<中小企業しごと魅力発信プロジェクト>

中小企業しごと魅力発信プロジェクト 東京カイシャハッケン伝 東京カイシャハッケン伝

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TOKYO SHIGOTO WAGON REPORTトーキョー・シゴト・ワゴン 実施レポート

文化学園大学連携回

1社目 株式会社村井/5名参加

 はじめに訪れたのは、シューパーツ(靴の部品)やフットケア製品、ルームシューズの企画・製造・販売を手掛ける村井です。同社のシューパーツは、日本国内で製造されている婦人靴の約60%に使われており、イタリアの高級靴ブランドでも採用されたことがあるそうです。ここでは、会社説明、Myインソールづくり体験、質疑応答が行われました。

インソールづくり体験で自身の足の形や骨の位置を確認する学生

ツアー内容

会社説明 足もとから人々を支える事業の数々を紹介
 村井は、1931年創業で、シューパーツ事業、フットケア事業、履きもの事業という足と靴にまつわる3つの事業を行う会社です。はじめに、広報・人事担当の社員より、シューパーツ事業について紹介してもらいました。
 「靴は、『シューパーツ』と呼ばれる部品がいくつも組み合わさってできています。イタリアの高級ブランドとコラボした婦人靴にも採用され、日本人の足の特徴に合わせて製造するノウハウが、世界からも高く評価されています」

 続いて、フットケア事業の詳細について紹介していただきました。同社では、足と靴の悩みに応える商品の企画・製造・販売をしています。外反母趾をはじめとするトラブルをケアするインソールや、妊婦さんの歩行を快適にするインソール、足の疲れを軽減するインソールなどを取り扱っています。
 最後に履きもの事業について紹介してくださいました。DIYや家飲みブームの影響で、家の中で快適に過ごしたいというニーズが増えてきているにもかかわらず、室内履きには履き心地を追求したものはありませんでした。そこで、オリジナルのルームシューズを開発。百貨店やネットショップなどで販売されています。
 足と靴にまつわる多くの事業に、学生たちも真剣な表情でメモを取っていました。

  • シューパーツという製品について解説する広報・人事担当の社員

Myインソールづくり体験 自分に合ったインソールを製作
 次に、Myインソールづくり体験を行いました。自分に合ったインソールをつくるには、足や靴についての知識が必要です。そこで、はじめに足と靴についてのマメ知識を紹介していただきました。
 実はつま先には、親ゆびが一番長い「エジプト型」と呼ばれるタイプと、人差しゆびが一番長い「ギリシャ型」、ゆび先の長さが揃っている「スクエア型」の3つのタイプがあります。それぞれの足のタイプによって、合う靴の形が異なるため、自分の足がどのタイプなのかを知ることはとても大切です。

 また、足のトラブルはサイズが合っていない靴を履いている、激しいスポーツをしている、ハイヒールを履いているなど、様々な要因によって起こります。例えば、10センチ以上のハイヒールを履いているときには、体重の90%をつま先が支えている状態になります。つま先に大きな負担がかかるため、足の痛みやトラブルが出やすくなってしまいます。そんなとき、パッドやインソールを入れることで足全体に荷重を分散し、負担を軽減することができるのです。
 足と靴についての講義が終わると、インソールづくりにチャレンジ。まずは、設計図づくりです。用紙に足をのせ、足の輪郭を取ったら、インソールづくりで最も重要な足の骨の位置を記入します。実際に自分の足をさわりながら、親ゆびと小ゆびの付け根にある出っ張った骨などのポイントにチェックを入れました。続いて、完成した設計図をもとにインソールにパッドを貼り付けていきます。この上から敷き革を被せれば、Myインソールは完成です。学生たちは出来あがったインソールを靴に入れて履き心地の違いを体感しました。靴の履き心地の80%はインソールで決まるともいわれており、「全然違う!」といった声や「ふかふかしていて気持ちいい」といった声が上がっていました。

  • ポイントに沿って丁寧にパッドを貼り付ける学生
  • インソールを靴に入れると履きやすくなったという声が多くあがった

質疑応答 顧客からの口コミでやりがいを実感
 最後に、質疑応答が行われました。「仕事をしていく上でのやりがいは何ですか?」という質問には、「お客様がウェブショップに口コミを書いてくれたり、メールや手紙で感想を送ってくれることがあります。そうした際に、当社の商品が役立っていると実感することができ、やりがいになっています」という回答がありました。また、「開発職を希望していますが、そのような部署は残業が多いですか?」という質問には、「最近では全ての部署で、どう効率良く仕事をするかを考えているので、残業時間は年々減っています」と教えてくださいました。
 短い時間での質疑応答でしたが、学生からは次々と質問の手があがっていました。

  • 質疑応答では仕事内容から就活のことまで、様々な質問が出た
  • 働く環境について質問する学生

参加者の声

 参加した学生からは、「色々な部署があるということを知り、とても好感が持てた」、「Myインソールづくり体験を通して、インソール一つでこんなにも変わるんだということを、身を持って感じられた」といった声が聞かれました。

