おもてなしの心で満足のいく葬儀を提供。慣習を見直し働きやすさも実現
<3つの特徴>
●お客様の声に耳を傾け葬儀をプロデュース
●社員全員の協力で確実な休日を実現
●現在のスキルを見える化して成長を後押し
時代のニーズに合わせたサービスを提供
昨年、設立40年を迎えた多摩中央葬祭は、立川市と府中市に拠点を置き地域に密着した葬儀業を展開している。
高齢化が急速に進む現在、葬儀の施行回数は年々増え続けていると話すのは森山代表。
「亡くなる方は、年々増えていますが、参列者が100人を超えるようなお葬式は少なくなりました」
近年では、身内だけの小規模な葬儀を望む声が多く、同社では規模は小さくとも遺族が故人を心置きなく偲べるような、家族の温かみを感じさせる葬儀にしようと「こじんまり葬」というプランをリリース。家族の意向にしっかり耳を傾け、十分に満足していただけるサービスの提供を目指しているという。
「ご家族の声をしっかりと伺えるように、ご遺体搬送から会場準備、式の司会まで同じ担当者が責任をもって行う一貫施行体制を採用しています。お客様からは『顔が見える』サービスだと高い評価をいただいています」(森山代表)
森山代表は異なる業界に長く勤めていたが、7年前に実父が興した同社を引き継いだという。
「まだ私自身、この業界歴が浅いのですが、お葬式を取り仕切ることの奥深さを日々感じています。先日、最後のお別れのときに故人のお孫さんが『おじいちゃんへの手紙』を読み上げる場に立ち会いました。悲しい場面ではありますが、参加者全員が故人の冥福を静かに祈り、その思いを継いで生きていこうとする思いが伝わってきました」
過去の慣例にとらわれず、多様化するお客様のニーズにこまやかに対応したいという森山代表。顧客目線での最高のサービスの提供を目指すことで、お葬式を通して、「人と人がつながる場」を生み出していきたいと語る。

古い慣習を打ち破り 働きやすい環境を整備
森山代表は就任以来、社員の働き方改革に力を注いできた。長年他業界で働いてきた経験により、葬儀業界特有の課題を分析し、改善することができたという。
例えば休日。人の死は時間を選ばないため、いつ何時、病院からの搬送や葬儀の依頼が入るか分からない。そのため葬儀業界では、予定通りの休日が取りにくいのが一般的だった。森山代表はまずここに着目し、各社員にあらかじめ希望の休日をタブレット端末から申告してもらうことにした。誰がいつ休みを取るか、全員で共有できるため、確実に休日を取得できるようにお互いをカバーできる。タブレット端末は全社員に支給され、社内SNSやカレンダーアプリを活用して、ムラのない情報共有を行い、社員が休みやすい環境を作り出している。
「誰かが『ここは子どもの運動会なので休みたい』と言えば、その人が心置きなく休めるようにする。事前の引継ぎなども丁寧に行って、お客様にご不便を掛けないように取り計らっています。とても休みの取りやすい職場だと思いますね」(入社5年目、葬祭部、長橋さん)
また、社員の健康にも気遣い、健康経営にも力を注いでいる。社内には血圧計や体重計が置かれ、塩分や脂肪分が少ないお弁当の選び方のアドバイスもしているという。

葬儀のプロを目指し 成長を促す育成プログラム
同社は、人材育成にも力を入れている。未経験で入社した場合、3カ月間の研修で基礎を学ぶ。その後、先輩をサポートしながら仕事の概要を覚えていき、メンターとなる社員に付いて、細かい作法やお客様対応、パートナー会社とのやり取りを学んでいく。
「研修では、自分に何ができて何ができないかを把握できるので、目標が立てやすいです。不明点があれば、常に先輩に確認できるので安心して仕事に臨めます」(入社1年目、葬祭部、高橋さん)
資格取得も積極的に支援しており、「葬祭ディレクター」など業務に役立つ資格は、説明会の受講料と初回の受験料を会社が負担。さらに年に一度は、職業能力評価を行い、面談で1年の課題と次の目標を決める。「葬儀のプロ」を目標に、全員がキャリアアップに励んでいる。

代表からメッセージ
共感力があり、こまやかな心遣いのできる人 葬儀業は究極のサービス業です。ご心痛を抱えて電話をくださるお客様の気持ちをくみ取り、大切な方とのお別れをお手伝いする。そこで最も重要なのはコミュニケーションです。ご家族の気持ちにいかに寄り添えるか、あるいは、大勢のスタッフが携わる葬儀をいかにチームワークよくマネジメントできるか、いずれも伝える力、共感する力が求められる場面です。人のために役に立ちたい、人と関わるのが好きという方に向いていると思いますし、そうした方にぴったりの業界だと思います。


●第21号 (2020年8月発行)掲載 ※掲載内容は発行日時点のものです。