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弘和印刷株式会社

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モノクロ印刷から企画・制作まで事業拡大。多能工化で、誰もが働きやすい環境へ

モノクロ印刷から企画・制作まで事業拡大。多能工化で、誰もが働きやすい環境へ

<3つの特徴>

●高い印刷技術を持ち、地域活性化にも尽力
●社員の家族を大切にし、社員の定着率が向上
●各人が複数の技術を磨き、互いをフォロー

印刷を中心に企画・制作、地域活性化事業まで展開

 写真が捉えた繊細な光や陰影、水墨画の微妙な濃淡などをみずみずしく再現するモノクロ印刷を得意とする弘和印刷。大手印刷会社から指名を受け、書籍や写真集、アートブック、記念誌などの印刷を多く手掛けている。
 「モノクロ印刷は、傷や濃淡のムラが少しでもあると非常に目立ちます。少ない色数のインクを使いながら、高いクオリティを求められるため、当社の長年培ってきた技術力がお客様からも頼りにされています」と、瀬田社長は自社の強みに胸を張る。
 同社は、グループ会社と連携し、紙・ウェブサイトの企画・制作のほか、地域活性化事業も展開している。その一つが、足立区を拠点とする企業と結成した「あだちマーチング委員会」。同委員会では、フリーペーパーやウェブを利用して、区内の町並みや伝統工芸品といった魅力の数々を発信している。
 「これらの企画、制作、印刷も当社が手掛けています。今後も多彩なアイデアによって、人と人をつないで、地域の魅力を発信し、世の中を元気にしたいと思っています」(瀬田社長)
 瀬田社長が委員長を務める、あだちマーチング委員会では、持続可能な社会づくりを目指すSDGsにも取り組んでいる。活動の一環として同社が力を注いでいるのは、環境に配慮したクリーンな工場の構築。条件に合った資材の購入、廃棄物のリサイクル処理、LED照明やエアコン室外機の遮熱化などによる省エネルギー化、周辺地域に配慮した騒音対策や清掃活動などを行っている。その結果、同社の工場は、印刷業界団体が厳しい認定条件と現地監査によって付与する「グリーンプリンティング認定工場」を取得している。
 「環境に配慮した工場を造ることで、安全・衛生面の向上につながり、社員が安心して働ける労働環境に結び付いています」(瀬田社長)

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1台の印刷機から創業した同社。今ではグループで広報誌やウェブメディアの企画・制作もトータルに手掛ける

家族との時間を大切に考え、有給休暇取得を推奨

 印刷機を24時間稼働させる工場もある中で、同社は機械を毎日19時に停止させる。仕事で成果を上げるために、家族と過ごす時間を大切にしてほしい、という瀬田社長の思いから実施している。
 有給休暇も取得しやすい環境で、急な子どもの病気や学校行事の際にも、気兼ねなく休むことができるという。この10年間における社員の定着率は9割以上と、同社の働きやすさが伺える。
 入社12年目、製造部の岡崎さんも、休みの取りやすい職場だと話す。
 「子どもの保育園の行事に参加できましたし、2人目の子どもが生まれたときには、担当する機械を上司に任せて、出産にも立ち会えました」
 その上司である入社23年目、製造部の中野副部長も、「夜勤がないので体への負担が少なく、家に帰れば家族とゆっくり過ごす時間が持てます」と笑顔で話す。
 また、営業職の社員は状況に応じてテレワークを取り入れている。テレワークの拠点としてサテライトオフィスの設置を検討するなど、今後も柔軟な働き方を一層推進していくという。

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濃淡のムラや印刷時の傷がないかどうか、刷り上がりを色の見本と照らし合わせて厳しくチェックする岡崎さん

スキルマップを活用し、社員同士で技術を教え合う

 同社が、柔軟な有給休暇取得を実現できているのは、一人ひとりの社員が複数の役割を担う多能工化を積極的に推進しているためだと、瀬田社長は説明する。
 「もし、『この仕事は自分にしかできない』という状態が続けば、休みが取りにくくなりますが、当社には仕事を引き継げる社員がいるので、安心して休暇を取得できます。担当を越えてサポートし合えるので、個々の業務負担も分散でき、残業時間の削減にも貢献しています」
 多能工育成のために、印刷、検査、インク調色など、約20項目の技術をスキルマップに表し、個々の習熟度を全員が共有する。さらに、調色が得意な社員が苦手な社員に教えるといったように、互いに技術を教え合い、得意分野を増やしているという。
 「今、別の機械を担当する後輩が、私の担当機械の操作も学んでいるところです。私も新しい技術の習得に挑み、オールマイティに印刷機を操れる存在を目指します」(岡崎さん)

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印刷機の構造や操作を学ぶ若手社員。担当機械をローテーションし、マルチな技術の習得にチャレンジする

社長からメッセージ

最高の自分を目指し、社会に貢献したい人
 自分の成長に向けてチャレンジし、最高の自分を目指せる人、仕事を通じて社会に貢献したいと願う人、そして、周りの人たちの幸せを自分の幸せと感じられる人が、当社が求めている人物像です。自分のできることを増やすチャレンジは充実感があり、実に楽しいものです。さらに、一人よがりではなく、周りにも目を向け、社会全体への貢献に仕事を広げていければ、自分が考えているよりも大きく成長できるはずです。当社はその思いを込めて、「もっと楽しく、もっと豊かに」という企業理念を掲げ、全社で共有しています。

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「マルチな技術を持った人材を育成します」 瀬田社長
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検品担当の社員がインクの調色技術も習得。青みがかった黒、柔らかい印象の黒など、黒にも20種類以上のインクがあり、それを使い分けるという

●第23号 (2020年12月発行)掲載 ※掲載内容は発行日時点のものです。

企業情報

社名
弘和印刷株式会社
設立・創業年
設立年 1964年8月
資本金
1,500万円
代表者名
代表取締役社長 瀬田 章弘
従業員数
27名(内、女性従業員数 5名)
所在地
123-0855 東京都足立区本木南町15-17
TEL
03-3880-6446