社員同士が積極的に交流する社風の中、独創性ある油圧機器の継手(つぎて)を開発
<カイシャの特徴>
●事業内容: 90余年前の創業時から金属加工一筋。現在は油圧機器の継手を製造
●育成制度: 資格取得や講座受講を会社が支援。MBAを取得した社員も
●働く環境: 休みが取りやすくプライベートを尊重。風通しの良い社風
建設機械に不可欠な油圧機器の継手を 独自の方法で製造
パワーショベルやフォークリフトなどの建設機械に採用されている油圧駆動装置。油圧を利用して生み出された大きな力を伝えるために、機械の様々な箇所には油圧ホースがついている。トキワ精機は、この装置の要ともいえる、ホースと機械をつなぐ、継手部分の専門メーカー。
1932年に大田区で創業し、以来多くの工業製品などを製造してきた。そして約50年前からは、現在の主力製品である油圧用配管継手の分野に進出。そんな同社の強みは「独創性にあふれた製品づくりにある」と、木村社長は語る。
「従来、継手は金型で金属を成形した後に内外部を削り出す工法で製造していました。しかしこの方法では、削り出す部分で多くの無駄が出てしまいます」(木村社長)
そこで最初から穴の空いたパイプ継手へと加工する「極小曲げ技術」を独自で開発。これにより約64%廃棄されていた原材料を、約25%まで削減することができた。併せて、穴を空ける作業がなくなった分、加工時間も約半分に短縮。「まるみ君」と名付けられたこの製品を製造する技術で特許も取得し、同社の主力製品となっている。
「今後もお客様に喜ばれ、選んでいただける製品を作っていきたいです」(木村社長)
同社の製品開発の根底にあるのは、環境への高い意識という。
「『地球環境と資源を大切にしたものづくり』をモットーに、新たな事業にも着手しています」(木村社長)
製造過程で使用される油や電力が削減された「まるみ君」に続いて同社が開発したのが、リユースカップ専用のカップ洗浄機「まわる君」。これは屋外イベントなどで使用される紙コップの代わりにプラスチックのコップを使用し、使用されたものをその場で回収・洗浄することでゴミを減らそうというもの。
排出されるものをリサイクルするのではなく、排出量自体を削減するという発想は、「まるみ君」をはじめとする同社の新製品や新技術を生み出す原点になっている。
資格取得の支援に続き 幹部社員候補向けの育成プログラムも開始
同社に入社すると、営業部門でも製造部門でもまずは工場へ赴き、自社製品についての知識を深めることから始まる。その後は配属された部署で先輩社員の指導を受けながら、業務に必要な知識を身に付けていく。
入社10年目で営業部に所属する増子さんも、そうやって先輩から担当業務の基礎を教わったと当時を振り返る。
「入社直後は、何が分からないのかも分からないような状態でしたが、先輩が基本的な部分から説明してくれました。現在は若手を指導する側ですが、先輩のように分かりやすく伝えるよう心掛けています」
また、外部講習を受ける際や資格取得時の費用を会社が支援している。
入社21年目、総務部の福井部長は「大田区は当社のような工場が多いため、工場協会主催の設計講座などが数多く開講されています。そうした講座に参加する社員もいますし、中にはMBAを取得したいという希望があり、学校通学費も会社で負担した例もあります」と語る。
さらに、今年から外部研修の一環で、幹部社員候補向けの育成プログラムもスタート。
「次世代リーダーの心構えなど、1年間かけて学んでいきます」(増子さん)
休みが取りやすく、昼食の補助などで社員を手厚く支援
同社は多様な働き方を尊重しており、産前産後休業・育児休業を取得後、短時間勤務を行う社員や、3カ月間介護休業を取得した社員もいるという。また、有給休暇も取得しやすく、計画的に取得できるよう部内で調整を行っている。
こうした働きやすさの背景にあるのが、円滑な社員同士のコミュニケーション。
「日頃から部門間で連携しながら仕事を進めていることもあり、誰とでも話しやすいです。協力し合うことで楽しく働くことができています」(増子さん)
その他、社員から好評なのが、仕出し弁当の半額を会社が負担する昼食補助。ボリュームたっぷりの弁当を230円の自己負担で食べることができる。
社長からのメッセージ
チームで進める仕事のため、コミュニケーション力のある人を待っています。10年後の創立100周年を一緒に祝いましょう。
読者からひとこと
社員育成や昼食費など補助が手厚い!
部品専門メーカーとして、廃棄資源問題に取り組み、効率的な開発をしていく姿勢にとても魅力を感じました。また、社員同士の風通しが良く、育児・介護休業の実績や、有給休暇も推奨されていて、働きやすく休みやすい環境だと思いました。
●第31号 (2022年12月発行)掲載 ※掲載内容は発行日時点のものです。