副業可で仕事もプライベートも充実させるストーリー
6時間勤務でやりたいことは我慢しない
子どもの成長を支える運動療育施設
イニシアスが運営する「TAKUMI」は、発達に不安を抱える子どものための、発達支援施設である。運動療育を主とするプログラムと、少人数のクラス編成が評判を呼び、入所待ちの児童が続出するほどの人気を博す。設立4年目とフレッシュな人材が揃う同社では、6時間勤務制を導入。副業をするスタッフも多く活躍する職場だという。
運動療育を通じて 自己肯定感と社会性を育む
生まれつき、集団生活に支障をきたす場合もある発達障害。近年、世間の認知度も高まり、行政も含めたフォローの仕組みが整いつつある。
イニシアスでは、発達に心配のある子どもや障害のある子ども向けに、運動療育を取り入れた児童発達支援・放課後等デイサービス施設「TAKUMI」を展開する。運動療育とは、体を動かすことで脳を鍛え、発達を促す方法のこと。自己肯定感やソーシャルスキルを育むのに、運動療育が有効だと語るのは、代表取締役の三浦次郎氏だ。
「運動は遊びに近い感覚でいろんなことにチャレンジできますし、子どもたちは目標を共にする仲間がいることで頑張れるんですね。レッスンを通じてマナーや他者との関わり方も自然と身に付き、社会性を高められるのです」
学校では飛べずに終わった跳び箱も、TAKUMIならクリアできる段階から徐々にステップアップできる。できることが増えれば自信につながり、新しいことへの挑戦意欲も湧いてくる。三浦氏によれば、「半年もすると、子どもたちの表情が驚くほど変わってきます。ルールも守るようになり、積極的になっていくんです」という。

スタッフは原則6時間勤務 専門性を発揮できる環境
子どもたちが教室に訪れるのは、幼稚園や学校を終えた午後2時頃から夕方6時の間。その前後に事前準備やミーティング後の片付けを行うが、スタッフは午後1時から午後7時までの6時間勤務が原則だ。こうしたシステムが成立するのは、同社独自のビジネスモデルにある。
「TAKUMIでは、1コマ1時間を基本に、1日に複数のクラスを組んでいます。そのため、1教室が受け入れられる子どもの数も多くできるのです」(三浦代表)
そのかわりクラスは少人数制が基本で、子ども3人につきトレーナーが3人付くレッスンもあり、子どもと丁寧に向き合える。スタッフには自分の専門領域で力を発揮してほしいという思いから、子どもの送迎はあえてサービスに盛り込まなかった。そのため残業はほとんどなく、メリハリのある働き方ができるという。
スタッフには元保育士や養護教諭、介護施設のトレーナーなど、経験豊富な有資格者が多い。だがスタッフに必要なのは、スキルだけではない。主体性に加え、誠実さや愚直さといった人間性の部分が問われると、三浦代表は言う。
「子どもたちの課題は、千差万別です。一人ひとりにあった目標を立て、達成に向けて能動的になれるかどうか。そこで仕事のおもしろさも変わってくるはずです。新しい発見や建設的な議論が好きな人は、きっと活躍できると思いますよ」
「TAKUMI」で働くスタッフは、現在19名。20代後半から30代前半が多く、8割近くが女性だという。この春に入社した運動トレーナーの山根ちなつさんは、保健体育の教員免許を持つ。山根さんは、「運動療育のことは一通り理解していたつもりでしたが、現場に出ると、改めていろんなことに気付かされます。研修を受講しながら勉強の真っ最中です」と意気込む。

副業もOK 公私の充実で満足感アップ
さらにイニシアスでは副業を認めており、スタッフの7割近くが他にも仕事を持っている。トレーナーの福島悠斗さんの副業は、スポーツジムでの指導だ。
「やりたいことを両立できているので嬉しいです。ジムで取り上げたトレーニングを『TAKUMI』でアレンジしたりその逆もあったりと、双方の仕事にプラスになっています」と、働き方の満足度は高い。
子どもの個別支援計画を立てる、児童発達支援管理責任者の田谷真奈美さんは、改善を提案できる風土に魅力を感じている。
「2つ目の教室を立ち上げる際に、教材の改訂を提案しました。既存の教室で子どもの様子を見ながら、補った方がよいと感じる要素があったからです。スタッフに相談すると、みんなが専門性を発揮しながら協力してくれました。良いと思ったことをチャレンジできる環境にあり、前のめりで仕事に臨めています」
オンタイムは仕事に集中する一方、勤務時間が短い分、オフタイムは週に4日ほど習い事をしているという田谷さん。プライベートも充実しているようだ。
設立から4年目を迎えたイニシアスでは、今後「TAKUMI」事業の拡大に力を入れる。教室の入所待ちの児童数は増える一方で、まだまだ需要に応え切れていないからだ。小規模である分、発展の余地は大きい。何より、子どもの成長を間近で感じられる環境にある。それが刺激となり、働く人を成長させてくれる職場だといえよう。

ハツタロウー・ケンジロー・なびでんちゃんのもっと知りたい!
熱い思いがぶつかり合う! 終業後の語り場
終業後に時々ですが、教室でにわかに語り場ができることがあります。誰かが飲み物を置くと、特に約束したわけでもないのにスタッフたちが自然と集まってきて、話し合いが始まるのです。話題はレッスンの事や子どもの事にはじまり、教室全体の事や時には誰かの人生相談まで……。20代から40代までいろんなスタッフがいますから、話はどんどん広がっていきます。
飲み物だけでは足りず、宅配ピザやお酒を用意するようになると、場のボルテージもヒートアップ。気がついたら、夜の10時を過ぎていた……ということも。それでも翌日の勤務開始は13時ですから、余裕があるのが嬉しいですね。
(福島さん)

●第13号 (2018年6月発行)掲載 ※掲載内容は発行日時点のものです。