大学のキャリアセンターで、カウンセリング業務を担当。学生からの就活相談や、マナー講座、模擬面接、履歴書添削なども行っている。
この特集のPOINT
冊子版は「カイシャハッケン伝!Guide」をチェック
第42号特集3(PDFにリンクします)
友田さん
企業との接触が増える時期に学生からの相談も増えてきます
就職活動を始めた学生からよく聞くのが、「企業からこういう説明をされました。これって大丈夫ですか?」という相談です。まず、念頭においてほしいのは、学生の皆さんは就職活動において、若者雇用促進法や職業安定法といった法律によって守られているということです。多くの企業は法律を守って採用活動を行っていますが、残念ながらこれらの法律を知らない企業があるのも事実です。学生からは、「選考中に、給与や休暇など待遇についての質問をしづらい」という話も聞きますが、よく分からない、不安だと感じたら周りの信頼できる大人たちや専門家に必ず相談してください。なお、内定を承諾したあとの辞退はトラブルにつながる可能性もありますので、企業に説明をして承諾を延長してもらうといった誠実な対応をしましょう。
SNSを過信しないで!信頼できる人たちに相談しましょう
就職活動では、正確性の乏しい情報に振り回されないことがとても大切です。皆さんは、日々SNSをチェックしていると思いますが、就活テクニックや企業についての投稿を多く目にするのではないでしょうか。過激なあおり文句やインパクトのある映像を見ると、信じそうになるかもしれませんが、その情報は本当に根拠がありますか?発信している人の実態が見えにくいSNSの情報は、鵜呑み(うのみ)にすることで、事実を誤って認識してしまったり、就職活動でいらぬ不安を抱いてしまう可能性もあります。何が正しい情報か混乱してまったら、家族や所属する学校の就職課・キャリアセンター、教員など、まずは身近な大人に相談しましょう。もし相談した人が回答できなくても、的確に回答してくれる信頼できる人に繋いでくれるはずです。
こんなトラブルを体験しました!
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Aさん
インターンシップでアルバイトと同じ業務を無給でさせられた
気になっていた業界の会社で長期インターンシップを経験しましたが、特に契約書もなく、結果としてアルバイトと同じ業務をタダ働きさせられただけでした。
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Bさん
結婚しても働きたいかと何度も質問されました
ある企業の面接で、採用担当者や役員の人たちに「結婚や出産後も働きたいか」と複数回質問されました。男子には質問していなかったので嫌な気分でした。
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Cさん
求人情報と実際の情報が異なっていました
求人票の給与が高額だったのですが、よく調べたら「基本給」が低く「残業手当」の比率が高いもので、残業する前提での給与が掲載されていました。
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Dさん
LINEで個人的なやり取りを求められました
インターンシップに参加した企業の幹部 社員からLINEで2人で飲みに行こうと何 度も誘われました。断ると選考に影響し そうで、とても悩んでしまいました。
こんなトラブルには気を付けて!
就職活動中
実際の待遇が求人票と違う、給与に残業手当やインセンティブが含まれており実際の手取り額が分からないなどの場合は、内定受諾前に必ず確認しましょう。インターンシップと称してアルバイトと同じ業務を無給でさせられたり、長時間拘束される、他の学生の勧誘を強要されるといったトラブルも報告されています。また、他企業の内定辞退を強要させるオワハラ、性的に不適切な言動をするセクハラなども問題になっています。
内定後
労働者には「職業選択の自由」があり、企業は内定の辞退を拒否できません。しかし、企業側は内定者が入社する体制を整えているので、気軽に約束を反故にされるのは困ります。内定受諾は重い意思決定であることを踏まえて、万が一辞退する場合は、丁寧に経緯を伝え誠意をもって申し入れましょう。なお、景気変動などで採用方針を途中で変えた企業から内定辞退を迫られるケースもあります。すぐに応じず、下記の窓口等に相談してください。
【困ったらここへ!】相談窓口
東京都では、学生向けに就職活動に必要な労働法の基礎知識を周知し、就職活動を支援することを目的としてパンフレットを作成しています。また、アルバイト中や就職後に職場のトラブルに遭遇した場合、どこに相談に行けば解決しやすいのかを説明しています。
- !所属する学校の就職課・キャリアセンター
- !東京都などが設置する専門機関
就活必携・労働法-知っておきたい法律と相談窓口
URLhttps://www.hataraku.metro.tokyo.lg.jp/shiryo/hikkei_daigaku/index.html
●第42号(2025年10月発行)

