<中小企業しごと魅力発信プロジェクト>

中小企業しごと魅力発信プロジェクト 東京カイシャハッケン伝 東京カイシャハッケン伝

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TOKYO SHIGOTO WAGON REPORTトーキョー・シゴト・ワゴン 実施レポート

千葉商科大学連携回

1社目 吉田テクノワークス株式会社/4名参加

 午前中に訪れたのは、化粧品ケースやスマートフォンカバーなどのプラスチック成形を行う吉田テクノワークス。ここでは会社説明ならびにオフィス見学を実施。その後、座談会を行いました。

洗練されたデザインの製品。国内外からオファーが舞い込む

ツアー内容

会社説明 ものづくりへの熱意を知る
 1946年創業の同社では、東京本社、栃木県ならびに岩手県の工場で社員250名が働いています。まずは吉田社長から同社のビジネスについてお話をいただきました。
 「ファンデーションをはじめとした化粧品のコンパクトケース製造から始まり、今ではスマホやカーナビなどの電子製品も扱うようになりました」
 プラスチック成形メーカーとして同社が誇るのが技術開発力。1973年の「シングルインモールド」に始まり、2000年の「ダブルインモールド」、2016年の「曲面ガラスインサートインモールドなど、世界初の技術を次々に生み出してきました。現時点では、「ダブルインモールド」技術が最も同社の強みになっているといいます。
 「色柄の付いた二層のフィルムをプラスチックに圧着させて熱を加えることで、瞬時に転写するという技術です。スピーディに装飾できることから、国内外の著名なメーカーからオファーをいただいています」
 プラスチック装飾の可能性を広げてきた同社が大切にしているのはものづくりを楽しむ姿勢です。2013年に自社ブランド「ornament(オーナメント)」を立ち上げ、洗練されたデザインのカードケースやプラスチック皿、靴ベラ、コースター、ペンケースなどを製品化してきました。
 「私たちはものづくりが大好きです。自社ブランドでは、社員自ら製品をデザインし、イベントなどで手売りもしています。今後も、ものづくりの楽しさを味わいながら、革新的な技術を生み出していきたいです」

  • プラスチック成形のビジネスについて学ぶ
  • 製品を手に取ってインモールド技術を体感

若手社員講演とオフィス見学 仕事ぶりを体感
 続いて、若手社員2名から仕事の紹介がありました。まずは入社3年目の営業部の方にお話いただきました。
 「業務で英語を使えることに魅力を感じて入社。高齢者向けの携帯電話の開発にともなう進捗管理などを担当しました。業務と並行して、英語資料の翻訳や海外顧客企業の工場を視察し、検品体制などを指導するといった仕事にも挑戦させてもらっています。社員のやる気を応援してくれる会社です」
 同じく入社3年目の技術部の方からもお話がありました。
 「文系大学出身ながらプラモデル工作が趣味で、ものづくりがしたいと技術職を志望。面倒見の良い社風に魅力を感じています。1年目に図面作成、2年目にプログラミング、3年目に組み立て技術を修得し、現在は化粧品ケースの自動組み立て装置の開発にも携わっています」
 その後、作業室を見学。そこで大小さまざまな機械を動かしていた社員の方から仕事内容についてお聞きしました。
 「既製の工作機械では思うように加工できないこともあります。そこで、自ら装置を開発。例えば、材料をおさえる際の圧力はどうするかなどを考え、図面を作成し、部品を仕入れ、装置を組み立てています」

  • 若手社員の方が仕事内容を紹介
  • 作業室で、最新の工作機械を見学

座談会 明るい社風に触れる
 最後に、座談会を行いました。
 「御社で働く魅力は?」との質問には、「知識ゼロからスタートできること。同じ境遇の先輩社員が多いので、丁寧に教えてもらえる」、「明るい社風。ものづくりの現場というと静かなイメージがありますが、当社は賑やか」などと答えていただきました。
 また、「フレンドリーな社風はどのように作っていますか?」との質問には、「明るく楽しく働いてほしいという社長の考えが根底にあることや、現場の社員も採用に携わり、一緒に働きたい人を選んでいるから」などと答えていただきました。

  • 教育環境や社風などの質問に答えていただいた

参加者の声

 会社訪問後、参加者から次のような感想があがりました。
 「身近な製品の数々に同社の技術が使われていると驚いた」、「自分たちが作りたいものを作るという姿勢がかっこいい」、「吉田社長のリーダーシップのもとで若手が挑戦し、わきあいあいと働く社風に魅力を感じた」

