださいました。
「普段何気なく開け閉めしている冷凍庫。スムーズにできるのはなぜでしょう?当社が製造する『樹脂ベアリング』という部品が回転し、摩擦を減らしているからです」(吉川代表)
同社の樹脂ベアリングは、誰もが名を知る多くのメーカーが採用しているとのこと。選ばれる理由について、「カスタム製品を作り出す技術力」と説明がありました。
「当社製品の4分の3はカスタム製品です。開閉時の感触や速度など、お客様から寄せられる要望一つひとつに対応しています。中には他社が断るような難しい案件もありますが、それを実現する技術力が強み。ドイツ、香港、中国、アメリカにも拠点があり、海外展開にも力を入れています」(吉川代表)
真剣なまなざしでメモをとる学生たち。機械部品メーカーとしての技術力ならびに実績を知ることができました。
また、BtoBビジネスの仕組み、大手と中小企業の違いについてもお話してくださいました。「自社製品を持つメーカーは強い」、「中小企業は人材が貴重なので、社員一人ひとりの希望に応じやすい。経営者との距離が近い。社員全員の顔が見える」など、これから就職活動に臨む学生にとって良い勉強となりました。
- 身近な導入例を挙げて製品を解説する吉川代表
- 初めて耳にする「樹脂ベアリング」。身近にあふれていると知った学生たち
試験ルームとオフィスを見学 社内の雰囲気を体感
吉川代表のお話の後は、試験ルームの見学。社員の方から「炊飯器の蓋を開閉させる部品ひとつとっても、お客様ごとに仕様が異なります。そのため条件を変えながら検査を重ね、万全の状態で納品しています」と仕事に対する姿勢を示してくださいました。学生が「何回試験するのですか?」と質問すると、「製品の種類にもよりますが、この製品は一製品につき5万回の耐久試験をしています」と、入念な検査ぶりをお話してくださいました。
更にオフィススペースを訪問。デスク、本棚、バリスタコーナーなどが見受けられ、営業、技術、事務職の社員の方々が働いていました。社員の方が「『カフェ』をコンセプトに設計しました。バリスタコーナーでは無料でコーヒーが飲め、社員交流の場になっています。リラックスして気持ちよく働けています」と働きやすさをアピール。学生から「きれい」「うらやましい」といった感想が寄せられました。
- 品質を確かめる試験ルーム。入念な検査ぶりを見学
- おしゃれなオフィススペース。「こんな空間で働いてみたい」と学生たち
座談会 入社理由や就活経験談を知る
その後、若手社員6名を交えて座談会を実施しました。
入社理由について、「営業志望。お客様の要望を聞いて一から製品を作るという点に魅力を感じた」、「ものづくりを通して日本の技術力を海外に伝える仕事がしたかった」、「大学で学んだ英語を生かしたかった」といった回答がありました。
また、就職活動に関する質問もありました。「就活中にやって良かったことは?」という質問には、「様々な業界、規模、社風の会社に積極的に足を運んだこと。比較することで自分に合う会社が分かった」、「大学のOB・OGに話を聞いたこと。働きやすさなど本音が聞けて、自分が働く姿を具体的にイメージできるようになった」などと体験談を聞かせてくださいました。
- リラックスした雰囲気で質問が相次いだ座談会
参加者の声
「小さな工場から世界のトップ企業の製品が生み出されているということに感動した」、「若手社員の方と話をし、ライフもワークもバランスをとって働ける環境で活躍していることが分かった」という声が寄せられました。
2社目 イワツキ株式会社/8名参加
午後に訪れたのは、衛生材料、医療・介護用品を製造・販売するイワツキです。はじめに社員の方から会社説明ならびに就職活動に臨む上でのアドバイスがありました。更に製品を手に取りながら開発経緯や特徴などを紹介。その後、オフィス見学を経て、座談会という流れとなりました。
ツアー内容
会社説明など 事業内容や価値観を知る
板橋区にあるオフィスを訪問し、新卒採用に携わる総務課の石井さんから、会社概要の紹介に先駆け、「傾聴の姿勢の大切さ」についてお話がありました。
「僕も緊張しています。みなさんから反応があると安心します。就職活動の場でも同じ。大きく頷く、声を出して返事をする、メモを取るなど、傾聴の姿勢を心掛けてみてください。ぐっと印象が良くなりますよ」(石井さん)
