「社員とその家族の幸せ第一」を掲げる 高品質プラスチック製品メーカー
<カイシャの特徴>
●事業内容:社会に不可欠の多様なプラスチック製品を毎月約100種類製造
●育成制度:基礎から丁寧に指導するOJTによって3カ月程度で一人前に
●働く環境:「時間限定社員」制度など、育児と両立しやすい環境を構築
高品質なものづくりで 景気に左右されない安定した経営を実現
1962年の設立以来、プラスチック製品の製造を手掛けてきた富士製作所。ものづくり企業として、「高品質なプラスチックを世界へ」を経営理念に掲げている。
同社ではプラスチック素材を溶かして成形するまでの工程を1台で処理できる射出成形機(しゃしゅつせいけいき)を10台導入し、多種多様な製品を製造している。製品の用途は幅広く、自動車や農機具などの部品から家庭用の清掃用品、アクセサリーケースなど身近なところでも活用。さらに、メガホン、タクシーの助手席に設置されるネームプレートなど、顧客の要望にそった様々な分野を手掛けている。
「不具合が発生してもすぐに原因を特定できるようにIoT化を進めるなど、常に品質の向上に取り組んでいます」と望月社長は話す。
また、製造に際しては金型にプラスチックの原料を流し込むが、一度金型を用意した製品は継続的に受注することがほとんど。品質の高さ、納期遵守の姿勢などが評価され、中には20年以上にわたって受注・製造が続いている自動車部品もあるという。売上が大きく変動することはなく、安定的な経営を実現している。
「取引先業界に偏りがなく、複数の取引先から満遍なく受注できていることも、経営の安定につながっています」(望月社長)
江戸川区の住宅地に社屋を構える同社は、地域社会への貢献も大切にしている。地域貢献の一環として、区内の事業者が自主的に環境負荷低減に取り組むための江戸川区版環境マネジメント制度「エコカンパニーえどがわ」に参画している。射出成形機が多くの電力を使用することから、同社は特に節電・節水への取組を強化して省エネに力を入れており、同時にコストダウンにもつなげているという。
また新型コロナウイルス感染症の流行に際しては、同社が製造した保護メガネを地域の医療機関やごみ収集業者に向けて無償で提供した。
「ささやかな協力ですが、地域の皆さんに喜んでもらえました」(望月社長)

基礎から学べる体制と 面談制度で若手社員の積極性を育む
社員は全員がプラスチック製品の製造未経験で入社する。そのため、射出成形機の操作をはじめとする業務は、先輩が基礎から丁寧に指導している。
「機械の操作には微妙な調整が必要です。具体的な指示を出しながら操作を覚えてもらうことを大切にしています」と望月社長。そのため成長は速く、新人でも3カ月程度で独り立ちできるようになるという。
また、社員、社長、役員の三者が仕事の目標や業務の改善について話し合う「自己評価制度」も導入。この場では新人も遠慮なく改善提案が行える。
入社1年目、製造部射出成型オペレーターの中西さんは、「検品済み製品を間違いなく配置するための番号札を工場内に設置する提案をしました。すぐに採用してもらい、作業の流れがスムーズになりました」と話す。
若手には新しい風を吹き込んでほしいという望月社長の期待が反映されている。

出勤曜日等を自ら決める 「時間限定社員」制度など 子育てとの両立も可能
多様な働き方を尊重する同社は「社員とその家族の幸せ第一」を掲げている。ライフ・ワーク・バランスを充実させるため、例えば「時間限定社員」制度を取り入れている。これは、週5日のフルタイム勤務でなくても正社員として雇用される制度で、育児などの都合と調整し、働く曜日・時間を選択できるというもの。
入社5年目、製造部の野口さんも子育て中社員の一人。
「子どもが幼い頃は13時で退社していました。徐々に勤務時間を延ばし、現在はフルタイム勤務をしています。子育てと両立し、ライフステージに合わせて柔軟に働くことができ、ありがたいです」
また、社員の発案により、3時間で業務を交替するルールが定着。3時間ごとに検品、組立てなどの担当を交替することで、集中力を切らさずに業務ができるほか、相互に業務チェックも行える。これも同社の高品質な製品づくりにつながっている。

読者からひとこと
自分の頑張りを発揮できそう! 業務改善の提案ができる「自己評価制度」に興味を持ちました。会社や社会に貢献できているという、やりがいが感じられそうです。また、多様な働き方を認めており、家族とのプライベートの時間も会社が守ってくれている点に魅力を感じます。

社長からのメッセージ
長年培ってきた技術に磨きをかけて、さらにより良い製品づくりを続けていきます。自ら考えて行動できる人材に期待しています。


●第29号 (2022年6月発行)掲載 ※掲載内容は発行日時点のものです。