1908年に創業し、100年以上にわたり、あきる野市で家づくりを行ってきた来住野（きしの）工務店。「住宅はお客様の分身」と来住野代表が説明するとおり、同社のこだわりは顧客の気持ちに徹底して寄り添い、一つひとつ丁寧にオーダーメイドの住宅を造ることにある。
　いわゆる営業職が存在しない同社では、来住野代表を含め在籍する４人の一級建築士のうち最低１人が必ず顧客との打合せに参加する。
　「家づくりはお客様にとっての一大事業。お客様との打合せを何より大切にしています。会話の中から、その方がどんな内容で表情が輝くのかを読み取り、好みや実現したいライフスタイルを理解した上で、プラスαを付け加えた提案をするよう心掛けています」（来住野代表）
　大規模な宣伝活動はしていないというが、インターネット検索などで同社の実績を知った個人客からの問合せは途絶えない。さらに、コロナ禍以降、都心から離れた西多摩地区に転居し、住宅を建てる人も増えたという。
　「画一的な家づくりの提案に納得できなかった方に、当社の提案を喜んでいただけるととても光栄に感じます」（来住野代表）
　来住野工務店の歴史をたどると江戸時代から建築業を営んできたという。長い歴史の中で、ほかの工務店とは違う独自性を育んできた。
　「当社は寺社の施工を担当することもあり、もはや珍しくなってしまった本格的な和室を作ることができる大工も在籍しています。伝統的な建築様式にも対応しながら、時代に合わせた技術や工法も柔軟に取り入れ、常に進化を続けています」（来住野代表）
　また、四代目の来住野代表は美術大学の建築学科出身ということもあり、美術的な観点も大切にしている。特にこだわっているのは見た目の美しさという。同社に在籍する複数のタイプの異なる一級建築士による高いデザイン力、技術力を生かし、洋風和風問わず比率や配置にこだわった美しい家であることが同社の家づくりの特徴といえる。

　社員の半数近くが女性社員という同社では、子育て世代が助け合って働いている。例えば、施工管理職であれば、子どもが幼少期には積算や書類申請業務を担当し、子の成長とともに現場に戻ることも可能という。
　「子育て中なので、９時から15時半まで週３日出勤しています。ママ社員が多く、仕事からプライベートのことまで何でも相談し合えます」（小山さん）
　また、オフィスにあるキッズスペースは打合せで来社した顧客はもちろん、社員の子どもを遊ばせることもできる。学校帰りにオフィスに立ち寄る社員の子どもたちもおり、そんなときは一層和気あいあいとした雰囲気になる。
　さらに、福利厚生として会員制ホテルが利用でき、社員が家族等と宿泊する際は会社が宿泊費を負担している。
　「とても働きやすい職場です。実は私は、マイホームを自社に発注しました。何よりも安心感がありますし、普段お客様に提供している工程が全て見えて楽しかったです」（小山さん）

家庭を守り働きながら家づくりができる！
　工務店というと、専門性が高く職人さんばかりのイメージでしたが、研修制度や資格取得支援があり安心して学ぶことができそうです。また子育て支援の充実はもちろん、実際に制度を利用して活躍する女性社員が多い点が素晴らしいと思いました。