東京カイシャハッケン伝!

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大日工業株式会社

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独自の無電解ニッケルめっき加工を専門に、定期的な勉強会で社員の育成を支援

独自の無電解ニッケルめっき加工を専門に、定期的な勉強会で社員の育成を支援

<カイシャの特徴>
●事業内容:独自技術で高密度な電子回路基板へのめっき加工に強み
●育成制度:月に1回の勉強会のほか作業レベルも細かくチェックして技術を向上
●働く環境:全社員が発言できる意見交換会で積極的に環境を改善

高精度、高難易度のめっき加工で技術革新の一端を担う

 身の回りのほとんどの電子機器には電子回路基板が組み込まれている。大日工業はその基板へ薬品の化学反応を利用してめっき加工を施す、無電解ニッケルめっき・金めっき処理の専業企業。主にスマートフォンや産業用ロボット、カメラの部品などに使用する基板を中心にめっき処理を行っている。
 これらの加工には、0.03~0.05マイクロメートルの薄さで金めっきを施すなど高精度、高難易度の技術が求められる。同社の強みは、電気を使わず薬品を使用することで、複雑なものや狭い間隔の回路でもきれいにめっきをかけられる独自技術にある。
 「何十年といった長い付き合いの取引先が30社程度あります。当社の技術力と営業力を認めていただけていることもあり、新たな取引先を紹介してもらうこともあります」(小倉社長)
 同社は近年、経済産業省からサプライチェーン強靭化のための補助金を受けて、生産拠点の複線化に取り組んでいる。新工場の立ち上げにより非常時にも安定して生産を続けられるようになるという。
 さらに、新工場の設立は、環境負荷削減のためのニッケルの再資源化などSDGsへの対応も目的としており、約2年半をかけて進めていくプロジェクトとなる。特にニッケルの再資源化においては、そもそもニッケルの回収を行っている同業他社が少ない中での挑戦になるという。
 「コロナ禍において、資源が高騰したことがきっかけとなり、自社で再利用することができるようにならないかと考えました」(小倉社長)
 同社は今、大きなターニングポイントを迎えようとしている。

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めっき加工した基板のサンプル。ごく薄く処理されためっきが、きれいに回路を覆う
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城東エリアにある本社外観。同社のめっき加工はここで施されている

定期的な勉強会や作業レベルの可視化で若手社員を育成

 未経験者がほとんどという同社では、入社後すぐに、使用する薬品についての基礎研修が行われる。この研修を継続して行いつつ、製造や検査など5つの作業工程を各2~3週間程で回り、業務の全体像を理解した上で、配属先が決定される。その後も、上長、先輩社員からのフォローは続いていく。
 また、同社には独自の「作業レベルチェック表」があり、誰がどの作業を行えるレベルにあるのかを可視化。それを踏まえて、社員それぞれが新しい技術の習得に励んでいる。
 さらに、基礎化学についての勉強会を月に1回実施。全社員でテストを受け、社員同士で分からないところを教え合う仕組みを取っている。実務のベースとなるような知識を復習することで、全体スキルの底上げを図っている。
 「日常の業務においても、特に薬品に関しては扱いに危険が伴うので、同じことを繰り返し注意喚起してくれます」(入社2年目、製造部の櫻木さん)
 周囲には豊富な知識を持ったベテラン社員が多く、新人でも安心して業務を行うことができる環境だという。
 「私は事務がメイン業務ですが、現場の手伝いをすることもよくあります。先輩にも質問しやすく、専門用語などはその場で確認するようにしています」(入社4年目、営業部の押切さん)
 その他、希望者はめっき加工技術を習得する東京都鍍金工業組合高等職業訓練校への業務時間内通学も可能。費用は全額会社が負担している。

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顧客と連絡を取る押切さん。メール等で届いた注文内容を画面に入力し、指示書を発行する

社員の声を吸い上げて業務環境を改善。働きやすい職場を目指す

 同社では、現場の声を大事にしたいという小倉社長の意向により、部署間のコミュニケーションの場として月に1回全社員による意見交換会を開催。日常業務における問題点、その改善案、部署間の連携・報告などについてざっくばらんに話し合い、職場環境の向上につなげている。
 「製造の際にどうしても出てしまう水の始末について改善案を提起して、採用されたことがあります。若手でも発言しやすい雰囲気なので、作業手順の効率化など気付いたことはすぐに議題化し、問題の共有を図るようにしています」(櫻木さん)
 また、日常的に残業はほぼなく、有給休暇も気軽に取れる雰囲気。会社としても無理な納期の仕事は受けないなど仕事量の調整を行い、職場環境を整えることに努めている。
 「定時で退社できるよう効率的に業務を組んで進めています。私生活と仕事にめりはりがあり、休日は趣味の動画鑑賞を楽しんでいます」(櫻木さん)

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基板のめっき加工に興味を持って入社した櫻木さんは、製品の出荷作業も行う

社長からのメッセージ

 何事にも素直でいられることはとても大事。そこにベテラン、新人の差はありません。当社は素直な人を最大限バックアップします。

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小倉社長

読者からひとこと

社員同士が教え合い高い技術力を維持
 私たちが普段使っているスマートフォンにも電子回路基板があると思うと、人の役に立つものを作る仕事は素敵だと思いました。また、高い技術力を持ち続けるために勉強会や、意見交換の場が設けられているなど、働きやすい環境だと思いました。

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大学2年生 Kさん

●第31号 (2022年12月発行)掲載 ※掲載内容は発行日時点のものです。

企業情報

社名
大日工業株式会社
設立・創業年
設立年 1976年11月
資本金
1,000万円
代表者名
代表取締役社長 小倉 冴子
従業員数
15名(内、女性従業員数2名)
所在地
124-0011 東京都葛飾区四つ木5丁目16番11号
TEL
03-3691-9501