超高速大容量のモバイル通信が可能になる５Ｇ時代。キクテックはそのネットワーク構築を通じて社会に貢献している。強みは、高い技術力をベースに基地局設置場所の調査から設計・施工までを自社でトータルに手掛けていること。
　「全工程を当社で直接行えるため、作業に無駄がなく、短い工期による対応が可能です。早期の自社通信網構築を目指す通信キャリアにも、ワンストップ体制の施工会社は価値ある存在だと、喜んでいただいています」（菊地代表）
　こうした同社の評判を耳にした大手通信工事会社から新規案件の打診が飛び込んでくることも多いという。
　「自ら新規開拓の営業活動を行わなくても受注が順調で、業績も右肩上がりです」
　施工エリアは首都圏の一都三県が中心だが、北関東や東北などの案件も増えている。スマホの電波が入りにくかったエリアでも、同社が施工した後は電波状況が改善されるという。
　「通信状況のよくなかった地域で、人々がより良いモバイル環境を手に入れられるお手伝いをしていることが、私たちのやりがいです」（菊地代表）
　事業領域の拡大にも積極的な同社。法人向けの光ファイバー回線の設計・施工、防犯カメラやデジタルサイネージの設置なども意欲的に取り組んでいる。防犯カメラはバスターミナルや大学などでの設置実績がある。
　現在は５Ｇ関連の案件が事業の柱となっているが、同社の視線は、既に「ポスト５Ｇ」に向けられている。
　「今後はモバイル分野にこだわらず、IoTやAIなども視野に入れ、幅広い領域に進出したいと考えています。例えば交差点に防犯カメラを取り付けて交通事故撲滅に寄与する事業ができないかと構想中です」（菊地代表）
モバイル通信の基地局をマンションやビルの屋上に取り付けることで培ってきたノウハウを生かせないかという発想で生まれた構想と話す。
　「こうしたアイデアを、思いつきでも良いのでどんどん私にぶつけてくる、そんな情熱と志を持った社員に期待を寄せています」（菊地代表）

　ライフ・ワーク・バランスの充実にも力を入れている同社では、子の看護休暇や有給休暇も取得しやすい社風という。例えば子育て中の社員が「子どもが熱を出したので迎えに行かなくてはならない」といったときは、職場の同僚が快く送り出してくれる。
　背景には菊地代表の掲げる「仕事より家族」という考えがある。
　「私自身４人の子どもがいます。家庭が幸せだからこそ仕事もうまくいくもの。社員にも、まずは家庭を大切にしてほしいと思っています」
　コロナ禍前まで実施していたバーベキュー大会などの社内イベントは、社員の家族も招待。菊地代表が社員の子どもの面倒を見ることもあるという。こうしたアットホームな雰囲気も、社員にとっての働きやすさにつながっている。