職員にも子どもにもゆとりある環境で 4園を一つの組織として経営する保育園
<3つの特徴>
●事業内容:子どもに寄り添う4つの認可保育園を経営
●働く環境:有給休暇などの取得を促進し、職員にゆとりを
●育成制度:各種研修を積極的に行ってキャリアアップ
地域で選ばれる保育園を目指し、必要な改革は積極的に推進する
稲城市に2園、調布市に2園の認可保育園を運営している稲城青葉会。この4園では、いずれも「一人ひとりを大切にし、生きる力を培う保育」をミッションに、職員が子どもたちと向き合っている。
「少子化に伴い、各園が保育の個性を出している今、私たちも地域のニーズに応え、一番に選ばれる園づくりを目指しています」(城所理事長)
経営する4園を一つの組織として捉え、園長含め全ての職員がやりがいを持って子どもたちへ接しながら活動している同法人。地域からの信頼も厚いという。
園長など管理者は月1回定期的に会議を行い、これまでの園の規定を見直したり、新たなルールを設けたり、会議をもって「職員の働きやすさ、子どもの過ごしやすさの追求」に積極的に取り組んでいる。
同法人が、現在最も力を入れているのは「里山プロジェクト」という活動。城山保育園南山の前にある山を活用し、里山の保全活動を実践するとともに、4園の子どもの保育にも役立てている。
地域の親子を広く対象とし、月に1回は「里山で遊ぼう会」を企画して、NPOやボランティアなどの組織と連携して、コンサートやワークショップを実施。また、里山の一部に畑を作り、子どもたちにも野菜を育ててもらい、収穫し、それを給食に利用して味わうという、食育につながる活動も行っている。
「特に『里山で遊ぼう会』は、園の仲間たちだけでなく、多くの大人や他園の子どもたちとも触れ合う機会となっています。子どもの成長にとっても意味のあることだと思っています」(城所理事長)

若手の声を取り入れ、職員・子どもにとって ゆとりある保育を実現
同法人では、経営改革プロジェクトとして各園から職員を募り、子どもチーム、保護者チーム、職員チーム、地域チームと4つのチームを作って活動している。子どもや保護者、職員、地域の人々の「満足」を得るために様々な研究、企画立案等を行い、さらに良い保育環境を育くんでいくことを目的としている。
職員からのアイデアを具体化して保育に生かすことにも積極的。入職12年目、保育士の青野リーダーは、新人の頃、子どもの野菜嫌いを克服するため、「食ベルンジャー」というヒーローを生み出し、職員がそれに装って子どもたちに働きかける取組を実現させたことがある。
「新人職員のちょっとしたアイデアを先輩がきちんと拾い上げ、形にしてくれました。どんなことでも受け止め、フォローしてくれる環境ですので、自由に意見を言いやすく、楽しく仕事ができています」(青野リーダー)
加えて、有給休暇の消化率はほぼ100%と、職場の働きやすさもしっかりと確保。毎週月曜のノー残業デーや、短時間正職員制度の導入もあり、「働き続ける」ことに対する柔軟な体制を整えている。
また、男性職員の育児休業取得実績もあるという。「職員にゆとりがあれば、子どもへの関わり方にもゆとりが出ます。それが結果的に、保育の質の向上にもつながっていきます」(城所理事長)

職員同士の情報共有とコミュニケーションで 経験を積み重ねていく
新入職員は現場に配属されると、入職2~3年目の先輩職員がメンターとして付いて様々なフォローを行う。メンター以外の先輩職員も折に触れ新人の相談に乗り、アドバイスを行っているという。
「子どもの様子は日々職員同士で情報共有しており、その際にはちょっとした悩み事なども相談できます。個人で子どもと向き合うというより、チームで子どもを見守るという体制ができていると感じます」(入職2年目、保育士の山田さん)
その他、キャリアアップについては階層別研修や保育カウンセラー研修などを実施。保育士の3年、5年、10年後までを見据えてキャリアづくりを考えている。外部の研修にも積極的に参加するよう促し、多方面から保育の充実を目指す。
さらに、年に1回は4園の中でジョブローテーションがあり、職員が多様な環境でスキルアップできるように工夫している。

当法人の自己PR
職員同士の関係性がとても良いこともあって、園は明るい雰囲気に満ちています。担任するクラスの子どもの様子については上下関係にかかわらず気軽に相談できます。先輩職員は誰もが周囲をよく「見る」ことができる人ばかり。まだ経験の浅い私にとっては先輩方が私の目標とする保育士像となっています。(山田さん)


●第27号 (2021年12月発行)掲載 ※掲載内容は発行日時点のものです。