早々の収穫に学生は大きく頷いていました。
1923年創業の同社。総合医療用品メーカーとして、ガーゼや手袋、包帯、大人用紙おむつなどを開発・製造してきました。社会貢献をモットーに掲げているといいます。
「赤ちゃんのへその緒を消毒する時から、亡くなった後の処置にも当社の製品が使われます。人が生まれてから、老い、死ぬまで、
『人に寄り添う』製品を提供してきました」(石井さん)
更に、2011年の東日本大震災時には、被災地からの要請に応え、医療用品を現地へ直接納品したそうです。また、東京都主催の防災訓練にも参加するなど、その活動の様子を紹介していただきました。
- 採用担当の石井さんより会社説明ならびに就活アドバイス
製品とオフィス見学 開発経緯、社員の人柄に触れる
続いて製品展示ブースに移動。製品を手に取りながら、社員の方から開発経緯や特徴について伺いました。開発コンセプトはずばり、『困りごとの解決』とのことです。
「以前はガーゼのまとめ買いが一般的。しかし、現場では、10枚単位や特殊に折った状態でガーゼを使用するケースがほとんどです。そこで小分けタイプや、既に特殊折にしたものを製造。現場の効率化になると好評です」(石井さん)
同社では、病院や介護施設の担当者にヒアリングを行い、現場のニーズに沿った付加価値を付け、現場の課題を解決するような製品を開発。売り上げを伸ばしてきたとの説明がありました。
「針捨てボックス」もその一つ。使用後の注射針を人の手で外すのは不衛生かつ危険なことから、ボックスの穴に針を差し込んで取り外し可能な製品を開発。その他、工夫をこらしたオリジナル製品の数々について熱く語ってくださいました。
学生からは「なるほど」「すごい」と声があがります。医療用品の進化を知るとともに、製品開発における苦労ややりがいについてたっぷりお話をうかがい、理解を深められたようでした。
その後、管理本部、営業部などのデスクがあるオフィススペースを見学。案内役の社員の方から「空席のエリアは営業部。日中は病院などを訪問し、ヒアリングや提案を行っています。夕方になると戻ってきて社内がにぎやかになります」と社内の雰囲気をお話してくださいました。
- 製品を手に取りながら、創意工夫ぶりを体感
- オフィスを見学。仕切りがなく、なごやかな雰囲気
座談会 社員の人柄や社風を感じる
その後、若手社員2名をむかえ、座談会を行いました。
入社理由について、「人の役に立てるところに魅力を感じた」、「営業職を志望。一からものづくりをしている点にやりがいがありそうだと感じた」などと回答がありました。また、実際に働いてみてのやりがいについて、事務職の社員の方からは「文具やトイレットペーパーなどの備品を整備し、同僚から『ありがとう』と言ってもらえたとき」、「庶務から採用活動まで仕事の幅が広い。知識が増えるのが楽しい」などの声があがりました。また営業職の社員の方からは「大きな案件が決まったときや、製品知識が増えて、お客様に喜んでもらえたとき」との答えがありました。
また、社風については、「優しい人が多い。入社直後の頃、分からないことはないかとたくさん声をかけてもらった」などとざっくばらんなお話がありました。
- 『人の役に立ちたい』という想いや勉強意欲の高さがうかがわれた座談会
- 現場で抱える課題をヒアリングするのも営業の仕事
参加者の声
訪問後、学生から次のような感想が寄せられました。
「医療用品や介護用品の進化ぶりを知れた」、「厳しくもあたたかく若手社員を支援する社風を感じた」、「社員の方から『お客様のニーズに合わせて』という言葉を繰り返し聞いた。お客様第一の姿勢が伝わった」と、各々に得るものがあったようです。
まとめ
1社目のTOKでは、技術力を強みに顧客に応じたオーダーメイドの機械部品を製造し、世の中に広く受け入れられている様子やおしゃれな社内環境などを体感。2社目のイワツキでは、社会貢献をモットーに掲げながら、勉強熱心な社員の方々が工夫をこらした医療用品を開発・製造・販売している仕事ぶりなどを知ることができました。いずれもメーカーかつオリジナル製品づくりに積極的という共通点があり、新たな製品を世の中に発信していくものづくり企業の魅力を感じられたツアーとなりました。