2社目 株式会社スピードリンクジャパン/4名参加

 午後に訪れたのは、ソフトウェア開発を行うスピードリンクジャパンです。ここでは会社説明を受け、プログラミングを体験。その後、社内見学を経て座談会となりました。

プログラミング体験。ロボットを制御して学生同士で対戦

ツアー内容

会社説明など 挑戦できる社風に触れる
 2001年に創業し、渋谷区でソフトウェア開発を行っている同社。まずは社員の方から同社のビジネスについてお話いただきました。
 「お客様の要望に応じてコンピュータシステムの設計、開発、運用サポートなどを行っています。大手百貨店の店頭に設置するデジタル広告、ソーシャルゲーム、アプリ、電子書籍システム、求人情報サイトなどの制作実績があります」
 また、教育事業にも注力。他社の新人エンジニアなどを育成する「スピードリンクアカデミー」、小学生向けのプログラミングスクール「アントレキッズ/カレッジ」などを展開。渋谷区の小学校におけるIT教育プログラムづくりにも協力しているとのお話でした。
 「IT技術で、よりよい社会を築くのが目標。次世代を担う子どもたちのITリテラシー向上や、業界内のエンジニア不足解消などに貢献していきたいと思います」
 また、社員の挑戦を後押しする職場づくりにも注力。例えば、投票でプロジェクトリーダーを選ぶ「選挙制度」、プロジェクトを提案できる「プロつく」、ミッションを達成することで報酬が得られる独自の評価制度などを取り入れています。
 「これまでプロつく制度を通して既存事業や社内制度の見直し、ウェブ・アプリの開発プロジェクトなどが実現しています。これからも社員の挑戦を応援していきたいです」

  • 同社のビジネスや社内制度などを紹介

ワークショップ ゲーム感覚でプログラミング体験
 続いて、同社の主業務であるプログラミングを体験。一人1台ノートパソコンが配られ、画面上のキャラクターをプログラミング技術で操作するという内容です。
 「小学生向けのスクールで取り入れているプログラムです。今回は脱出ゲームと対戦ゲームの2つにチャレンジ。脱出ゲームではゴールに到達するための条件を洗い出し、プログラムを作成するというもので、論理的思考力が求められます。このワークを楽しめる人はエンジニアに向いています」
 「前へ」「右へ」「左へ」「繰り返す」など指示を組み合わせながら自分のキャラクターを動かす学生。脱出ゲームを通して操作に慣れた後は、対戦ゲームに挑戦。各々設計したロボットを見ながら、「動きが止まった」「うまく避けられた」などと盛り上がりました。本ワークを通してプログラミングの基本的な考え方や手順などを体験できたようでした。

  • 社員の方に教えていただきながらプログラミングに挑戦
  • 対戦にむけたロボット開発に熱が入る学生

オフィス見学と座談会 風通しの良さを感じる
 続いて、オフィススペースを見学。社員数が少ないことに気付いた学生から「他の社員の方々は?」と質問があがると、「顧客企業で開発しています。週1回程、社内のプロジェクトなどで顔を出すといったスタイルで働いています」と説明がありました。
 最後に、座談会を実施しました。
 「御社で働く魅力は?」との質問には、「エンジニアとしてスキルアップできる」、「意見が言える雰囲気。社員の自主性を大切にしたいという代表の考えがしっかり根付いている」との回答がありました。また「就職活動時の軸は?」との質問もあがり、「人です。この人たちと一緒に働きたいかどうかを基準にしました。結果、意欲的に働けています」とのお話でした。

  • オフィス見学。明るくモダンな雰囲気
  • 座談会ではやりがいや社風などを質問

参加者の声
 会社訪問後、学生から次のような感想があがりました。
 「社員同士でリーダーを決めたり、プロジェクトを提案したりしていて、主体的に働けそうだと感じた」、「プログラミングが楽しかった」、「未来をより良い方向に変えたいという志に感動した」

まとめ

 1社目の吉田テクノワークスでは、独自の加工技術でプラスチック装飾の可能性を広げる仕事ぶりや、若手社員が意欲的に働く様子を見学。2社目のスピードリンクジャパンでは、幅広い分野に広がるビジネスや社員の主体性を尊重する社風をうかがうことができました。いずれの企業でも、若手社員の主体性を引き出しながら、新たな技術へ挑戦することや、新たなアイデアを生み出すことが、ビジネスの成長につながっている様子を知ることができました。