<中小企業しごと魅力発信プロジェクト>

中小企業しごと魅力発信プロジェクト 東京カイシャハッケン伝 東京カイシャハッケン伝

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TOKYO SHIGOTO WAGON REPORTトーキョー・シゴト・ワゴン 実施レポート

多摩大学 経営情報学部貸切回

1社目 株式会社友伸エンジニアリング/6名参加

 最初の訪問先は、配電盤や制御盤の製作や、設備を制御するコンピュータソフトの開発を手掛ける友伸エンジニアリングです。まずは事業内容の説明があり、次に社員の方々のインタビュー動画を見せていただきました。上映を終えると、若手社員の方々に工場と執務室を案内いただき、最後に座談会を行いました。

東京本社を訪問。配電盤・制御盤製作のプロフェショナルが集う

ツアー内容

会社説明とインタビュー動画の視聴
 参加学生一行は「おはようございます!」という社員の方々の元気な挨拶で迎え入れられました。まず新保常務取締役が、同社が製造する配電盤・制御盤は誰もが知る施設に用いられていると、身近な例を挙げながら事業説明をしてくださいました。
 「みなさんがよく知る大型アミューズメントパークや有名な橋などでも、私たちが手掛けた配電盤や制御盤が使われています。これらは表面にむき出しになっているものではありませんから、目立たない存在ではありますが、生活を送る上でなくてはならないものです。いわば縁の下の力持ちであることを誇りに励んでいます」
 更に、活躍のフィールドは海外にも及び、都市開発が進むシンガポールの新交通システムにも携わってきたといいます。同社では創業以来、前例がない案件も物ともしないという姿勢を貫いてきたといい、高いハードルにも挑戦していくことで技術力を磨き、信頼を得てきたといいます。
 最後に、新保常務取締役は中小企業で働く魅力について、「若いうちから幅広い仕事が経験できるので、おのずと成長が速くなります」と話してくださいました。実際に同社の若手社員は、配電盤や制御盤の設計から材料の調達、製作、点検にまで携るといいます。学生たちは、その言葉を真剣にメモしていました。

 続いて、社員の方々のインタビュー動画が上映されました。「ものづくりがしたいと思って入社しました」といった入社理由や、「電気設備を制御するソフトウェアの設計に携わっています。正しく動くか確かめるために国内外さまざまな場所へ出向きます」といった働き方、更に「設計から始動、その後のメンテナンスにまで関われることに大きな責任と喜びを覚えます」といったやりがいなどを話す社員の姿に、学生たちは刺激を受けたようでした。

  • 会社の取組を話す新保常務取締役
  • 真剣にメモをとる学生

工場・執務室見学
 続いて、若手社員の方々が配電盤・制御盤の開発や製造、点検などを行う工場と執務室を案内してくださいました。工場には大小さまざまな電子機器が並び、その仕組みや製造行程などを説明いただきました。次に見学したのが、製造した設備の品質を検査する試験場です。ここで社員の方が「大きな設備になると100、200もの検査項目があります。それがこの装置一つで点検できます。そう聞くとすごく複雑なものと思うかもしれませんが、未経験でも数年すれば扱えるようになります」と説明。実際に装置に触れさせてくださいました。普段、目にすることのない機器の数々に触れたことは学生たちにとって貴重な体験になったようでした。
 最後に執務室では、材料調達を担当する購買部、コンピュータで図面を作製する技術部、営業部、総務部などを見学。どの部署でも明るい表情で言葉を交わしながら働く社員の方々の姿があり、参加学生は風通しの良い社風を感じたようでした。

  • 配電盤や制御盤を製造する工場を見学
  • 装置に触れるなどの体験も実施

座談会
 その後、若手社員4名を交えて座談会を行いました。「どうして入社したのか?」という質問に、社員の方は、「ものづくりに関心があったので、設計からメンテナンスまで関われるのは魅力的でした」と答えてくださいました。また、「仕事をする上で楽しいことは?」という問いには、「自分が作った設備が動いた時です。それだけで達成感がありますが、お客様から『ありがとう』と言ってもらえると一層喜びが増します」と回答。更に、「誰もが名前を知るような施設などでも使われるだけに、ニュースや新聞で紹介されて、友人や家族などに自慢できることです」と楽しさや喜びを感じながら仕事に励んでいる様子が伺われました。
 一方、「大変だったことは?」という質問には、「納期が忙しい時期は大変ですが、その分協力しながら完成させたときは達成感があります」と話してくださいました。若手社員の仕事について話を聞くことは、学生たちにとって社会人になった自らの姿をイメージする貴重な機会になったようでした。

  • 若手社員を前に次々と質問が挙がった座談会

参加者からの声

 ツアー終了後、学生からは、「目立たないけれど役に立つものを全力で作っているのが素晴らしかった」、「すべての製造工程を経験できるので、ものづくり好きには嬉しい環境だと思った」、「社内のコミュニケーションが活発で、楽しく働けそうだと思った」との感想が聞かれました。

2社目 エス・エー・エス株式会社/6名参加

 次に訪問したエス・エー・エスは、金融、流通、クレジットを中心としたシステム構築およびコンサルティング、クラウドでの勤怠管理サービスなどを提供する会社です。オフィス見学でツアーはスタート。会社の取り組みをお話いただいた後に、若手社員との質問会を行い、社員との交流を通して知った会社の魅力を発表するグループワークを実施しました。

