プラスチック部品の微細加工でオンリーワン技術を多数蓄積。若手の挑戦を尊重する社風
<カイシャの特徴>
●事業内容:プラスチック部品の微細切削加工
●育成制度:本人の希望を尊重し配属先を決定
●働く環境:くるみん認定の子育て支援企業
●仕事のやりがい:魅力的なニッチトップ製品を扱う
微細なプラスチック切削加工を強みに1個から数十万個まで生産可能
プラスチック部品の加工方法には大きく分けて、刃物で材料を削る切削加工と、熱などで軟らかくして型に流す成形加工の2種類がある。主に切削加工を手掛ける伸光製作所は、中でも、小型部品の製造を得意としている。オリジナルの刃物や加工方法を駆使しながら、最も小さいものは化学調味料1粒程度のものまで加工できるという。
「この微細な部品はスマートフォンの検査等に使用されるものです。当社の技術者が研究を重ねて実現しました。切削加工は小ロット生産ができるのが特徴ですが、数十万個という大量生産に対応できることも当社の強みになっています」(角田代表)
同社はもともと、携帯電話の部品生産を主軸にしてきたが、顧客であるメーカーが生産地を海外に切り替えていったことを機に事業方針を転換。1社からの受注比率を20%以下に抑え多軸化を進めたという。現在、顧客は電機、半導体、医療機器などの先端分野に広がり、他社にない高度な技術力もあって安定経営につながっている。
こうした事業展開の原動力の一つになっているのが、大学との共同研究。10年ほど前に、国立大学の研究室と新たなプラスチック研磨方法の研究を始めて以来、新技術に関する共同研究に様々な大学と取り組んでいる。
「難易度の高い切削加工技術を極めるとともに、今後は成形加工分野にまで事業の幅を広げて顧客対応力を高めていきたいです。実現のために、異なるフィールドを持つ同業他社のM&Aにも力を注ぎたいと考えています」(角田代表)

3カ月の新人研修で各部署を体験。配属先は本人の希望が尊重される
「『望まない部署で働いても楽しくない』というのが角田代表の考え。そのため、当社では入社後に各部署を経験してもらい、本人の希望を聞いた上で配属先を決めています。どの部署も新人に来てほしいので自分の部署のピーアールに余念がないようです」(入社4年目、総務人事部の大竹さん)
新卒者向けの新人研修では、工作機械の種類ごとに分かれた製造部や検査部など各部署を3カ月ほどかけて巡り、角田代表との面談を経て配属先が決定される。配属後は、OJTで部署の先輩たちが皆でサポート。約3年間実務を経験した後に、本人の希望によってはジョブローテーションも実施している。
入社4年目、営業部の名取さんは、那須工場での新人研修は貴重な経験だったと話す。
「営業担当はお客様の図面を見て、当社で担当できるか判断をするので、技術担当社員からのアドバイスが欠かせません。研修で工場のメンバーたちと直接交流できたことが今につながっています」

社内コミュニケーションが活発。公私の充実や子育て支援にも注力
角田代表は社員とのコミュニケーションを大切にしている。自身も参加するランチミーティングでは、年齢や部署の垣根を越えて社員が集まり、様々なテーマで自由に意見交換をしているという。
また 社員のプライベートの充実にも力を注ぎ、有給休暇の取得率は2023年度末で平均96%に達した。2023年12月には子育てサポート企業として「くるみん」にも認定された。
「総務人事部に所属する私自身が率先して、第一子と第二子の誕生時にそれぞれ1カ月ほどの育児休業を取得しました。昨年度は3人の男性社員が育休を取得。経験者として対象となる社員たちに積極的に働きかけていきたいです」(大竹さん)

全員で経営計画を共有し、ニッチトップ製品を携えて同じ未来を目指す
同社は、 約20年前から経営陣だけでなく社員も参加して経営計画を策定している。会社が目指すビジョンを根本から理解して仕事に取り組めることは、やりがいにも結び付くという。
また、若手が業務の第一線で活躍できるのも仕事の魅力の一つ。「キャリアに関係なく、挑戦したいという気持ちを大事にしたいと考えています」と角田代表も話す。
「当社がニッチトップ*の製品を多く持つことが、私の入社動機でした。製造業を幅広く見渡しながら、当社ならではの提案を考え、お客様のニーズに応えていくことがやりがいです」(名取さん)
*ニッチトップ:ニッチな市場で圧倒的なシェアを誇ること

代表からのメッセージ
中小の製造業の魅力は、新人研修が終わればすぐにものづくりに加われること。今までなかったものをつくる挑戦は、本当にやりがいが大きいと思います。

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●第37号 (2024年6月発行)掲載 ※掲載内容は発行日時点のものです。