社員同士が連携しスキルを高め続け、「はかる」技術で災害を未然に防ぎ安全を守る
<3つのポイント>
●計測機器を開発・製造するパイオニア
●育児や介護との両立ができる環境を整備
●社内外の研修で製品開発のスキルを磨く
災害を未然に防ぐ多様な製品の 製造から設置まで手掛ける
坂田電機は、トンネル掘削やビルなどの建設時に必要となる、地盤強度を測る土圧計や、地すべり計といった計測機器の製造、販売、設置まで手掛けるパイオニア企業。
「土木関連の測定機器は、直接、見ることのできない地中を様々な方法で測定することで、その状態を把握できます。ビルや橋、トンネルなどの構造物の工事に活用されるとともに、土砂崩れなどの災害を未然に防ぐことに役立っています」と説明する坂田社長。社員が生み出した数々の技術で、特許や技術賞を取得しているという。
さらに今、導入に力を入れているのがIoT水位計。頻発する台風などによる水害対策として、中小河川への設置が急がれる計測機器で、ニーズにいち早く対応しようと取り組んでいる。
IoT水位計の開発に当たっては、国土交通省が推進するプロジェクトに大手通信キャリアとともに参加。中小河川の水位観測網の充実を図り、洪水時の迅速な避難を目指すもので、2017年に実証実験を終えている。
こうしたプロジェクトに、メーカーとして単独で参加できる同社の最大の強みは、顧客の要望に応じた製品をワンストップで提案できる点にある。測定を行うセンサー、センサーのデータを収集する測定器、そして測定器からパソコンやスマートフォンにデータを転送する通信機器まで自社で開発、製造し、さらに設置まで手掛けている。
「これによって、様々な知識を蓄積することができ、さらなる新しい技術開発につなげています」(坂田社長)

働きやすい環境を創出し 社員とその家族を守る
創業以来、「社員と社員の家族を守る」をテーマに掲げてきた同社では、社員の健康に配慮するとともに働きやすい環境づくりに力を注いでいる。
社員の健康維持については、定期健診後のフォロー体制も整え、産業医が個人面談をして生活改善をアドバイスするなど、生活習慣病の予防に努めている。
また、子育てや介護と仕事の両立が図れる環境整備にも積極的で、介護休業や介護休暇を活用している社員も多いという。
さらに、残業時間の削減にも取り組み、社員の仕事量を客観的に把握し、仕事のウエイトが個人に偏らないよう、現場管理者が個々の社員の仕事量をコントロールしているという。
「仕事のバランスを配慮してくれるので、有給休暇も取得しやすく、ゆっくりと休めます。また、独身寮への補助があるのも若手社員にはありがたいです」と入社4年目、計測工事部に所属する早瀬さんは、自社の魅力を語る。

ジョブローテーションで複数部門を経験、適性を知る
同社が画期的な計測機器を開発してきた背景には、社員の高いスキルと未知の領域にチャレンジする姿勢によるところが大きい。そんな優れた社員を育てる研修も充実している。
入社後の新入社員研修は、座学で社会人マナーや自社の事業概要を学んだ後に約1カ月間掛けて、営業、設計、製造、工事などの主要部門を回り、業務内容を把握するところから始まる。実践的な知識が得られる製造現場や、実際に機器が設置される現場にも出向くという。
その後は、各配属先でメンターとなる先輩に付いてOJTで知識を身に付けていく。また、入社数年のうちに2、3カ所の部門を経験するジョブローテーションも取り入れており、複数の業務を経験することで、自分自身の適性を発見する良い機会になっているという。
同社では、さらなるスキルアップを図るため、外部研修の受講や資格取得も積極的にサポートしている。
入社4年目、技術部でIoT水位計の設計を担当する藏谷さんも、外部研修で新たなスキルを習得した一人。
「機械を自動制御するPLCと呼ばれる装置を開発するため、社外でプログラム講習を受けました。そこでの知識が、装置開発に生きました」と研修の成果を笑顔で語る。

社長からメッセージ
自分のアイデアを製品づくりに生かそう 当社が社員に求めているのは、自分のアイデアを持ち、それを練り上げて相手に伝える力です。そして、相手のアイデアもよく聞いて、製品づくりに役立てていく力も欠かせません。当社の経営理念は「お客様に役立つシステムの創造を喜びにしよう」。そのために、自分一人ではなく、チームや部署を越えて、全社で協力し合う気持ちが必要です。そんな姿勢で仕事に打ち込める人ならきっと当社で輝いてくれるだろうと考えています。ぜひ、一緒に社会に役立つ製品づくりに取り組み、災害から多くの命を守っていきましょう。


●第24号 (2021年3月発行)掲載 ※掲載内容は発行日時点のものです。