オフィス入り口。モダンな受付が学生たちを迎える

ツアー内容

オフィス見学
 まずはエンジニアや営業スタッフなどが働くオフィスエリアを見学させていただきました。空席がちらほら目につく様子に小首を傾げる学生の姿に、社員の方が、「カフェや自宅で仕事をするテレワークを推奨しているからです」と説明してくださいました。その後は特別に社長室を見学。社長室で出迎えてくださった青山代表から「将来の自分をイメージしながら椅子に座ってみませんか?」と提案があり、学生たちは恐縮しながら社長椅子に座らせていただきました。「どうですか?」という青山代表に対して「すごいです」と一同は満面の笑みで返答。またと無い貴重な体験に喜びを隠せない様子でした。

  • オフィススペースを見学
  • 青山代表の提案で社長椅子に座る参加者

会社説明
 続いて青山代表が事業や会社の取り組みをお話ししてくださいました。
 「事業は大きく2本柱です。1つは、金融、流通、クレジット業務向けの基幹システムの構築、ならびに導入コンサルティングや導入後の評価やカスタマイズなどを行う『SI事業』。もう1つは、勤務時間や給与などのバックオフィス業務を効率化するためのクラウド製品の開発と導入を支援する『クラウド事業』を展開しています。直近4年平均で前年比10%増の売り上げを達成しました」と青山代表。クラウド事業では、給与明細を電子化して管理できる「eco@給与Lite」、勤務状況をウェブ上で管理できる「勤労の獅子」の2サービスをリリースし、約410社、10万人以上が利用しているといいます。
 会社を経営する上で大切にしてきたのが、「お客様だけでなく、社会、そして社員の笑顔に貢献すること」と青山代表は話します。同社では社会貢献活動として、東京湾でのごみ拾いや植樹などのボランティアに参加してきました。更に、社員が遊びやプライベートを存分に楽しめる会社づくりを進めてきました。「IT業界でNo.1の福利厚生が整った会社を目指しています」と青山代表。産前産後休業や育児休業などの制度推進はもちろん、年に一度社員の家族を職場に招待する「ファミリーデー」、社員の誕生月に高級ディナーに招待する「バースデーディナー」のほか、バーベキューやボーリング大会をはじめ、様々な社内イベントを実施。5年に一度は海外にも行くという、毎年実施している社員旅行も、社員の家族や恋人も招待するという徹底ぶりで、社員の笑顔に貢献してきました。

  • 会社の取組を話す青山代表

座談会ならびにグループワーク
 その後、若手社員2名を交えての座談会を行いました。好きな食べ物や趣味など雑談を交えて話しかける社員に学生たちも打ち解け、質問が相次ぎました。「どうして入社したのか?」という問いには、「『すべては笑顔のために』という経営理念に共感したから」、「みんなと同じようにツアーに参加して社員の幸せを本気で考えている会社と感じたから」と答えてくださいました。「入社してよかったことは?」という質問には「和気あいあいと楽しく働けること」という答えがあり、学生たちは真剣な眼差しで聞き入っていました。
 更に「仕事上のやりがいは?」という質問に、「お客様の期待にこたえるシステムを作って『すごく使いやすい』と言ってもらった時」という社員の声が上がりました。「数学が苦手だけどエンジニアとして働けますか?」という問いには、「私も文系大学出身だけれど、研修で基礎から教えてもらえるから大丈夫」という、文系学生にとっては頼もしい回答がありました。

  • 打ち解けた様子で質問を投げかける座談会

 ツアーの締めくくりがグループワーク。先程伺った話を振り返りながら、会社の魅力をアピールするキャッチコピーと説明を考え、発表に挑みました。1グループ目は、「スキルアップと自然な笑顔」をコピーに据えて、「技術を身に付けて仕事に打ち込み、家族を含めて笑顔になれるところが良いと思いました」と発表。2グループ目は、「WLB(ワークライフバランス) 笑顔を大切にした会社」というコピーを掲げ、「社員同士の距離が近いことや、休暇制度が充実して休みがとりやすいなど、仕事もプライベートも充実させられるのが魅力だと思いました」と発表。どちらも企業カラーをしっかり打ち出しており、学生たちはもちろん、社員の方々も満足の様子でした。

  • 全員の前で発表

参加者からの声

 ツアー終了後、学生からは、「社員の方々と話し、楽しみながら仕事をしているのが伝わった」、「社員の方々の雰囲気が良く、IT企業に興味が出た」、「仕事と遊びの両方に全力になれるのが素晴らしいと思った」との感想が聞かれました。

まとめ

 1社目の友伸エンジニアリングは、電気をコントロールする配電盤・制御盤製造のプロフェッショナルを育てる会社。2社目のエス・エー・エスは、様々な社内イベントを実施することで、社員の笑顔を大切にする会社でした。両社とも、若手社員が和気あいあいとした雰囲気の中で意欲的に働いている姿が印象的でした。参加者たちは、幅広い業務経験が積めることやアットホームな社風など、中小企業で働く魅力を発見できたようでした。