全員参加型の研修で成功事例を共有。100年来の電熱技術で幅広い産業に貢献
<3つの特徴>
●産業用ヒーターであらゆるものづくりに貢献
●部署を越えた勉強会でノウハウを共有
●産前産後休業と育児休業からの復職率100%
産業用ヒーターを手掛けて約100年
産業用ヒーターの設計・開発・製造・販売を手掛ける坂口電熱は、1923年創業の老舗企業。
ヒーターと一口に言ってもその用途は様々で、半導体製造装置、医療機器、化学品製造などの加熱プロセス部分に必要不可欠なものとなっている。
身近なところで一例を挙げると、病院や介護施設などで温かい食事を提供するための配膳トレーの保温にも使われているという。
「当社のカスタマイズ製品は累計400万点を超えています。ユニークなところでは、プロ野球の試合中に選手が体を冷やさないようにと、ダッグアウトのベンチシートにも内蔵されています。どんな難しい案件も諦めずに知恵を絞り、お客様のご要望にお応えするのが私たちの信念です」と、蜂谷社長は語る。
その他にも、革新的なアイデアと技術が評価され、2009年には、東京商工会議所が主催する「勇気ある経営大賞」の大賞を受賞している。
大賞に選ばれるポイントとなったのは、「レーザー平面瞬間加熱装置」の開発という、新たな挑戦が評価されたことが大きいと蜂谷社長。従来、レーザー照射による加熱は「点」にしかできなかったが、同製品は「面」を超高温で均一かつ急速に加熱することを可能とした。現在、先端企業の研究開発部門などへの導入実績を増やしている。
「当社創業者の坂口太一は、創業前には毛織物の問屋で働いていました。そのとき、営業先の仕立屋の人たちが大量の汗を流して炭火アイロンに火をくべている姿を見て、負担を軽くできないかと、工業用電気アイロンを発案し、実用化に成功。それが当社の始まりです。新たな技術開発に挑み、人と社会に貢献したいという思いは、昔から、そしてこれからも変わりません」(蜂谷社長)
製造実習でものづくりを体験 全社で成功事例を共有
同社の新入社員は、約2カ月間の研修からスタートする。そこで社会人としてのマナーや会社の歴史、概要、社内業務について学ぶとともに、製品サンプルを作る製造実習も経験するという。
入社4年目、秋葉原本店営業部の菊地さんは、「小さなヒーターも丁寧に作られていることに驚きました。製造工程を学んだことで、お客様と電話やメールでやり取りする際にも、具体的に製品をイメージして話を進めることができます」と話す。
また、「パワーアップ研修」と題した全社員参加型の社内勉強会を年に1回実施。これは、各部署の社員が顧客への提案案件や製品開発などにおける成功事例を発表し、社内でノウハウを共有化するのが狙いという。
「お客様のニーズに対する提案やものづくりにおける工夫、苦労したポイントなど、具体的に事例をプレゼンします。勉強会を通して、自分の提案の引き出しを増やすことができますし、詳しく知りたいことは発表者から直接、話を聞くこともできるので、新しいアイデアや発想を得る有意義な場になっています」(入社13年目、SN営業部の渡邉主任)
有給休暇の取得率も高く、子育てと両立しやすい環境
子育てと両立している社員が多い同社。産前産後休業と育児休業取得後の復職率は100%で、短時間勤務制度を活用して無理なく復帰しているという。
菊地さんも、結婚・出産を経ても働き続けられる環境に魅力を感じ、同社への入社を決めたという。ライフ・ワーク・バランスも充実しているので、働きやすいと話す。
「毎日ほぼ定時に退社できるので、友人との食事や買い物など、平日もプライベートの時間を楽しんでいます。また、有給休暇も毎年9割以上を消化しています。休暇中には同僚が業務を引き継いでくれるので、安心して休めます」(菊地さん)
さらに、3人のお子さんの父親である渡邉主任も、「子どもの学校行事には有給休暇を取得して参加しました。また、3人目が生まれたときには、特別有給休暇である出産休暇を取得し、家族に寄り添うことができました。周りの社員も配慮してくれて助かります」と、制度を利用しやすい環境だと語る。
役員からメッセージ
周囲を巻き込み、チャレンジできる人 当社が求めているのは、チャレンジ精神が旺盛で、リーダーシップを発揮できる人です。そうした人と一緒に学び、成長し、新たなイノベーションを起こしていきたいと思っています。例えば、入社4年目の社員が窓口になった案件に、テーマパークで展示する模型ロケットの噴射ガス発生装置の製作がありました。発射時に噴き出す煙を緻密に再現したいという相談を受けたその社員は、技術部につなぎ、ヒーターを使った仕掛けを開発しました。そのように周囲を巻き込みながらチャレンジできる人を広く求めています。
●第24号 (2021年3月発行)掲載 ※掲載内容は発行日時点のものです。