本社と工場との積極的な交流で 高品質なプラスチック部品を世の中へ
<3つの特徴>
●高品質な部品を製造し、ISO認証取得
●若手の意見も積極的に採用し、成長を促す
●チームで協力し、日頃から定時退社を実践
部品の製造だけでなく 製造設備から自社で開発
スマートフォンやテレビのディスプレイ、自動車のメーターパネルなど、昨今の電子機器には、薄いフィルム状のプラスチック部品が組み込まれている。東京都に本社、福島県郡山市に工場を構えるサンパックは、薄さや軽さ、機能性などが求められる電子機器のパネルをはじめとした繊細なプラスチック部品の開発・製造だけでなく、プレス加工機、UV樹脂コーティング機など、製造設備の開発まで手掛けている。
「多様化する製品の形状や数量、用途に合わせ、オーダーメイドで材料や設備を考案するのはもちろん、品質・コスト・納期までトータルでクライアントの要望にお応えできるのが、当社の強みです」
そう自信をのぞかせるのは、1984年の設立以来、同社を牽引する細谷社長。
2020年5月には、品質、環境に関する国際規格であるISO9001、ISO14001の認証を取得。これによって対外的な信頼も厚くし、大手メーカー各社との取引拡大を目指している。
細谷社長も自らメーカー各社との製造工程の検討会や折衝に臨み、現役エンジニアとして設備の開発にも携わっている。
「食品や日用雑貨といった他分野の製造設備も展示会等で見て回り、『この技術は自社に応用できる』という発想の種を常々探っては、新たな技術開発に生かしています。技術が絶え間なく更新される製造業では、『もっと効率化できないか』と、常に改善を追求することが不可欠なのです」
そうして生み出されてきた同社の技術には特許技術が複数あり、日系メーカーが主にアジア各国に構える製造拠点に向けて、製造設備を開発・販売することも多いという。さらに、電子部品で培った加工技術を応用し、テープ状の医療品の製造にも領域を広げている。

若手社員がのびのび提案し 課題の解消に取り組む
業務に必要な知識はOJTで先輩社員から学べる体制が整えられており、細谷社長自らも顧客先との打合せに新入社員を同行させるなど、知識・経験を直に伝授している。また、本社では毎週1回、業務の課題や改善を話し合うミーティングへの参加を促し、工場ではフィードバックシートを通して意見を吸い上げるなど、社員がフランクに提案できる文化を作ってきた。お互いに教え合うことが教育の絶好の機会にもなっている。
入社2年目、本社の営業開発部で受発注対応や伝票処理などの事務を担う沖さんは、ミーティングでは遠慮なく意見を言うことでき、良いアイデアは認めてもらえる雰囲気があると話す。
「前回のミーティングで行った自社ホームページのリニューアル提案が社長に認められ、発案者の私が中心となって、制作や原稿の依頼などを担当することになりました」
入社3年目、同部署の蛸井さんは、売上げを意識した行動を心掛けている。
「ミーティングで『この顧客の売上げが前年比を下回っています』と、営業数字に踏み込んだ意見を伝えると、社長や上司が『先方に状況を確認してみよう』と、すぐに行動に移してくれます。意見を伝えるだけでなく、何らかの形で対応してくれるので、日頃から改善の意識も高まります」

本社・工場の交流を深め 働きやすい環境に
パソコンや通信機器を一新するなどして、業務環境の改変にも順次着手。効率的に働ける環境が一層整い、沖さんもプライベートの時間が増えたと喜ぶ。
「仕事帰りには、友人と食事に行ったり、フィットネスジムで汗を流したりして楽しんでいます」
さらに昨年から本社社員が郡山工場に赴き、見学する機会を設けた同社。相互の交流によって、円滑に仕事を進めることができるという。
「製造現場を見学し、材料や機械、サンプルなどに触れることで、より製品への知識が深まりました。工場には女性の先輩が多く、日頃から電話で気さくにやり取りしていたのですが、工場見学で顔を合わせて距離が縮まり、納期の相談もしやすくなりました」(蛸井さん)

社長からメッセージ
日頃の行動を変え、自己改革に励める人 材料の検討、段取りの改善、製造と事務の連携、職場環境の整備など、ものづくりではいろいろな角度から改革を考え、実践することが求められます。そのために、まずは「自分改革」に励むことが大切です。積極的に発言する、メモを取る、気になることがあればとことん調べるなど、自分ができていないことに意識的にチャレンジしてみる。そうすることで、できることが増え、短所と思っていた面も長所にすることができます。そうした意欲を持った人と一緒に、ぜひ新しい技術や製品を生み出したいと思っています。


●第21号 (2020年8月発行)掲載 ※掲載内容は発行日時点のものです。