2社目 株式会社ガジェログ/6名参加

 続いて訪れたのは、デザイン制作会社のガジェログです。同社はホームページの制作や運用にとどまらず、カタログやポスターのデザインも行っています。ここでは、会社説明、執務室見学、座談会を行いました。

2社目は港区のガジェログに訪問

ツアー内容

会社説明 ポスターやイラストだけじゃない、デザインの持つ意味を紹介
 「本日は、当社の事業紹介だけでなく、『デザインとは何か?』というところからお話をします」という松田社長の言葉から会社説明が始まりました。
 「社会的な取組や抽象的なものがデザインの賞を取っているのを見たことがありませんか?デザインとは、ポスターやイラストのレイアウトのことを意味するのではなく、『誰かの生活を豊かにすること、もしくは誰かの生活を豊かにしているものごと』を意味します」と松田社長は説明。そのため、顧客からポスター制作の依頼などがあったときには、かっこいいものを作ることを目指すのではなく、例えばターゲットである高齢者や子どもが見やすいデザインといったことを心掛けているそうです。また、同社は銀行からアニメ業界まで、幅広いジャンルのデザインを手掛けているため、案件ごとに全く違うデザインをすることも多いとのこと。その分、社員も成長できるのだといいます。

 次に、社員の方から実際に制作したスポーツクラブのホームページを例に、ウェブデザインの仕事の流れを紹介していただきました。ウェブデザインを行う際には、はじめに「要件定義」を行います。これは、顧客の要望を聞き、現在困っていることの解決策を提示することをいいます。スポーツクラブでは、ウェブからの予約がしづらく改善したいという要望や、若者の利用者が増えてほしいといった要望を反映して、より見やすいデザインを提案したそうです。そして、顧客が提案を気に入れば、それに沿って「ワイヤーフレーム」を作成します。これは、どこにどういったものを配置するかを考える作業のことです。この作業が終わると、いよいよ「デザイン・コーディング」を行います。コーディングとは、デザイン通りの見た目になるようコードを記述し、ブラウザで表示できる状態にすることです。コーディングがうまくできていないとインターネットで閲覧することができなくなってしまうため、慎重に行っているそうです。コーディングが終わると「テストアップ」として、非公開状態でホームページをアップし、顧客に確認してもらいます。ここで、修正指示があれば反映させます。スポーツクラブの案件でも、明るさや文字の位置などに細かな修正が入り、何度も修正を行ったそうです。修正を反映し、顧客から許可が出れば、ホームページは無事公開になります。ウェブデザインと聞いただけではなかなかイメージできなかった仕事内容も具体的に紹介してくださり、学生は真剣に話を聞いていました。

  • ウェブ制作の流れをレクチャー
  • 同社が手掛けたデザイン事例を紹介する松田社長

執務室見学 社員が作り上げた開放的なオフィスに訪問
 次に、執務室見学を行いました。オフィス移転時に、社員全員で間取りや机をどれにするかなどを決めたとのこと。天井が高く、開放的なオフィスで、社員同士のコミュニケーションが生まれやすい空間になっていました。執務室の入り口には明るい色のソファーが置かれており、簡単な打ち合わせや休憩のための場になっているそうです。
 見学中には、社員同士が笑顔で話している場面もあり、風通しの良いフラットな職場を体感することができました。その雰囲気から「思っていたオフィスのイメージと違って、和気あいあいと仕事をしていて驚いた」「チームで作り上げる一体感がある」といった声が聞かれました。

  • 執務室見学中に、実際の仕事の様子も見ることができた
  • 執務室の入り口にあるカフェのような打ち合わせスペース

座談会 デザインの知識を増やすには?
 続いて、若手社員を交えた座談会を行いました。「入社したきっかけは?」という質問に対して、文化学園大学OBの社員の方に回答していただきました。「大学ではデザインの勉強をしており、更にウェブ制作にも興味があったので、プログラミング未経験から挑戦できる当社に入社しました」とのこと。デザインとウェブ制作のふたつを取り扱っている同社はまさに天職だといいます。また、「デザインの知識を増やすにはどうすれば良いですか?」という質問には、「いろいろなジャンルのデザインに挑戦することが大切です。また、興味のないことでも、やってみると自分に合うということもあるので、様々なものにチャレンジしてみてください」とアドバイスをいただきました。
 デザインやウェブ制作を学んでいる学生も多かったため、専門的な質問も飛び交い、社員の方に細かく答えていただけました。

  • デザインやウェブ制作についてなど、同社の幅広い事業について質問があがった

参加者の声

 学生からは、「デザインの現場を見学できて、良い経験になった」、「想像していたよりも幅広いジャンルの仕事があり、驚いた」といった声が聞かれました。

まとめ

 1社目の村井は、シューパーツの製造などを通して人々の生活を足元から支える会社。2社目のガジェログは、ウェブ制作やデジタルコンテンツをデザインから手掛ける会社でした。どちらも業務の幅が広いからこそ、若手社員のうちから様々な業務に挑戦できる環境が整っていました。学生たちは見学や交流などを通し、中小企業の社員たちの成長できるスピードの速さを実感していました。