女性職人も活躍できる環境で、新築ビルなどの建築塗装を中心に特殊塗装も手掛ける
<カイシャの特徴>
●事業内容:建物の塗装や特殊塗装を手掛ける
●働く環境:1/3が女性職人。多様性を尊重
●育成制度:知識習得を支援し向上心を後押し
●仕事のやりがい:自分の成長と仕事の成果を実感
大手ゼネコンからの受注で新築ビルを塗装。特殊塗装で独自性を発揮
建築塗装会社として100年以上の歴史を持つ佐藤興業。同社の売上げの約7割は大手ゼネコンから受注する新築のオフィスビル、商業施設、マンションなどの建築塗装工事で、3割弱をリニューアル工事に伴う塗装が占める。そして割合こそ少ないものの同社の特色となっているのが、木目や大理石、金属そっくりに仕上げる特殊塗装だ。
「テーマパークのアトラクションやホテルなどにも使用される特殊塗装を手掛けるようになったのは、先々代が30年程前に着目し、当社の職人がアメリカで技術を身に付けたことが始まりです。現在は、一般的な建築塗装・特殊塗装のどちらもできるように、若手職人に技術を伝えています」(佐藤社長)
同社が強みにしているのは、長年の付き合いで築いてきたゼネコンとの信頼関係と、協力会社とのネットワーク。
「塗装は建築工事の最終工程に当たります。また、お客様は当社へ期待を込めて発注してくださいます。ですから、当社は『求められる品質・適正なコスト・定められた工期』、そして『怪我なく安全に・環境にも配慮』して塗装を仕上げる必要があります」(佐藤社長)
加えて、難易度の高い要求にも対応可能な職人の技術力とチーム力も同社への信頼につながっている。

塗装職人の1/3が女性。職人の平均年齢は26歳と若い社員が活躍
同社の特徴は、社員の約3割が女性という点。同社には職人、施工管理、事務職の三つの職種があるが、いずれも女性が在籍している。特に職人における女性の比率が高く、30人ほどの東京本社所属の職人のうち約1/3を女性社員が占めている。こうした実績が評価され、2023年には東京都女性活躍推進大賞で大賞を受賞した。
「私はもともと性別や年齢、国籍に関係なく、いろいろな人に当社で力を発揮してほしいと考えていました。女性職人の採用は、7年ほど前に職業訓練校の指導員に紹介されたのが始まりです。その後、工業高校などから女性の志望者が増え、急速に女性比率が高まりました」(佐藤社長)
同社で多くの女性職人が活躍していると知り入社を希望したというのは、入社2年目、塗装職人の谷口さん。
「体を動かし、手に職を付けたいと思っていたのですが、女性に務まるかという不安もありました。実際に入社してみると、重い物を運ぶときは周りの人が協力してくれますし、今は不安なく働くことができています」
若手の職人が多いのも同社の特色で、東京本社配属の職人約30人の平均年齢は26歳。一方、施工管理や事務職は若手からベテランまで幅広い年齢の社員がいる。

OJTと資格取得、専門学校での学びを支援し社員の向上心を後押し
多様な人材の活躍を推進する同社では、キャリアパスも各人の適性や希望に合うよう柔軟に提示している。職人の場合は入社10年目をめどに、施工管理職への職種転換、塗装のスペシャリスト、のれん分け(独立)という三つの道を用意しており、それまでに現場での経験や資格取得などにより知識や技術を高めていく。
1級・2級の塗装技能士の資格取得では、学科の勉強会や実技のための練習会を会社主催でバックアップ。施工管理職を担う社員には、東京都塗装高等技術専門校に週1日、2年間通って建築や塗装の基礎を学ぶ制度を用意している。
また、同社は職人のモチベーションと技術力の向上を目的に「全国建築塗装技能競技大会」への参加にも力を入れており、2007~2023年までに9人の入賞者を輩出している。

技術力向上の実感と、社会で注目される施設に関わる楽しさ
「入社2年目なのでまだまだ修行中ですが、以前、高層ビルの現場で広い吹き抜け天井の塗装を任され、うまく塗り終えたときは感動しました」と話すのは谷口さん。担当した現場は、光が射して塗りムラの目立つ窓際の天井だったが、塗料が乾いても天井は滑らかに輝き、先輩職人たちに褒められたことも嬉しさを倍増させたという。
「施工管理はいくつかの現場を同時並行で担当するのですが、一つひとつ丁寧な仕事をして、ゼネコンの現場監督の方に『きれいに仕上げてくれてありがとう』と感謝されることがやりがいになっています」(入社7年目、施工管理の髙野さん)
同社は開業時に大きな話題となる複合ビルや商業施設の塗装を手掛けることも多く、そうした注目度の高い建物の完成に関われることもやりがいになっていると髙野さんは話す。

社長からのメッセージ
塗装は、人の手が欠かせない仕事です。職人が一件一件自身の手で完成させていく、温かさのある仕上げを提供していきたいです。

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●第39号 (2024年12月発行)掲載 ※掲載内容は発行日時点のものです。