100年以上にわたる技術を若手社員に継承。手術に不可欠なメスや鉗子(かんし)を製造する
<カイシャの特徴>
●事業内容:手術で使われる器具を開発・製造し、医療を支えてきた老舗企業
●育成制度:医療分野ならではの専門知識について 先輩が指導を担当
●働く環境:1万5,000円の住宅手当や1食350円で食べられる昼食代補助で 社員をサポート
医師と共同開発したメスや鉗子などの製造で 日本の医療をサポート
医療の現場で使用されるメスや鉗子、ピンセットといった鋼製(こうせい)小物と呼ばれる専用機器の製造・販売を行う田中医科器械製作所。同社の創業は1916年と、大正時代まで遡る。
「長い歴史の中で培ってきた病院や医師との信頼関係が、当社の強みです」と中島社長は語る。
同社が扱う機器は、使用する医師から細かな指示を受けることも多く、その場合はオーダーメイド品として作られることもあるという。カタログに掲載された器具を販売するだけでなく、時には共同で新たな器具を開発することもあり、長い歴史の中で誕生した器具の中には、その後の医療分野で広く使われるようになったものもあると中島社長は話す。
また、製造現場にはベテラン社員から20代の若手まで、幅広い年代の社員が在籍。極めて優れた技能を持ち、他の技能者の模範と認められる人を表彰する「東京都優秀技能者(東京マイスター)知事賞」を受賞した社員もおり、日々技術の継承が行われている。
「かつては技術を持った職人が、個人で仕事を請け負うことも多い業界でした。当社は会社組織としたことで、技術を脈々と受け継ぐことができています」(中島社長)
さらに同社は、手仕上げでの製品づくりにこだわっており、職人一人ひとりが製品を磨き、形を整えているという。
「今後は手術方式の進歩に合わせて技術力を高め、新たな製品も開発していきたいです」と中島社長は話す。
同社は、本社と工場が一体になっているため、営業部がヒアリングしてきた顧客の細かなニーズを開発部にすぐにフィードバックすることができる。そして製造部との緊密な連携も取りやすいのが大きな特徴という。
加えて、現在、取り扱っているアイテム数は約2万種類。そして細かな仕様変更などに対応し、毎年約800種類の新製品を開発・販売している。
「我々は医療機器メーカーですが、ビジネスを通して医療の現場を改善していきたいと思っています。例えば使い勝手の良い新製品を開発し、それが手術時間の短縮につながれば、患者さんはもちろん医療従事者の負担軽減にもつながります。そうした意識を持った人に、ぜひ来てもらいたいです」(中島社長)
専門性の高い分野だからこそ 先輩社員が丁寧に指導
同社では、入社後に社会人としての基礎的なマナーを身に付ける研修を行った後、各部署に分かれて先輩社員から業務の進め方に関する指導を受ける。営業、開発、製造といった部署があるが、採用の時点で希望を聞き、多くの場合はそれに沿った形で配属される。
「医療に関する業務なので専門性が高いですが、同じ部署の先輩が丁寧に指導してくれたので、仕事の進め方や重要なポイントなども理解できました」(入社2年目、営業部の山中さん)
また専門書の購入や外部の講座・セミナーに参加する際には、費用を会社側が負担する。
「設計の基礎を学ぶ社外のセミナーに参加しました。高い技術を身に付けるため、今後も積極的に利用したいです」(入社4年目、開発部の森本主任)
同社では2022年に人事評価制度を刷新し、等級制度も改定。年に4回以上は上長と共に目標に対する進捗や今後の行動について話し合う場を設けるなど、社員のキャリアアップを支援している。
住宅手当や昼食代補助など 社員思いの制度を用意
子育て世代が多い同社では、男女問わず長く働けるように、法定より長く子どもが3歳になるまで育児休業の取得が可能。男性社員の育児休業は、約10年前から取得実績があるという。
また、会社から2キロ圏内に住む30歳以下の社員対象に、毎月1万5,000円の住宅手当を支給。森本主任も、「入社時から利用し、助かっています」と話す。
この他にも、昼食代補助として、1食350円で仕出し弁当を食べられるなど、社員思いの制度を用意。さらに執務室内にお菓子を自由に購入できるスペースを設けるなど、リフレッシュできる環境も整備している。
「お菓子を食べながら他部署の人ともコミュニケーションを取ることができます」(山中さん)
社長からのメッセージ
「人の役に立ちたい」はもちろん、「医療や製造業の仕組みを変えたい」という、若いうちから実力を発揮したい方と働きたいです。
読者からひとこと
医療業界の縁の下の力持ち!
医療器具製造という仕事内容自体が、人の命を助ける、世の中の役に立つ仕事だと思いました。医師と共同で開発することで、医療の発展にも貢献していると感じます。また、育成制度が充実しており、社員思いな点もとても魅力的です。
●第31号 (2022年12月発行)掲載 ※掲載内容は発行日時点のものです。