全社員が業務効率化の意識を持ち、産業用機器に不可欠なコネクタ等を生み出す
<カイシャの特徴>
●事業内容:丸形コネクタを主にダイカスト鋳造と、情報通信機器の製造、販売等
●働く環境:育児休業後の復職率はほぼ100%。男性の育児休業取得も推進
●育成制度:実務でのスキルアップと資格取得や社外研修で経験と知識を養う
設立約80年の信頼を背景に、コネクタ、ダイカスト、情報通信機器事業を展開
1943年設立の七星科学研究所の原点であり、現在も売上高の7割を占める「産業用丸形コネクタ」。工場の生産設備や産業機械に電気や信号を流すコンセントのようなもので、目立たないながらも産業用機器を製造する際に必要不可欠な存在となっている。コネクタメーカーの中における同社の特徴は、少量多品種で顧客の細かなニーズに対応していることにある。ときには特注品1個の注文にも応じ、そろえる製品の種類は今や2万種以上という。
「お客様の要望に応えてカスタマイズしたり、需要が伸びそうな製品を自社開発しているうちにこれだけの数になりました」(鈴木社長)
同社には他にも2つの主力事業があり、その一つが鋳造(ちゅうぞう)技術「ダイカスト」を活用した産業用工作部品などの製造。アルミニウムを溶かして金型に流し、高い精度で自在な形を作るもので、電気・電子機器メーカーから依頼を受け、各種製品の外装材や内部部品を製造している。
さらにもう一つが、電気信号をより安定した状態で遠くまで送受信可能な光信号に変換する情報通信機器の開発、製造、販売。新規事業を模索する中で生まれ、今や鉄道・電力施設等の公共インフラ設備でも使われるほどの優れた技術力・製品力を築いている。
同社の3事業はそれぞれ安定して業績を残しているが、鈴木社長が目指すのは、ものづくりができる環境を一層強化する点にあるという。
「当社の製品を作るには、金属加工や金型製造など協力会社の力が欠かせません。しかしこの数年、跡継ぎがいないなどの理由で廃業する工場が増えていることに危機感を持ちました」
このため同社では近年、外注が難しくなりそうな協力会社の専門工場を関連会社として迎え入れ、グループとして事業継続の基盤を固めることに力を注いでいる。
「日本のものづくりを守る、とまでは言えませんが、我々が必要な技術を協力会社だけでなくグループ内にしっかりと継承していくことが、今後さらに重要になると考えています」(鈴木社長)
子育てと仕事を両立させ、改善提案制度で社員自ら業務効率化を図る
女性従業員の比率が約4割という同社では、産前産後休業・育児休業後の復職率はほぼ100%で、女性が長く働き続けられる環境が整っている。それを支えるのが制度面の充実で、子育てのための短時間勤務や時差出勤などの利用を子どもが中学校就学前まで延長。また男性の育児休業取得も推奨している。
「私は将来子どもができたら育児休業を取得するつもりです。男性が育児休業を取るのは当たり前だと後輩たちに示したいと思っています」(入社10年目、営業部の小川さん)
さらに、同社の働く環境で特徴的なのが改善提案制度。全社員が年間一つ以上を目標に、業務効率化を図るための改善案を提出する。採用されると報奨金が支給されるという。
「営業の負担を軽減するために、当社のホームページにチャットボットの導入を提案しました。採用されたことでお客様からの簡単な問合せに自動で応えられるようになりました」(入社4年目、営業部の川合さん)
現場研修で製造の基礎を学び、資格取得や外部研修でスキルを高める
同社の新入社員研修は、ビジネスマナーなどを学ぶ約1週間の基礎研修から始まる。その後は1カ月ほどかけて工場で製造業務を体験する現場研修で事業への理解を深めていく。配属後は入社年次に応じた階層別研修でビジネススキルを学んでいくという。
「現場研修では、製造ラインや資材調達、出荷手配などの部署も経験しました。営業志望で入社しましたが、他にもいろいろと興味深い業務があることを知り、貴重な経験になりました」(川合さん)
また、同社では実務を通じた人材育成と同時に、資格取得や社外研修などで知識を広げることも重視している。入社7年目、経理部の山﨑さんもそれを実感するという。
「入社当時は経理業務については未経験でしたが、エクセルやワードなどの外部研修に参加したり、簿記の資格取得のための勉強をしながら知識を身に付けていきました。現在は担当業務が増え、成長を実感しています」
社長からのメッセージ
当社は社員の声を聞き、真に働きやすい環境づくりに努めています。皆さんの成長の場としても、ぜひこの会社を生かしてください。
読者からひとこと
段階的なサポートでスキルアップに期待!
多品種少量生産によって細かなニーズの対応を実現させる方針に魅力を感じました!入社後の基礎研修、現場研修をはじめ、配属後には段階別にさらなる研修が用意され、資格取得支援にも積極的なので、専門的なスキルを得ることができそうです。
●第30号 (2022年10月発行)掲載 ※掲載内容は発行日時点のものです。