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三美印刷株式会社

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入社1年目はエルダー制度で目標を明確化以降も諸制度で社員の成長を支援

丁寧な指導と働きやすい制度で社員が育つストーリー
入社1年目はエルダー制度で目標を明確化 以降も諸制度で社員の成長を支援

理工系の学術書や医学書、絵本の出版印刷を主に手掛ける三美印刷。設備投資の負担が少ないDTP(※1)の普及や、デジタル媒体の拡大により印刷業界が苦戦を強いられる中でも同社が成長を続けている背景には、新入社員を丁寧に指導し、各種制度によって社員の成長を後押ししながら、働きやすい職場を築こうという社風があった。
※1 DeskTop Publishing、パソコン上で印刷前のデザインや制作工程を行うこと。

「数式ならば三美」。 学術書の印刷で実績


 印刷業界は昨今、デジタル化による紙離れや出版不況といった逆風にさらされてきた。しかし三美印刷は、出版印刷を主要事業に成長を続け、2019 年には設立70 周年を迎える。逆風の中でも堅実に成長を続けることができた理由について、馬場信幸専務は、次のように話す。
 「弊社は、もともと神田で設立したのですが、神田周辺は大学や出版社が多く、そうしたお客様に支えられたという背景があります。当時は、活字を使った活版印刷が主流でしたが、弊社には理工系の学術誌や論文集で使われる高等数式の活字を正確に組める社員が在籍していたため、学者や出版社の間で『数式ならば三美』という評判と信頼をいただくことができました」
 活版が過去のものとなり、DTPが主流となった現在では、このような優位性はなくなりつつあるが、学術書の出版印刷で培った「丁寧・正確」というものづくりへのこだわりは、同社の人づくりにも受け継がれた。

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町屋にある総合工場。工場をはじめ、営業や印刷の全工程を行う拠点が車で15 分圏内に集まっている

長めの研修期間と「エルダー制度」で 新入社員をしっかりとフォロー


 同社の新入社員の研修期間は、4 ~ 5月の2 カ月間とやや長めに設定されている。ここでは、ビジネスマナーはもちろんのこと、印刷会社としての一通りの仕事を見習い的に体験できるようになっている。こうした育成システムについて、入社3年目の第一営業部3 課の添田和麻さんは、「社会人としての基礎や印刷の仕組みなどを、しっかりと学び身に付けることができました」と話す。
 研修期間終了後の6 月から翌年3 月までは、配属先で「エルダー制度」と呼ばれるOJT を推進している。これは、いわばメンター制度の一種で、一人の新人に対して一人の先輩社員がエルダー(メンター)として付くというもの。身に付けて欲しい知識やスキル、目標が月ごとにリスト化されていて、それができているかどうか、エルダーと新人が交換日記のようにチェックし合う。その結果を踏まえて半期ごとにフォローアップ研修を行う。
 「新入社員にとって、会社が求める目標を達成することはなかなか大変なことですが、月単位で小さなステップを乗り越えていくことで、成長が実感できる仕組みになっています」(馬場専務)

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研修期間に基礎をしっかりと学べたと話す、添田さん

資格の取得支援をはじめ、 社員の働きやすさを支える制度が充実


 その他、特徴的な人事施策として「公的資格取得奨励制度」がある。これは、印刷業界で仕事をしていく上で役立つ「DTP エキスパート(※2)」などの公的資格の取得を奨励し、合格者に報奨金を与えるというもの。前出の添田さんも「DTPエキスパートの資格を持っている先輩の顔写真入りのポスターが社内に貼ってあります。私も勉強して、将来的には取りたいと思っています」と話す。
 ほかにも、社員の子どもが小学校3年生の年度末まで育児短時間勤務ができる制度や、時間単位で有給休暇を使える仕組み、フレックスタイム制など、新入社員だけでなく、社員全員の成長とキャリアアップを支援し、働きやすい職場づくりに向けた施策を展開している。

※2 公益社団法人日本印刷技術協会が行っている、DTP に関連する業務能力を問う認定試験。

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社員全員にキャリアアップしてほしいと話す、馬場専務

人間関係が良好で、 なじみやすい職場環境


 施策の面ばかりでなく、人間関係の良さも働きやすい職場づくりのポイントだ。第二営業部3 課に所属する入社3年目の安齊聖菜さんは、新入社員でも職場になじみやすい雰囲気だと話す。
 「最初は職場の人と仲良くなれるか不安でしたが、親切な人ばかりだったので安心しました。私はゲームが趣味なのですが、先輩社員と休みの日もオンラインでプレーしたり、本を借りたりと、人間関係がすごくいい職場だと思います」
 技術が高く、仕上がりの美しい書籍をつくることで信頼を得てきた三美印刷。馬場専務は、「悪く言えば『ばか丁寧』を続けてきた会社。仕事と同じように社員の育成や指導も『ばか丁寧』と言われるかもしれません。でもそれが結果的に、働きやすい職場をつくり、成長の原動力となっているのではないでしょうか」と話す。
 新入社員への丁寧な指導に加えて、さまざまな人事制度を推進することによって社員の成長を支援する社風が、逆風に負けずに成長を続けるカギとなっている。

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社員同士、年齢の垣根を越えて交流していると話す安齊さん

ハツタロウー・ケンジロー・なびでんちゃんのもっと知りたい!


社内サークル活動でリフレッシュ!


 各部署の有志でつくるフットサルと、フラワーアレンジメントのサークルがあり、どちらも月に一回程度、活動をしています。フットサルは約15 名の部員がいて、会社の近くの施設を借りて練習しています。フラワーアレンジメントは、主に女性社員を中心に10 名程度が集まって活動しています。会社の会議室に講師を招いて、皆でアレンジメントを楽しんでいますが、昨年、この活動が200 回を迎えたことから、講師も交えて食事会を開催しました。そのほかにも労働組合のビアパーティーに参加したり、趣味でつながっていたりと、仕事を離れても皆、仲がよいですね。
(添田さん、安齊さん)

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フラワーアレンジメンを楽しむ安斎さん

●第13号 (2018年6月発行)掲載 ※掲載内容は発行日時点のものです。

企業情報

社名
三美印刷株式会社
設立・創業年
1949年
資本金
8,000万円
代表者名
代表取締役社長 山岡 景仁
従業員数
215名(内、女性従業員64名)
所在地
116-0013 東京都荒川区西日暮里5-9-8
TEL
03-3805-7670