東京カイシャハッケン伝!

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株式会社ナガセ

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伝統技術から最新の自動化技術まで駆使し 金属加工で日本のものづくりを支える

伝統技術から最新の自動化技術まで駆使し 金属加工で日本のものづくりを支える

<カイシャの特徴>
●事業内容:約80年積み重ねた加工技術で、金属の球体や円柱を製造
●育成制度:複数の部署で新人研修。失敗しながら覚える方針で成長を目指す
●働く環境:業務効率化による残業削減や誕生日休暇制度。ゆとりの環境を実現

高付加価値なものづくりの実現で、大手企業との信頼関係を構築する

 1945年の創業以来、ナガセは「へら絞り*」と呼ばれる伝統的な技術をはじめとする金属加工技術によって、日本の製造業を支えてきた。日本を代表する機械メーカーなど大企業との直接取引も多く、これが事業の安定性につながっている。
 「当社が部品を提供した製品を皆さんが直接目にすることはないと思いますが、実は様々な領域で社会に貢献しています」と、長瀬社長。
 例えば、食品製造機や半導体製造装置、医療機器などに同社の手掛けた製品が使用されており、変わったところでは小型人工衛星打ち上げ用固体燃料ロケットの先端部分にも、同社の製品が使われている。私たちに身近な食品を製造する機械から宇宙開発まで、活躍するシーンは幅広い。
 「当社は、金属を球体や円柱などに加工する『丸もの』製造のプロフェッショナル集団なのです」(長瀬社長)
 そんな同社の強みは手作業のへら絞りにとどまらない。溶接やレーザー加工、組立、穴開け、検査、品質管理まで含めたトータルな金属加工品の製造技術。これら様々な技術を組み合わせた付加価値の高い製造力が特徴だという。
 伝統的な手作業を受け継ぎつつ、自動機*や溶接用ロボットの導入などに積極的な同社。現在は、金属製食器やオブジェなどを自社ウェブサイトで販売するといった新しい取組にも意欲的で、将来は海外進出も検討している。
 加えて、同社の自慢は、明るい社風と、風通しの良さ。長瀬社長自ら現場に立って金属加工作業に携わっていることにも象徴されるように、社員が一つのチームとして力を合わせて働く雰囲気がある。
 また、上下の垣根は低く、組織全体がフラット。後輩が先輩に気軽に質問できるのはもちろんのこと、提案などがあれば、たとえ新入社員であっても長瀬社長と直接話ができる。若手が長瀬社長の考えに対して意見することも珍しくなく、長瀬社長もその発言にしっかりと耳を傾ける。
 ものづくり企業にとって技術伝承は重要なテーマの一つだが、先輩から後輩へと着実に技術を受け継いでいく上でも、こうしたオープンな雰囲気が同社の特徴となっている。

*へら絞り:金属板を回転させながら「へら」と呼ばれる棒を押し当てて少しずつ変形させる加工方法
*自動機:絞り、溶接などの工程を自動で行う機械

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2017年に完成した本社工場。すっきりしたデザインが好評で屋内も清潔

先輩の指導のもと経験を重ねながら、プロの技術を学んでいく

 「令和2年度東京都中小企業技能人材育成大賞知事賞」を受賞した同社。人材育成には特に力を入れている。
 新入社員は入社後、検査、板金、絞りの各現場で作業を体験する。その後は、本人の希望と適性から配属が決定され、先輩の指導のもと実践的な技術を学んでいく。
 「先輩の作業をお手本に、どんどん作業に挑戦させてくれます。新人だから失敗するのは当たり前。トライ&エラーで学べるから成長も速いと感じます」と入社3年目、第二製造部の反町さん。
 その他、全社員が参加する「マイアイデア制度」は、職場や仕事の改善点など自分の考えを投稿できる制度で、優れた提案には褒賞金も付与される。
 「1年に一度、社内のマイアイデア制度委員会が大賞を決定しています。どんな提案でも歓迎で、改善の姿勢を育てることが目的です」(長瀬社長)

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上司や先輩に指導を受け、実際に自分で行動して失敗も経験しながら成長してきたという反町さん(右)
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溶接作業に携わる反町さん。「金属の形を変えていく過程が仕事の面白さです」

先進の自動化技術で、作業の効率化を進めて働きやすい環境へ

 同社は働き方の改善にも意欲的。有給休暇の積極的な取得を奨励することに加え、休みやすい環境づくりの工夫も行っている。
 例えば「誕生日休暇制度」は、有給休暇とは別に社員の誕生日前後2カ月間で休暇を取得できる制度で、これをきっかけに社員は今まで以上に有給休暇を取得するようになったという。
 また、業務の効率化によって、残業時間も月平均20時間に減少した。
 「自動絞り機の導入もあって、私の場合、残業はほとんどありません。自分のペースで仕事を進められるのも、働きやすさにつながっています」と入社7年目、第一製造部の中村さん。
 さらに、社内の活性化に一役買っているのが、年に数回行われている社員向けくじ引き企画。高級食材などがもれなく全員に配布される。
 くじ引き委員会の企画担当でもある中村さんは「皆で楽しめるイベントなので、チームワーク向上にもつながっています」と話す。

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絞り加工した金属をチェックする中村さん。仕上がりの精度と品質に妥協はしない

社長からのメッセージ

 手を動かすことが好きな人に向いている会社です。この記事を読んだことをきっかけに、興味を持ってもらえたら嬉しいです。

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長瀬社長

読者からひとこと

縁の下で活躍するプロフェッショナル
 私たちが直接触れることのない製品だと思いますが、伝統的な手作業が大切に受け継がれているという点に魅力を感じました。また、マイアイデア制度などで若手も向上心を持って働くことができ、社員たちが互いに切磋琢磨できる環境だと感じました!

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大学3年生 Sさん

●第31号 (2022年12月発行)掲載 ※掲載内容は発行日時点のものです。

企業情報

社名
株式会社ナガセ
設立・創業年
設立年 1968年5月
資本金
1,200万円
代表者名
代表取締役社長 長瀬 雄一郎
従業員数
79名(内、女性従業員数11名)
所在地
208-0023 東京都武蔵村山市伊奈平3-21-3
TEL
042-560-6253