基礎から木材知識を身に付け、木の温もりで社会を彩る「ツキ板」で業界をけん引する
<カイシャの特徴>
●事業内容:創業約100年。広範囲に活用される「ツキ板」の製造会社
●育成制度:基礎研修と実践で10年かけて社員を一人前に育てる
●働く環境:ロールモデルとなる子育て中社員も多数。職場環境整備を進める
創業から間もなく100年。ツキ板業界を先導する老舗企業
音楽ホールのような大型施設から住宅、店舗、自動車の内装に至るまで、私たちの暮らしの身近で使われている木材。実はそれらは、合板をはじめ金属やガラスなど様々な素材の上に、木材を薄くスライスした「ツキ板」を貼っていることが多い。北三は、このツキ板の製造・加工・販売で、約100年の歴史を誇る。
国内にも複数のツキ板メーカーが存在するが、同社の優位性は、1924年創業という長い歴史を背景にした原木の調達力と優れた技術力にあるという。
「ツキ板はヨーロッパで工業化された加工技術ですが、日本においては独自の発展を遂げています」(尾山社長)
同社は戦後間もない頃から海外の仕入先とネットワークを築き、現在、世界各国から130種以上の原木を輸入。幅広い顧客ニーズに応え、日本の自動車史に残るような名車や、有名観光列車の内装など、様々な場所で同社のツキ板が採用されている。
そして同社の技術力の高さを端的に示す特徴が、ツキ板の薄さにあると尾山社長は話す。
「欧米では現在でも0.5mm程度がスタンダードと言われていますが、当社では0.2mmの薄さを実現しました」
薄くすることで一つの木材から作り出せる枚数が増え、空間全体の統一感が求められる大型施設などのニーズにも応えることができる。また、自動車のハンドルやダッシュボードなど曲面で使用する場合にも、薄いツキ板のほうが加工しやすいという利点もあるという。
薄いツキ板のメリットはそれだけではない。
「例えば鉄道車両や航空機の内装には高い防火性が求められます。こうした箇所でも薄いツキ板と高性能なベース材を組み合わせることで、耐火基準を満たした製品を作ることができます。様々な場面で天然木を使いたいというニーズに応えるため、製品の開発と改良を続けています」(尾山社長)
また、同社がツキ板に着目した当時は、家具向けの用途が多かったというが、長い歴史の中でピアノなどの楽器、ホテルや店舗など、顧客の様々なニーズに応えてきた。天然木が生み出す温かな雰囲気は人気が高く、幅広い業界から製品化の相談が来るという。
「依頼を待つだけでなく、展示会に積極的に出るなど、新たなビジネスチャンスをつかんでいきたいと考えています」(尾山社長)
10年かけて人を育てる。先輩にも気軽に相談できる環境
同社に入社すると、まず社会人としての基礎的なマナー研修を行い、その後約半年間をかけて工場や倉庫で自社が取り扱う木材やツキ板について学んでいく。
入社5年目、営業部販売促進課で、製品PRを担当する石井さんは「文系学部出身ということもあり、木についての知識は全くありませんでしたが、最初に工場や倉庫で基礎から学べたことが現在の業務でも役立っています」と語る。
幅広い樹種や加工方法を扱う同社なだけに、覚えることは非常に多い。
「社内では、『社員一人を育てるのに10年かける』といわれています。4年目の今でも分からないことがあればすぐ先輩に相談できます。日々の営業活動を通して経験値を増やしています」(入社4年目、営業部内装インテリア課の清水さん)
この他にも業務に必要な資格を取得する際に、会社が受験費用等を負担するなど、育成支援に力を入れている。
育児休業取得実績も多数。先輩たちの働く姿が若手のロールモデルに
同社では、男女共に育児休業の取得実績があり、複数の子育て中社員も活躍している。
「身近に産前産後休業・育児休業を取得した女性管理職や先輩がいます。自分の将来を考える際のロールモデルとなるので、そういう面でも働きやすいです」(石井さん)
また、女性活躍推進法の改正に基づき、家庭と仕事の両立支援に向けた行動計画を策定した同社。育児・介護に関連する制度の周知を行うなど、職場環境の整備にも積極的に取り組んでいる。
さらに、社員が金銭面でも安心して働けるよう、2,000円から入居できる寮を完備。地方出身者の多くが入居するなど、様々な制度や施設が社員の働きやすさをバックアップしている。
社長からのメッセージ
木を育てるように、じっくり人を育てます。職人気質の社風なので、自分の興味を極めたいという人にぜひ来てもらいたいです。
読者からひとこと
じっくり育てる社員思いの会社!
木についての基礎知識がなくても業務を経て学ぶことができ、楽しみながら仕事ができそうです。10年かけて育てるということで、自分の経験値も徐々に増やすことができると思いました。また、安価で寮に入れることも社員思いだと感じます。
●第30号 (2022年10月発行)掲載 ※掲載内容は発行日時点のものです。