<中小企業しごと魅力発信プロジェクト>

中小企業しごと魅力発信プロジェクト 東京カイシャハッケン伝 東京カイシャハッケン伝

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TOKYO SHIGOTO WAGON REPORTトーキョー・シゴト・ワゴン 実施レポート

充実の制度で社員が輝く!働きやすい環境が充実している企業特集

1社目 株式会社吉村/11名参加

 はじめに訪れたのは、日本茶等のパッケージの製造・販売を手掛ける吉村です。同社では社員一人ひとりがやりがいを持って働ける制度を整え、お茶業界全体を盛り上げているといいます。ここでは、会社説明、オフィス見学、お茶の飲み比べ体験と座談会を行いました。

お茶に関する様々なパッケージを製造している同社

ツアー内容

会社説明 社員自ら意見を発信できる職場環境づくり
 1932年に創業した吉村は、日本茶のパッケージ製造を専門としています。はじめに、橋本社長から同社のあゆみを伺いました。
 「かつては茶屋でお茶を買うとき、茶箱という大きな木の箱から茶袋という紙の袋に必要な量だけ入れて持ち帰っていました。当社は、この茶袋の製造から事業を始めましたが、現在スーパーなどで売られているような気密性の高いアルミパッケージに次第にシフトし、デジタル印刷でパッケージを印刷するようになりました」
 同社は、デザインから製造、出荷までを一貫して手掛けているそうです。
 業務をお茶に特化しているだけに、お茶に関するデータ・知識が豊富に揃う同社では、印刷以外の面からもお茶業界を盛り上げようと、様々な取組を行っています。その一つが1995年からはじめた、主に女性を対象にしたマーケティングインタビューです。そこで得たデータをもとに、取引先にこんな商品が欲しいといった消費者のニーズを提供しています。更に、多言語に対応した日本茶情報サイト「日本茶ファン」を運営。11言語で日本茶のおいしい淹れ方などを紹介しています。

 会社説明に続いて、社員制度についてお話をしてくださいました。同社では、結婚・出産などのライフイベント後も安心して働けるよう、会社全体でサポートしています。
 「私自身も結婚後に一度退職し、10年間専業主婦をしていました。主婦目線で商品を見ることができる人材は非常に貴重です。そのため、女性が結婚・出産後も安心して働けるよう社内プロジェクトを立ち上げ、育児休業の他にも、つわり休暇や時短勤務などの制度を社員主導で整備してきました」

 また、上司を役職で呼ぶ慣習を撤廃し、「さん」付けで統一。会議の発言時間も社長から社員まで、一律20秒にするなど、若手社員でも積極的に意見が出せる環境づくりに取り組んでいます。他にも、経営会議で決まった方針や財務状況などを壁新聞で共有したり、社内でアイデアを募り、採用された社員には報奨金を支給する「ノーベル稟議書」など、自分たちが会社を運営しているという意識を持って働ける環境づくりに積極的に臨んでいるといいます。
 参加者たちは社員が働きやすい制度の数々に、感心している様子でした。

  • 橋本社長による会社説明

オフィス見学 ずらりと商品が並んだエントランスを見学
 続いてオフィス見学を行いました。1階のエントランスには、これまで手掛けてきた商品や、開発・販売を行っている茶器、お茶にあうように開発されたお菓子がずらりと並んでいました。お菓子や茶器は、実際に購入することができるものもあるため、近所の人たちがよく訪れているそうです。
 2階に上がると、執務室が広がり、その入口には社員が他の社員に宛てたありがとうのメッセージや、経営方針、財務状況などが記された壁新聞が張り出されていました。執務室の机は、毎日好きな場所に座れるフリーアドレス制になっており、コミュニケーションが生まれるように工夫されています。また、毎日机をきれいにして帰るため、きちんと整頓された環境で仕事ができているそうです。

  • エントランスの商品は季節ごとに入れ替えられるという
  • 一般の方も、お茶や雑貨を購入することが可能

お茶の飲み比べ体験、座談会 水出し茶のおいしさを体験
 次に、同社が販売に力を入れている「フィルターインボトル」という、茶葉と水をボトルに入れるだけで手軽にお茶を楽しめる製品を紹介いただきました。今回はこの製品を用い、水出しにした抹茶入り煎茶、ほうじ茶、和紅茶の飲み比べ体験を行いました。参加者たちは「水出しでもこんなにおいしくなるなんてびっくりした」と、感心しながら味の違いを確かめていました。
 和やかな雰囲気になったところで、お茶を飲みながらの座談会が始まりました。「仕事をしていて大変なところは?」と参加者が質問。それに対し若手社員が「すんなりとお客様に提案が受け入れられないときは大変でした。しかし根気強く提案し、 受け入れてもらえたときにはやりがいを感じました」と答えていただきました。また、会員制交流サイトを使った広報をしている社員から投げかけられた「若者のフォロワーを増やすにはどうすれば良いと思いますか?」という逆質問には、参加者から「日本茶についてつぶやいているアカウントに“いいね”をたくさんする」、「みんなが検索しそうなキーワードをハッシュタグに盛り込む」といった意見が次々と出ていました。

