スリット加工で独自の技術を発揮。 親身な指導で若手をプロに育てる
<3つの特徴>
●高い技術力でプラスチックフィルムを加工
●マンツーマン指導で若手を育てる
●相談しやすい社風でプライベートも充実
スリット加工で独自の技術を発揮。 親身な指導で若手をプロに育てる
安価で加工しやすく、防水・耐久性に優れるプラスチックフィルム。その汎用性は高く、菓子パンなどの食品や電子機器の絶縁シート、建築材料など、幅広い業界で利用されている。
フジシロが手掛けるのはロール状のフィルムを顧客の指定幅に切断して巻き取る「スリット加工」。プラスチックは温度・湿度によって伸びたり、縮んだりと微妙に変化するため、機械の刃の角度や張力などを微妙に調整する技術力が問われる。
同社では、その技術力に加え、使用される製品によって異なる厚さや幅、そして巻取り径といった事細かいオーダーに柔軟に対応する、「多品種加工」で信頼を勝ち取ってきた。
「企業の要望に合わせて特注で製造できます。主要顧客のフィルムメーカーや総合商社から『他社ではできないと断られていたので助かりました』との声が寄せられます」(藤白専務)
同社では3カ所、計1,000坪の工場に11台の加工機を配備。一般的にカット幅は最大1,200ミリとされるが、独自にカスタマイズした機械で2,300ミリの「超幅広」にも対応。さらに、通常は巻き上げ後のロールの直径は500ミリだが、職人らの巧みな巻き上げ技術により900ミリの「長丈」にも応えている。こうした大きなフィルムは、競技場の防熱シートなどに使用されるという。
ロールの芯にも特徴がある。一般に芯は直径約76ミリだが、約25ミリの「極細」にも対応。より小さく仕上がり、輸送コストの削減に貢献している。
1950年の創業から70年を迎える同社では、これまで既存顧客からの紹介を中心としてきたが、近年、同社の加工技術が広く知られるところとなり、新規の相談や依頼も増えているという。
一方で、課題となっているのは職人の高齢化で、平均年齢は約55歳。藤白専務は旗振り役として、若手技術者の育成に注力していると話す。
「プラスチックフィルムは食品から建築、医療、電子機器など幅広い業界で求められる素材だけに、景気に左右されづらく、また、使用される領域もまだまだ伸び代があります。今後も若手技術者が活躍できる会社づくりを進め、創業100周年を迎えても顧客から選ばれる企業であることを目指します」(藤白専務)
1年間の丁寧な指導で 未経験者もプロに成長
未経験からプロを育てる同社。入社後1年を研修期間とし、新人一人に先輩一人が付いて指導に当たる。まずはフィルムの梱包・出荷を担当し、種類や扱い方を覚える。その後、生産の工程に沿って、切断や巻き上げ、発送までを1年掛けて経験し、一人立ちを目指す。
入社1年目、製造部の唐須さんはものづくりで社会に貢献したいと入社。
「切断、巻き上げの作業を先輩に指導いただいています。クレーン操作などの資格を取得し、フィルムの運搬から加工まで一貫して担えるようになるのが目標です」
全工程を経験し、フィルムの状態に応じて適切な加工ができるようになるまで5年ほど掛かるという。同社では、スキルアップ支援として月1回の社内勉強会を開催するほか、複数台ある機械の操作を習得するごとに技能手当を支給している。
「勉強会などで知識を積み重ね、3台の機械を操作できるようになりました。難しいフィルムをきれいに巻き上げたときに達成感を覚えます」(入社6年目、製造部、黒澤さん)
相談しやすい社風で 社員のプライベートを応援
社員18名が働く同社では、ベテランと若手の距離が近く、プライベートも相談しやすい雰囲気があるという。
「趣味のイベントに参加するために早退できないかなど、ざっくばらんに相談できます」(黒澤さん)
さらに繁忙期を除き残業はほとんどなく、有給休暇も取得しやすい環境で、オフの時間をしっかり確保できるという。
「18時に退社して、帰宅後にしっかり自炊をするなど心身ともに健康で過ごすことができます」(唐須さん)
役員からメッセージ
ものづくりへの情熱がある人を求めています フィルム加工作業は正確性が求められ、集中力が必要な仕事です。一人ひとりが習得した技術で仕上げていきますので、コツコツとプラモデルを組み立てるのが好きというような人に向いています。もちろん、一人前になるには技術をしっかり身に付けなければなりませんから、もっと技術を磨きたい、より完成度の高いものに仕上げたいといった熱意と向上心が欠かせません。そうしたものづくりへの情熱がある人を求めています。皆さんも自分の長所を生かし、情熱を注げる仕事を見付けてください。
●第21号 (2020年8月発行)掲載 ※掲載内容は発行日時点のものです。