<中小企業しごと魅力発信プロジェクト>

中小企業しごと魅力発信プロジェクト 東京カイシャハッケン伝 東京カイシャハッケン伝

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TOKYO SHIGOTO WAGON REPORTトーキョー・シゴト・ワゴン 実施レポート

驚愕するアイデアや技術を持つ企業特集

1社目 株式会社ウインローダー/5名参加

 はじめに訪問したのは、多摩地区で物流センターを運営するウインローダーです。同社は運送業で培ったノウハウを生かして、「エコランド」という事業を展開しています。ここでは、会社説明、物流センター見学、若手社員を交えた座談会を行いました。

同社の事業内容を説明する趙さん

ツアー内容

会社説明 「いらない」世界を変えるエコランドとは?
 ウインローダーは1946年の創業以来、多摩地区を拠点に集荷、運送、物流センターの運営などを行ってきました。2004年には、物流業界で培ったノウハウや、技術力の高いスタッフを生かして社内ベンチャー「エコランド」を立ち上げました。はじめに、趙事業部長から同社の取組や「エコランド」についてお話していただきました。
 「引っ越しなどによって処分せざるを得ないものを引き取り、自社のオークションサイトに出品しています。家具や家電などの大型の物を処分するときには、費用がかかってしまうことが普通ですが、エコランドでは、落札された額の50%をお客様にキャッシュバックしています」という趙事業部長。お客様からは、処分した品物がお金になるだけでなく、泣く泣く処分したものを誰かが使ってくれていると分かるのが嬉しいといった声が数多く寄せられているといいます。

 更に、引き取った品物に買い手がつかなかった場合、フィリピンやタイをはじめとした、東南アジア各国に輸送され、販売されます。また、これまでは海外のリサイクル業者に不用品を買い取ってもらうという形で販売を行っていましたが、2018年にはカンボジアでリサイクルショップを開店し、海外での販売も自社で行えるようになったそうです。
 「かつては嫁入り道具として購入された大型のタンスや、使用済みのベッドのマットレスなどは国内ではリユースされにくいのですが、人口が大幅に増加し、物が不足している東南アジアではまだまだ重宝されます。そのため、販路を海外まで拡大し、『いらない』からと処分される物を減らす取組を行っています」と趙事業部長はお話してくれました。「『いらない』世界を変える」という同社の取組に、参加者たちも興味津々で話を聞いていました。

  • エコランドの仕組みについて、真剣に耳を傾ける参加者たち

物流センター見学 バーコードで品物を管理し、海外へ届ける
 続いて、物流センターの見学を行いました。不用品として預かった品物は、その場でバーコードを貼り、買い手に届くまで管理しています。また、写真撮影も丁寧に行い、オークションなどで高く売れるようにするなどして、お客様へのキャッシュバック額が上がるよう工夫しているそうです。また、傷があるものや、日本の現在の生活スタイルには合わない大型の家具などこそ捨てずにリユースできるよう、物流センターで保管し、ある程度の量がたまったら大型コンテナに積み込んで東南アジアに発送しているといいます。ちょうどこの日は発送作業を行っており、パズルのように家具を配置しコンテナへ積み込んでいく姿を、参加者たちは興味深く見つめていました。

  • バーコード管理する様子も見学
  • 大型の家具や家電も物流センターで保管されている

座談会 カンボジアでの生活とは?
 最後に、若手社員を交えての座談会を行いました。はじめの質問は、「中小企業ならではの強みはなんだと思いますか?」。これに対し、若手社員からの回答は「年次に関係なく仕事を任せてもらえるので、成長できるのが強みだと思います」でした。
 次に、カンボジアでリサイクルショップを運営する社員に「海外で生活するのは大変ですか?」という質問が挙がりました。それに対して、「急に停電するといったトラブルもありますが、慣れてしまえば快適に生活できます」と笑顔で答えてくださいました。現地に慣れてくると余裕も生まれ、カンボジアで不足しているものをリサーチして、帰国の際にその品物を回収できるようにするなど、仕事の幅が広がったそうです。また、「日本に比べるとカンボジアの物価は低いですが、とにかく物が不足しているので、日本よりも高く売れるものもあります」というお話もあり、参加者たちも関心を示していました。

  • 社員の冗談を交えながら、和やかな雰囲気で座談会は行われた
  • 座談会では、参加者から積極的に質問が挙がった

参加者からの声

参加者からは「自分たちが磨いてきた技術を使って、処分されるごみを減らす仕組みを作り上げているところが素晴らしいと思った」、「処分した人にもお金が行くアイデアがすごいと思った」といった意見が聞かれました。

