1993年に防水工事の専門会社として設立したビッグルーフ。現在は、小中学校や公営住宅の改修工事など、公共事業を中心に様々な建築工事に携わっている。事業拡大を可能にしたのは、防水工事での実績と新見社長は話す。
　「防水工事の中でも特に雨漏り調査・修繕工事は建築物の内部構造などを熟知していないと行うことができないため、知識と技術力が必要です。当社は着実に実績を重ね、お客様の要望に応える形で建築工事の分野にも進出しました」
　同社は「建築を通してお客様と共に困難を解決する会社」を理念に掲げ、顧客の困り事に寄り添ってきた。
　「例えば、漏水(ろうすい)などの問題を抱えていた地下駐車場の管理会社から相談を受け、補修工事を担当しました。工事終了後には、技術力の高さが評価され、感謝状をいただきました」（新見社長）
　顧客の困り事に向き合う姿勢が、同社の信頼につながり、顧客からの紹介で新たな案件を受注することも多いという。
　また、次世代を担う若手の活躍支援にも力を入れている同社。その一つといえるのが、デジタル化の推進。
　「設計図面のやり取りを紙ベースで行うこともあるなど、アナログな部分もまだ多い業界ですが、当社では社員一人ひとりにタブレットとスマートフォンを支給し、デジタルデータ化した設計図面等をどこからでも見られるようにしています」（新見社長）
　さらに、施工管理担当の社員は建設現場に常駐することが多いが、離れていても円滑にコミュニケーションが取れるようにと、社内用のビジネスチャットツールを導入。SNSでのやり取りが当たり前の若い世代にとって、部署の枠を越えた交流の場となっている。
　「デジタルツールの力を活用することで、ビジネスの効率化に加えて若い世代に合った業務の進め方を取り入れていきます」（新見社長）

　文系出身者でもスムーズに知識を身に付けられるよう、新入社員研修ではビジネスマナーや業界説明、安全講習などを徹底して行う。その後はOJT研修で経験を積み、独り立ちを目指す。
　また、建築施工管理技士など各種資格取得を奨励しており、３年間勤務することを前提に、合否にかかわらず授業料や受験料などを全額補助している。
　この他にも、昨年度から新たな人事評価制度を導入。半年に１回上司との面談を行い、一人ひとりの目標を設定するなど、個々のキャリアパスについてもしっかりと考えていく。

　今後は新築工事を手掛けることが目標です。これは事業拡大だけでなく、若手にゼロから建物が建つ一連の流れを学んでもらいたいからでもあります。