
有限会社原田左官工業所
今回お邪魔したのは、女性の左官職人が活躍することで評判の原田左官工業所さんです。左官というのは、鏝(こて)を使い、土やセメントを壁に塗って仕上げるお仕事です。男性社会のイメージが強い建設現場ですが、近年は女性の感性も必要ということで女性の職人さんが増えているようです。
古屋裕子さんに左官職人の魅力をうかがいました。

左官の仕事を始めたきっかけは?
ものづくりができる技能を身につけたいと就活をしているさなかに、弊社のホームページを見つけ、女性職人が活躍していることに魅力を感じて応募しました。
以来12年間、左官の腕を磨いています。

お子さんがいるということですが、仕事と家庭の両立は大変なのでは?
朝が早い仕事なので出勤時はバタバタしますが、その分、保育園へのお迎えができるように早く上がらせてもらっています。
もちろん、ときには時間が押すこともありますが、周りの方々が、すぐに帰れるようにといろいろ配慮してくれて本当に助かっています。
社員同士、家族のように仲がいいので、そういった配慮が自然にされています。「子どもが待ってるよ!早く帰りな」と急かされることもあるくらいです(笑)。

仕事をするうえで、女性ならではの強みはありますか?
現場に入って間もないころ、気難しそうに見える先輩の職人について学んでいたのですが、クライアントの方も先輩の迫力に気圧されて、話しかけるのをためらってしまっていたんです。そこで私が間に入ることで、スムーズにコミュニケーションが取れたということがありました。
厳しく見えるだけで、話してみれば優しい先輩なんですけどね(笑)。
どうしても男性が多い現場なので、女性が入ることで、より繊細な作業を期待されることがあります。私は結構、男性のようにサバサバした考え方をするのですが、期待に応えようと人一倍丁寧な作業を心がけています。
左官の魅力はなんですか?
創意工夫を凝らしてきれいな塗りを仕上げられたときの、達成感はたまりませんね。素材となる砂やセメントの袋は25kgもあって運搬は大変ですが、続けていくうちに楽な運び方なども身について慣れますし、女性だからといって勤まらないということはありません。
自分の腕前一本で勝負する職人の世界は、やりがいに満ちあふれています。あと、すっぴんでも文句を言われないというのも魅力ですね(笑)。

レポートを終えて
「左官」という仕事があることも知らなかったのですが、実際に伺ってみて、塗装のデザインの細部にまでこだわる女性職人の姿を目の当たりにし、その魅力に引き込まれました。
体験コーナーなどをもっとPRして、左官に興味をもつ女子を増やして、いずれ「サカ女」などという言葉が流行ったらいいなと思いました。