2社目 株式会社インボディ・ジャパン/5名参加

 続いて訪れたのは、体水分・タンパク質・ミネラル・体脂肪といった体成分を高精度に分析する機器を販売するインボディ・ジャパンです。韓国にある親会社で開発された「InBody」は、大学病院などの医療分野だけでなく、スポーツ分野でも使用されています。ここでは、会社説明、オフィス見学、測定体験、座談会を行いました。

同社は「Makes life better」を理念に、人々のヘルスケアをサポートしている

ツアー内容

会社説明 高精度で体成分を分析できる「InBody」を紹介
 2000年創業のインボディ・ジャパンは、本社が韓国にある医療機器メーカーです。同社で販売を行っている「InBody」は、放射線などの体に悪影響のある物質を使わずに、高い精度で体成分が測定できるため、医療機関でも注目され導入が進んでいるといいます。
 「高齢化が進み、医療費が増大している現在は、病気になったら治療するというこれまでの方式から、予防・健康増進といったヘルスケアをきちんと行うことが重要だといわれています。国もヘルスケア産業を後押ししている中で、『InBody』も健康増進のサポートツールとして選んでいただいております」というのは経営管理部の柴田部長。更に、同社の商品はスポーツ選手のコンディショニング管理でも使われており、プロ野球チームや社会人ラグビーチームなどに導入されているそうです。参加者たちは様々な場面で使われる「InBody」の説明に真剣な表情で耳を傾けていました。

 次に、福利厚生や研修制度についてお話いただきました。同社の年間休日は約130日。これに有給休暇が加わるため、社員はライフ・ワーク・バランスがきちんと取れています。更に、中途入社であっても未経験者でも、充実した研修を受けることができるため、安心して働けるといいます。
 「入社後1カ月は、座学で会社や業界の概要、製品の特徴、販売手法などに加えて、専門用語、学術論文の解説の講義を受けます。その後はOJTとして現場で経験を積みます。更に、入社後1年から1年半の社員を対象に韓国本社で社内資格試験を実施。合格率3割と狭き門ですが、合格すれば『インボディ講師』と認定され、報奨金が支給されます」と柴田部長。社員が安心して、気持ちよく働ける制度を積極的に取り入れているそうです。

  • 研修の詳細を説明する柴田部長
  • スライドを用いて事業を紹介

オフィス見学、体成分測定体験 自分の筋肉量や体脂肪量を知る
 次に、オフィス見学を行いました。はじめに案内された会議室には、卓球台が置かれており、社内のコミュニケーションに一役買っているのと同時に、健康増進にもなっているそうです。また、執務室にはコーヒーサーバーなどが置かれており、自由に利用できるといいます。窓際には長椅子が置かれており、夜になると夜景が見える絶好のリラクゼーションスポットになっているとのことです。
 オフィス見学が終わると、「InBody」を使っての体成分測定を体験しました。体重を測定後、身長を入力し、電気抵抗を測定する機器を手に持って体成分を計測しました。自身の筋肉量や体脂肪量、ミネラル量などが記入された用紙を手に取ると、参加者たちからは「数値が見えるともっと鍛えたくなる」といった声が上がっていました。

  • 休憩時間や就業後に多くの社員が卓球を楽しんでいるという
  • 「InBody」で体成分測定をする参加者

座談会 就職活動をする上でのポイントとは?
 続いて、若手社員2名を交えての座談会が行われました。「休みはしっかりと取れますか?」という質問に対して、営業部の社員は、「土日に学会や展示会に出ることもありますが、その場合でも振替休日を必ず取ることができます。元々休みが多い上に、有給休暇も積極的に取れるので、しっかり休めます」と休日の多さをアピールされました。また、「文系で機械操作が苦手でも働けますか?」という質問には、学術担当講師の社員が「入社後1か月は座学でしっかりと研修を行うので、文系・理系関係なく活躍できます」と回答。販売がメインの同社では、文系学部出身の社員の方がむしろ多いとのことでした。更に、「就職活動の際に、しておけば良かったと思うことはありますか?」という質問には、「動き出すべき時期を誰も教えてくれなかったという思いがあったので、早め早めに自主的に動き出すことが大事だと思います」、「休日や福利厚生、働きたいポジションなど、譲れない条件をあらかじめしっかりと決めてから会社を探すと良いと思います」とそれぞれ質問に丁寧に答えてくださいました。

  • 座談会では、就職活動に関するものなど、様々な質問が挙がった

参加者からの声

 参加者からは、「すごく簡単に詳細な体成分が測定できたので、その技術にびっくりした」、「休みをしっかり取って、メリハリをつけて働けそうだと思った」といった声が聞かれました。

まとめ

 1社目のウインローダーは、物流業界で培った技術を生かして、処分される物の削減を目指す会社、2社目のインボディ・ジャパンは高精度の体成分分析装置でヘルスケアをサポートする会社でした。どちらもその会社独自のアイデアや技術を持っており、参加者たちも中小企業の実力に感心していました。