<中小企業しごと魅力発信プロジェクト>

中小企業しごと魅力発信プロジェクト 東京カイシャハッケン伝 東京カイシャハッケン伝

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TOKYO SHIGOTO WAGON REPORTトーキョー・シゴト・ワゴン 実施レポート

高い技術や優れたサービスで若手がキラキラ輝く企業特集

1社目 株式会社協振技建/5名参加

 最初に訪れたのは、ガスパイプの設計・管理を行う協振技建です。ここでは、髙橋代表と社員の方から、会社や業務概要を説明いただき、オフィス見学をさせていただきました。その後、職業体験を経て、若手社員の方々との活発な座談会を行いました。

東京都文京区に本社と文京事業所を構える

ツアー内容

会社説明 社会的貢献度の高さと実績を知る
 ガスは料理をしたり、お風呂を沸かしたりする際に欠かせないライフラインの一つ。しかしガスパイプ整備となると参加者には馴染みのない仕事です。まずは髙橋代表から、仕事概要についてお話しいただきました。同社が扱う都市ガスは天然ガスを主原料とし、ほとんどを外国から輸入しているといいます。船で運ばれてきた天然ガスは、港のタンクに貯蔵され、地下に埋められたパイプを通って山や川、街中を経て、各家庭に届けられています。同社が扱うパイプは地球1周分にもなるといいますから、途方もない長さです。
 「縁の下の力持ちがモットーです。当社では、ガス導管を設置・管理するための地形測量や設計、情報システムの構築などを行っています」と紹介いただきました。

 更に同社では、人工衛星を利用したGPS測量をはじめとした最先端の測量技術を有するとともに、測量から設計までの流れをデジタル管理し、業務効率化と精度向上につなげているそうです。
 また、測量部、設計部、情報システム部の社員の方から業務内容を紹介していただきました。軽量化・多機能化が進む測量機器や、微細に描かれた設計図などの仕事道具にも触れさせていただき、貴重な時間となりました。

  • 髙橋代表の話に真剣に耳を傾ける参加者
  • 仕事道具を見せていただきながら、業務内容を理解

オフィス見学と職業体験 測量設計の仕事をリアルに知る
 続いてオフィスを見学させていただきました。まずは、30名が在籍する設計部を訪問。案内役の社員の方から「地面を掘ると予期せぬものがあらわれることもあり、その都度、設計変更が求められます。1カ月から長期のものでは3年ほど工事終了まで修正を重ねる、地道な仕事です」と仕事ぶりが紹介されました。
 その後は、職業体験を行いました。参加者たちは、複数枚にわたってガス導管が記された「導管図」と呼ばれる図面を、パズルのように貼り合わせて巨大地図を完成させ、防災ブロックをチェックするというワークに取り組みました。これは同社が東日本大震災をはじめ、災害時の電気がない環境で復旧工事を進めるために、実際に行った作業です。苦戦する参加者を前に「3.11の際には1000枚近くを貼り合わせました」との解説があり、労力の大きさがうかがわれました。

 また、社員の方から地図の読み方をレクチャーしていただきました。「見てください。みなさんが今いる建物を囲むようにガス導管が描かれているでしょう」との説明に「こんなにたくさんあるんだ」と驚く参加者。更に地図上の「文」という表記を指さして、「これはガス管を開閉する設備です。一部地域の供給を止めることで被害を最小限にとどめます」との説明に「なるほど」と感心する参加者。災害発生時の取組について理解を深めるまたとない機会となりました。

  • 設計部を見学。職場の雰囲気を体感する参加者
  • ワークを通して迅速に災害対応する姿勢を実感

座談会 社員の人柄や社風を感じる
 最後に、若手社員を交えて座談会を行いました。社風について参加者が質問すると、「仕事中は静かですが、一転して休憩になると賑やか。年齢問わず仲が良い会社です」と回答。また、学生時代にやり残したことについて尋ねると、「勉強ばかりしていたので、もっと遊んでおけば良かった」と答えていただいたことから、良好な人間関係や勉強熱心な人柄などを感じ取れました。

  • 社風や給与、就活の悩みまで、ざっくばらんに対話

参加者の声

 1社目訪問後、参加者から次のような感想があがりました。「馴染みのない分野でしたが、会社説明やワークを通して、社会貢献できる仕事だと分かった」、「これほど精密な図面でガス管が作られていると思わなかった」、「若手社員の方が就活の悩みに丁寧に答えてくださり、人柄の良さを感じた。こんな社風ならいきいき働けそう」という声があがりました。

2社目 株式会社東洋ボデー/5名参加

 続いて訪れたのは、トラックの荷台を設計・製造する東洋ボデー。まずは社員の方からトラック業界の動向ならびに会社説明をしていただき、工場見学を経て、若手社員を交えた座談会をおこないました。