  • 水出しほうじ茶の香りを確かめる参加者
  • 参加者はフィルターインボトルに興味津々

参加者からの声

 参加者からは、「子育てをしながらでも安心して働けそうだと思った」、「社員が提案した社内制度がたくさんあって、自分たちで働きやすい会社にしていくという意欲が感じられた」といった声が聞かれました。

2社目 株式会社宏和デザイン/12名参加

 続いて訪れたのは、カタログやポスターなどのデザインを制作している宏和デザインです。同社では社員がやりがいを持って長く働けるよう、バースデー休暇制度やメンター制度など、様々な取組を行っています。ここでは、会社説明、オフィス見学、ワークショップを行いました。

充実の社内制度の紹介に、参加者も熱心に耳を傾けていた

ツアー内容

会社説明 デザインを通して社会や地球に貢献する
 参加者が到着すると、井上社長が登場。井上社長の提案で、まず参加者同士でハイタッチを交わし、和やかなムードになったところで会社説明がスタートしました。
 「当社では、会議などの前に必ずハイタッチをしてから始めることにしています。ハイタッチをすることで緊張をほぐし、自然なコミュニケーションが図れます」という井上社長。そして次に、事業概要を伺いました。
 1981年創業の宏和デザインは、カタログやパンフレット、ポスターや年賀状などのグリーティングカードのほか、最近ではウェブ制作など、デジタルコンテンツのデザインも手掛けているといいます。同社の理念は「デザインを通して人々に感動を与え、社員の幸せ、お客さまの幸せ、地球環境の幸せを実現する」こと。関わる方の幸せやホスピタリティを大事にする同社では、会社に訪問者が来るときは、名前入りのウェルカムボードで歓迎。また、社員がワクワク働けるようにと、会議室に季節に合った飾りつけをするなど、会社全体が明るい雰囲気に包まれています。更に、環境への取組として、デザインを1件受注するごとにインドネシアに苗木を1本植樹する「ONE DESIGN for ONE TREE」というプロジェクトを行っています。今年も9月に植樹が行われ、累計の植樹本数は2,600本にも上るそうです。

 次に、社員制度について紹介してもらいました。
「当社では、社員がやりがいを持って働けるように、新人研修で『やりがいとは何か』について学びます。そして、将来の目標を設定する方法といった講義も行い、やりがいを自分自身で見つけ出してもらっています」(井上社長)
 他にも、先輩社員が新入社員をサポートする「ブラザー&シスター制度」や、ウェブ上でコインに感謝のメッセージを乗せて送り合う「KOWAサンクスコイン」、先輩と後輩でランチをする際の費用を会社が負担する「ランチトークチケット」など、社員が安心して働ける制度が整っています。
 ユニークな社内制度の数々に、参加者たちは真剣な面持ちでメモを取っていました。

  • 参加者同士でハイタッチを交わし、緊張をほぐす

オフィス見学 ポスターや多数の年賀状が生み出されるオフィスを見学
 続いて行われたのが、オフィス見学です。まずは、地下1階のイラストレーターの作業エリアに案内していただきました。ここでは、冊子やポスターに挿入するイラストの作成を行っています。隣にはデジタルチームの作業エリアがあり、ウェブサイトに使われる写真やバナー広告を作っていました。他にも、自社アプリの開発なども手掛けているそうです。
 次に、4階のデザイナーが働くエリアに案内していただき、イラスト付き年賀状のデザインを行う社員に話を伺いました。年賀状が店頭に並ぶのは年末年始の期間だけですが、同社では数多くの年賀状のデザインを手掛けているため、1年を通して制作しているそうです。手掛けている点数の多さに参加者も驚いていました。

  • デジタルチームが作成したアプリの紹介を聞く参加者
  • 今まで手掛けたイラスト実績を拝見

ワークショップ 目的、目標、ゴールを設定することの大切さを実感
 次に、同社が新人研修として行っている「目標設定の達人」ワークショップを体験しました。自分の夢を叶えるためには、「目的」、「目標」、「ゴール」の意味の違いを意識することが重要だと井上社長は言います。そこで、参加者はグループごとにそれぞれの意味を調べ、発表しました。
 「『目的』とは、成し遂げようと目指している事柄のこと。そして、『目標』は、目的を達成するために設けた通過点のことです、そして『ゴール』はプロジェクトなどでの最後の到達地点という意味になります。これらをそれぞれきちんと設定していると、目的に共感した人や、目標に向かって協力してくれる人が現れるものです」と井上社長。
 参加者も井上社長の話を聞いて、これから始まる就活や社会人として働くことに向けて、どういった目的や目標、ゴールを設定するか考えを膨らませているようでした。

  • 目標の意味について聞かれ、グループごとに発表する参加者
  • 「目的を達成するために、細かく目標を設定することが大切です」と井上社長

参加者からの声

 参加者からは「デザイン以外の部分でも成長できる会社だと思った」、「研修や先輩によるサポートが充実していて、働きやすそうだと思った」といった声が聞かれました。

まとめ

 1社目の吉村は、社員が自主的に働きやすい環境を作れるお茶に特化した印刷会社、2社目の宏和デザインは、やりがいを持って働く社員をサポートするデザイン会社でした。参加者は2社の社長や社員の方とお話をし、社員を第一に考えて充実した制度を整えていることや、働きやすい環境づくりを進めていることを実感していました。