学校に不可欠な「黒板」を届ける誇りを胸に、マンツーマンで社員を育てる100年企業
<カイシャの特徴>
●事業内容:黒板や教室の備品類のメーカー
●働く環境:月平均残業時間10時間以下を実現
●育成制度:工場研修やメーカー研修を実施
●仕事のやりがい:教育現場に特別な製品を届ける
黒板・ホワイトボードを中心に、戸棚や机など教室に必要な備品を提供
学校や塾で使用される黒板やホワイトボードの製造、販売、施工を行う東京黒板製作所。1924年に創業し、創業100周年を迎える。
「当社の特色は、製造から施工までの一連の流れを一社で手掛けている点です。ワンストップで展開することで、各部署で連携し、スピーディーに対応することができます」(澤木代表)
近年、少子化による小・中・高校の統廃合が進み、黒板の学校需要は減少傾向にあるが、教室のICT化に合わせて黒板の形態も進化を遂げているという。例えば、プロジェクターとホワイトボードを一式にした電子黒板や、モニターと黒板を組み合わせたハイブリッドタイプなどを新たに開発し売上げを伸ばしている。
「特に私立校では、設備の充実度が生徒の募集にも大きく影響するので、新型黒板への入替えに積極的です。また塾や予備校、企業の研究所などへの営業活動にも力を入れており、当社の黒板・ホワイトボードを取り入れるお客様は学校以外にも広がっています」(澤木代表)
さらに、同社は30年ほど前から学校や病院内で使用される机、戸棚などの備品や案内看板の製造や卸販売などにも手を広げ、現在は売上高の4割をこれらの備品類が占めている。
取扱い製品の幅を広げ、事業を継続してきた同社。「全国黒板工業連盟に加盟している黒板メーカーは、かつては全国各地に100社ほどありましたが、現在は23社にまで淘汰(とうた)が進んでいます」と澤木代表は話す。
その中で同社では、営業エリアが異なる加盟7社で協力関係を築き、商品を共同開発してカタログを制作したり、自社の顧客である都内のゼネコンから打診された地方の案件を当該地域の加盟企業に紹介しているという。
「塾なども密集する関東・北陸の1都8県を営業エリアにしているのは当社の大きな強みだと思います。今は共存共栄も重要なので、他社との連携により業界全体の未来にも寄与したいと考えています」(澤木代表)
終業前のチャイムなどを活用し、残業の少ない働き方ができる
月平均残業時間が10時間以下の同社では、終業時刻の10分前と終業時刻の2回、チャイムが社内に流れる。
「このチャイムが仕事に区切りをつける合図になっています。急ぎの仕事、翌日の対応でもよい仕事など優先順位の整理を行い、毎日ほとんど定時に退勤しています。友人と食事に行ったりと、ライフ・ワーク・バランスも充実させることができています」(入社2年目、営業アシスタントの米田さん)
プライベートと仕事の両立がしやすいことは入社2年目、営業部の三谷さんも実感している。
「有給休暇が取りやすいのも働きやすさに結び付いています。また、現在、私は子育て中で、急に保育園へ迎えに行くなど早退することもありますが、社内の理解があるので助かっています」
基本は実務で学ぶOJT。工場での研修やメーカー研修も行う
社員の育成については、入社後に3日ほど、自社工場で黒板製造の基本を学んだ後はOJTが中心。新卒入社の営業担当の場合、5年ほどは直属の先輩のサポートを受けながら、じっくり仕事を覚える。
また、若手社員を中心に、黒板の材料となる資材を製造する鉄鋼メーカーや、備品・家具類の仕入れ先となっている大手メーカーが行う研修に参加し、スキルアップの機会としている。
営業アシスタントに関しては、最初の3カ月ほどは見積書の作成に必要な基礎知識を学ぶ。その後、徐々に実務を担当していく。
「全くの知識がないところからのスタートでしたが、過去の施工例を教材に上司がマンツーマンで見積りの作り方を教えてくれたので、不安なく実務に移ることができました」(米田さん)
黒板という、教室の中の特別な存在を届け続ける責任の重さと誇り
「内装工事を終えた、まっさらな部屋が、黒板を設置した途端に教室らしくなります。学校のキーアイテムを扱っていることにやりがいを感じています」(三谷さん)
また、澤木代表も次のように語る。
「電子化が進む現在もよく、学校の先生方からは、授業における板書の大切さを聞きます。教育現場で特別な存在となっている黒板を作り、届け続けていることは、社員皆の誇りになっているはずです」
代表からのメッセージ
現在、教師が不足しているといわれています。教師が便利に使え、生徒にとっても見やすい黒板を生み出すことは当社の使命でもあります。
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●第36号 (2024年3月発行)掲載 ※掲載内容は発行日時点のものです。