広大な敷地に完成したトラックが並ぶ

ツアー内容

会社説明 トラック業界ならびに会社の取組を紹介
 今回の訪問先も、参加者に馴染みのないトラックの荷台を製造する会社。まずは社員の方からトラック業界や荷台の種類、会社の取組などについて説明いただきました。
 プロジェクターに大手自動車メーカーのロゴが表示されると、社員の方から「この中でトラックメーカーはどれか分かりますか?」と参加者に問いかけがありました。CMで馴染みのある社名をあげる参加者の声を聞いた社員の方は、最初にトラック業界について説明。社員の方の話によると、国内5社がトラックを製造していますが、メーカーが作るのは運転室やエンジンのある部分だけ。ボデー(荷台)は同社をはじめとする別会社が作っているそうです。参加者は、「別々に作られているなんて知らなかった」と社会勉強になったようでした。
 更に、ひとくちに荷台といっても多種多様な形状のものがあることが紹介されました。「救急車や消防車、ごみ収集車の他に、自販機などに補充する缶・ペットボトルや、豚・牛などの家畜を運搬する車両もあります」
 同社では、様々な容量や形状、材質、デザインの荷台を設計し、材料を加工、塗装し、組み立てています。そこで腕の見せ所になるのが、いかに顧客の要望をきめこまやかに聞き取るかだといいます。「例えば、飲料水を運ぶ荷台はカーブ時に遠心力で荷物が移動しないよう、棚を内側に傾斜させています」との説明に細かな工夫ぶりがうかがい知れました。

  • 武蔵村山市の本社に訪問
  • トラックの荷台製造という仕事について丁寧に解説

職場見学 製造現場を訪問し、最新技術を体感
 続いて工場を案内いただきました。完成した荷台を前に社員の方が「この外枠は何でできているでしょう?」と質問。「金属かな」と答える参加者に「正解!泥などを浴びやすい側面にはステンレスやアルミなど、サビにくい金属を使っています」と解説。続けて「それでは底の部分は?」とたずねる社員の方に、参加者は首をかしげ、しばし思案。その様子を見た社員の方は「実は木材。加工しやすいからです」と答えを明かします。荷台を覗き触れてみると、木材の手触りを感じられ、「トラックに木が使われているなんて知らなかった!」と参加者は興味津々に車体を見つめていました。
 その後、材料加工、塗装、組み立て作業所を訪ね、完成品約70台が並ぶ様子を見学しました。ある荷台を見て「荷台の底が金属製のものがあるのはなぜ?」と質問する参加者に、「鋭いですね。燃料タンクなどの重いものをのせるからです。転倒時に底を損ねないよう強度のある鉄材にしています」と丁寧に答えいただきました。
 また、飲料水などを運搬するトラックを見学ならびに試乗をさせていただきました。このトラックにはカメラ7台、センサ6台が搭載され、危険を感知して運転者に伝えます。こうした車両を製造する背景について、「高齢ドライバーを中心に事故が増えていることもあり、安全対策へのニーズは高いのです」と解説。世の中のニーズを反映したものづくりの様子を見て取れました。

  • 荷台に触れながら、材料選びのポイントなどを解説
  • 飲料水などを運搬するトラックに試乗する参加者

座談会 中小企業で働くメリットを知る
 最後に若手社員を交えて座談会を行いました。「どんな学生におすすめしたい会社ですか?」との質問に、「大手と比べて人が少ないので一人ひとりの裁量が大きいため、製造、営業、事務など、幅広い経験を積みたい人におすすめです」。また就活の悩みについて、「配属先は企業側が決める会社が多く、希望通りにならなかったらどうしよう」と相談する参加者に、「与えられた仕事に打ち込みながら、上司に希望を伝えていたら異動することができました。挑戦したいことを発信し続ければ、希望が通りやすいかもしれません」と勇気付けていただきました。

  • 中小企業で働くメリットから就活相談まで盛り上がった座談会

参加者の声

 2社目訪問後、参加者から次のような感想があがりました。「社員一人ひとりの声をしっかり聞いてくれる印象を持った」、「顧客のニーズを聞き出して、これからの時代に必要な技術を開発・実装していると感じた」という声があがりました。

まとめ

 1社目の協振技建では、最先端の測量技術を用い、精度や業務効率を上げて働く様子を見学。2社目の東洋ボデーでは、顧客のニーズに耳をかたむけ製品開発に取り組む様子を見聞きしました。いずれの企業も、これまでに培った技術を核にしつつも新たな技術開発に積極的に取り組んでいました。また、座談会を通して、若手社員がイキイキと働く姿をうかがうことができました。