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株式会社フジサワ・コーポレーション

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若手も主役になれる広告のプロ集団 ワン・チーム体制で次の時代にも彩りを

競争力の強化を目指す風土改革ストーリー
若手も主役になれる広告のプロ集団 ワン・チーム体制で次の時代にも彩りを

屋外広告や商業施設のサインディスプレイを手掛けるフジサワ・コーポレーション。創業から 70年を数える歴史ある同社だが、若手の活躍機会を大切にし、意見を尊重する風土を持つ。特に近年は、多様性社会とデジタル化に対応した組織体質改善に全社一丸で取り組む。

スピードと確かな品質で 人が集まる場所を彩る


 街は、広告にあふれている。ビルの上の看板広告やファッションビルのショーウィンドウ、駅に至っては壁面に支柱、階段や床面までが一つの商材にジャックされることも珍しくない。このようなサインディスプレイの企画制作を行うのが、フジサワ・コーポレーションだ。経営理念のとおり、「彩りで社会の豊かさを作り出す」会社である。
 同社最大の強みは、広告データの作成から印刷・加工、さらに設置までをワンストップで行えることだ。澤田剛治社長は「駒込に工場があり、また広告設置時に必要な資格を持つスペシャリストも揃っているので、お客様のニーズに迅速に応えることができます」と話す。
 品質にも自信を持つ。フィルム写真が主流だった頃、広告写真の現像を手掛けたのがこの業界に参入するきっかけだったからだ。そのため商業施設をはじめ、駅やラッピング電車などの鉄道広告、街中の屋外広告など、画質を問われる案件も多い。

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澤田社長。「服装は TPOに合わせるというルール。営業部員もスーツに限らず、設置立ち合いのときは作業着を着ることもあります。今日は私がいちばんカジュアルですね(笑)」

完璧が当たり前 完成時の喜びはひとしお


 広告の世界は時間との勝負だ。掲載期間が決まっている以上、制作の遅れは許されないし、駅や店舗の装飾は利用客のいない深夜のうちに終わらせる必要がある。また誤植や色調などクリエイティブのミスは信用に関わり、設置の仕方を誤れば道行く人の安全を脅かしかねない。緻密さと正確性も問われるのである。
 「特にお客様と現場をつなげる営業は、フットワークの軽さとリスクを先読みする力が求められますね。加えてお客様の思いを汲み、難しい相談でも『○○にすれば××できる』と提案でき、臨機応変に対応できる力も大切な素養です」(澤田社長)
 納期も品質も安全も、完璧が当たり前の厳しい業界ではあるが、担当した広告が街中を彩るのを目にしたときの喜びはひとしおだ。クリエイティブチームで、デザインを担当する井上舞さんは、「この会社で働き始めてから、街を見る目が変わりましたね。自分のアイデアが反映され、お客様からいい反響があるとやはり嬉しいです」と仕事の魅力を語る。

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データ処理を行う井上さん。「駅やデパートで気になる広告を見つけては、スマホで撮影。周りからは不思議な目で見られているかも(笑)」

“ワン・チーム”になるための 組織風土改革に挑む

 創業は 1947年と長い歴史を持つが、若手の意見を尊重する文化がある。中途で入社した営業部第三グループの坂入浄偉さんは、年長者のプレッシャーを感じることなく仕事に打ち込める環境に、いい意味でギャップを感じた。
 「部内で業務プロセスの改善に取り組んでいるのですが、入社2年目の私でも臆することもなく発言できますし、社長への提案も自らしています。最初は上司や部長を通じて社長に伝えられるものだと思っていたので、ビックリしました。風通しのよい組織です」(坂入さん)
 外部の従業員意識調査やお客様満足度調査を実施しても、誠実さや協力し合う風土など、“人柄のよさ”を問う項目において同社の評価は高い。対人関係が良好な職場である証だ。
 近年は牧歌的な雰囲気を大切にしながらも、組織風土改革にも力を入れる。澤田社長は、「重視するのは、多様性社会に対応した競争力の強化です。それには共通の価値観を共有し、部門を越えて組織全体が “ワン・チーム ”となることが重要だと考えています」と思いを語る。
 そこで年に1度社員が一堂に会し、終日にわたり会社の未来を考える「キックオフミーティング」を開催している。平成 29年度は経営理念と行動指針を共有し、事業の社会的意義をみんなで話し合った。加えてグループ横断会議の実施など、通年で人的交流の機会を設けている。またデジタル時代に通用する広告戦略について議論する、外部の勉強会に参加して新たな知見を得るなど部署独自の取組もあり、一人ひとりが組織の成長を支える立場であることを実感しやすい。

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澤田社長(写真中央)と会話を交わす井上さん(右)と坂入さん(左)。社内は和やかな雰囲気で、周囲のベテラン社員もやさしく見守る

男女問わず活躍できる環境へ 働き方改革で課題改善も


 「課題もあります。衝突を避けようとして、発言を控える場面があるのも確かです。でも付箋を利用しコメントを書いてもらうと、それぞれ興味深い考察をしていることがわかります。会社や業界のこれからを本気で考えている、プロ意識の高い社員は本当に多いです」(澤田社長)
 職場環境の改善にも取り組む。2017年には東京都が行う「TOKYO働き方改革宣言」にエントリーした。有給休暇の消化率に目標値を定めたほか、新たな休暇制度も導入した。各部門でも、生産性向上につながる体制づくりや業務分担の在り方を検討している。特に工場では生産管理の効率化を図り、ここ数年で残業時間は半分になったという。この春には、短時間勤務で育児との両立を図る女性社員も誕生した。
 「広告を目にする人の半数は女性である以上、女性の感性は貴重な存在」(澤田社長)ということもあり、女性でも存分に力を発揮できるようなワークフローも検討中だという。
 伝統ある広告制作のプロフェッショナル集団は、優しさや暖かみを大切にしながら、次の時代へ向け進化し続けている。

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2018年1月に竣工した本社・新社屋。内装デザインはクリエイティブチームによるアイデアがたくさん詰まっている。企業理念を体現化した空間に仕上がった。

ハツタロウー・ケンジロー・なびでんちゃんのもっと知りたい!


社員が作成! 名前募集の非公認キャラクター


 新オフィスにできたコラボスペースは、軽い打ち合わせや納品物の確認作業のほか、昼休みにはランチをとるのに使われています。横の壁全面がホワイトボードになっていて、発信したいことがあれば自由に使うことができます。今も新社屋オープンを機に、個人的につくった会社の“非”公式キャラクターを掲示して、名前を募っています。
 キャラクターは弊社のロゴマークをモチーフにしたもの。社内の掲示物や配布物はクリエイティブチームにデザイン依頼がくるので、キャラクターをあしらってはじわじわと浸透させている最中です。
 それにしても、みんなのネーミングセンスはイマイチ。生みの親としては、ちょっぴり複雑な心境です。(井上さん)

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井上さんがつくったキャラクター
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新オフィスにできたコラボスペース。個人席の机をあえて小さめにし、人が自然と集まる設計にしたという

●第13号 (2018年6月発行)掲載 ※掲載内容は発行日時点のものです。

企業情報

社名
株式会社フジサワ・コーポレーション
設立・創業年
1947年
資本金
5,000万
代表者名
代表取締役社長 澤田 剛治
従業員数
65名(内、女性従業員10名)
所在地
171-0051 東京都豊島区長崎1-10-8
TEL
03-3973-1641