電気や空気の「見える化」でSDGsを推進。多様な働き方でアイデアを生み出す
<カイシャの特徴>
●事業内容:再生可能エネルギーの普及などを通して社会課題の解決に寄与
●育成制度:OJT研修や勉強会で積極的に知識を深め、周囲のフォローで成長
●働く環境:「社員全員が起業家」との考えのもと、自由で主体的に働ける風土
電力の見える化など社会課題解決につながる事業を幅広く展開
太陽光発電や風力発電など、再生可能エネルギーの普及で独自の事業を展開するUPDATER。事業の中核となる「みんな電力」は、再生可能エネルギー発電所と直接契約を結び、企業や個人に直接販売。さらに、JEPX(日本卸電力取引所)に卸している。
「電力の生産者*をウェブサイトで見える化しています。例えば復興支援のために福島で生産している電力を買いたい、芸能人の発電所から電力を買いたいなど、作り手を選べるようになりました。再生可能エネルギーを買うことで、脱炭素化にも結び付きますし、『顔の見える化』で物事の透明性や環境破壊などの課題解決に近づけるべく、事業を広げています」(大石代表)
また、近年「ソーシャル・アップデート・カンパニー」という標語を掲げ、メインとなっている電力事業以外にも意欲的に事業の幅を広げてきた。
例えば、成長中の「みんなエアー」事業は、空気の状態を計測(見える化)し、課題に対して換気や機器の導入など空気の質を改善する提案を行い、安心安全な空気づくりをサポートしている。改善対策を行った場所は「安心安全なみエールスポット」としてウェブサイトで公開している。
「『顔の見えるライフスタイル』を提案することで社会課題を解決し、企業や個人のSDGsへの取組をサポートし、世の中をアップデートしていきたいと思っています」(大石代表)
同社の「みんな電力」では仕入れをJEPXに頼らず、全国約600カ所の再生可能エネルギー発電所と約800社・4000拠点のユーザー企業でネットワークを構築している。
「再生可能エネルギー分野で、これだけの規模の基盤を築いている会社は日本では少なく、『再生可能エネルギーを使いたい』となったら、まず当社の名前が上がるとお客様から評価いただいています。また、ユーザーに環境意識の高さで知られる企業が多いので、生産者側の販売動機にもつながっています」(大石代表)
この大規模かつ複雑なネットワークの稼働には、ブロックチェーンなどの先進技術が用いられているという。
同社はこれらの活動が評価され、「第4回ジャパンSDGsアワード」の内閣総理大臣賞も受賞している。
*電力の生産者:水力、バイオマス、太陽光、風力、地熱などの発電所を運営し、電気を作る企業・団体・個人

誰とでも面談できる「ナナメンター」で気軽に社員交流が可能
同社の新入社員は、入社後の1カ月間で基本的なビジネスマナーなどを外部研修で学ぶ。さらに社内で各事業の説明などを受け、配属部署でOJTを行っている。社内制度は社員の要望により随時アップデートされており、2022年には「ナナメンター」が導入された。これは直属の上司だけでなく、他部署の先輩・後輩(斜めの関係)といつでも面談ができるという仕組み。
「若手が先輩に面談を申し込むだけでなく、フレッシュな意見が聞きたいと、先輩が若手との面談を希望することもあります。話したことがない人でも、この制度を活用して相談できるのが嬉しいです」(入社2年目、パーソナル事業部の鈴木さん)
この他、社員同士が率先して、知識を深める勉強会や、ゲストを招いた講演会を開催するなど、積極的に知識を深め合っている。

全社員が起業家を目指す。多様なアイデアを生み、生かす環境を整える
同社の社風の特徴は、自由に伸び伸びと働けるところにある。一人ひとりの働きやすさを尊重し、社員の多様な働き方を認めている。
「当社では全社員が起業家と考えており、新事業は皆、社員の声から生まれたものです。素晴らしいアイデアが出せるように、働く環境を整えるのが私たち幹部の役割です」(大石代表)
同社では、働く場所は本人の希望で出社、在宅などから選ぶことができる。8~22時の間で合計8時間勤務できれば、時差出勤、中抜けなど、自由な働き方をかなえる制度を整えている。
また、同社のオフィスはフリーアドレス制を取り入れており、年次や役職を問わずその日働きやすいスペースで勤務することができる。
「大石代表が横に座ったときなどに声を掛けてもらえ、小さなことでも気軽に相談できました。社員同士だけでなく、代表とも距離が近いので、新しいアイデアを発信しやすいです」(入社2年目、新事業推進部の菊池さん)

読者からひとこと
斜めの関係構築で仲良く働けそう! 生産者の顔を見える化することで購入者側も安心でき、新しくて面白い取組だと思いました。また、「斜めの関係」を大切にすることで、先輩に相談したり、先輩から話しかけてもらえるのは安心感があり、ストレスなく働けそうです!

代表からのメッセージ
SDGsと聞くとスマートなイメージを持つかもしれませんが、実は大切なのは野太さ。野太くなければ社会課題の解決には挑めません。


●第29号 (2022年6月発行)掲載 ※掲載内容は発行日時点のものです。