「銀ロウ付け」の技術を後世に残す。女性が生き生きと活躍する金属加工会社
<カイシャの特徴>
●事業内容: 銀ロウ付けに特化し、技術の可能性を広げる金属加工会社
●育成制度: 複数の業務を担いながら上司・先輩に見守られて成長を続ける
●働く環境: 残業時間の削減や、週1回の全社会議で働きやすい職場を目指す
銀ロウ付けの設計提案を強みとして生かす設立60年超の金属加工業
佐藤製作所は、1957年の設立以来、顧客からの依頼に合わせて様々な金属加工を行ってきた。同社が得意とする加工技術は「ロウ付け*」と呼ばれる溶接の一種。中でも、加工難易度が高い製品や微小な部品、高い品質が求められる部品への対応が可能な「銀ロウ付け」を強みにしているという。
同社は、銀ロウ付けの高い技術を生かして、放送通信機器や無線通信インフラの分野で事業を展開し、近年は医療関連機器分野や雑貨などにもジャンルを広げている。
その一方で、銀ロウ付けを行うことのできる人材は年々減少しており、技術が継承されていないことが大きな課題となっている。そこで同社では、約7年前から若手人材の積極的な採用に踏み切った。
「これまでに20代の女性5人が入社しました。社内が活性化しただけでなく、細やかな視点が検品作業や工程管理でも奏功するなど、様々な面でプラスの変化が生まれています」(佐藤常務)
結果として、受注する案件の幅もこれまで以上に広がり、業績も上昇を続けているという。
同社が手掛けるような職人の手による銀ロウ付けは、工業分野でオートメーション化が進んでいることもあり、飛躍的にニーズが高まることはないだろう、と話す佐藤常務。
「しかし、銀ロウ付けは機械で行うと逆にコストがかかります。ですから、ニッチな技術として職人の手作業による銀ロウ付けが今後も残っていくはずです。その結果、銀ロウ付け、そしてそれを行える職人に対する相対的な価値は上がっていくと考えています。今後は電気自動車に欠かせない蓄電池など、成長産業の分野にも参入していきたいです」
なお、同社では本社のある目黒区で一般に向けた金属加工教室なども開催し、銀ロウ付けという技術の認知度向上にも尽力しているという。
*ロウ付け:銀などの合金(ロウ材)を溶かし接着剤のように用いて、部材を接合させる技術

一つの業務専任ではなく兼任していくことで、仕事の理解を促進
新入社員には、同社が手掛ける製品について覚えてもらうため、まずは検品作業の担当からOJTがスタート。小さい組織ということもあり、一つの仕事に特化するのではなく、幅広い業務を兼務することで仕事の流れを学んでもらうのが育成ポリシーだという。
「新人の頃は、佐藤常務に日報を提出し、毎日コメントをもらうことで仕事への理解を深めていきました。図面の見方から営業ノウハウまで幅広く学ぶことができました」と言うのは、主に広報を担当しながら営業や個人客から持ち込まれた製品の修理などを担当する、入社3年目の佐々木マネージャー。
佐藤常務だけでなく、先輩社員一人ひとりがアドバイスをしながら、全員で新人を育てていく風土が社内に息づいていると話す。
なお、積極的に若手人材を採用した結果、同社の女性比率は約5割となり、今では金属加工の現場作業を含め、女性社員が幅広い業務を担う。男性中心だったものづくり企業において、女性活躍の場を創出したことが評価され「令和3年度東京都女性活躍推進大賞」を受賞した。現在では、インターンシップ参加学生が入社を希望するといった雇用面での好循環が生まれている。

業務の協力体制を整えることで、残業時間の削減を実現
人材育成において、若手社員に様々な仕事を兼務してもらうという同社。この方針は働きやすさの面でも役立っている。
「一人ひとりがある程度の経験値を備えているので、特定の社員に業務が偏ることがなく、業務の効率化が図れています」(佐藤常務)
効率化は残業時間の削減につながり、終業時刻の17時30分に対して18時にはほとんどの社員が退社しているという。
同様に有給休暇に関しても、申請すればスムーズに取得できる体制が整っている。入社2年目で主に生産管理を担当する松井さんも、「働きやすい職場です。上司から言われているのは、『休む前日に周囲に声を掛けて』くらいです。先日は有給休暇を2日取得して、旅行へ行ってきました」と話す。
この他にも週に1回、全社員が参加する会議を行い、情報共有や課題の提起を行うなど、会社全体で働きやすい環境づくりに取り組んでいる。


常務からのメッセージ
時間をかけて誰にも負けない技術や知識を身に付け、その可能性を広げていきたいと願う若者たちと是非一緒に働きたいです。

読者からひとこと
お客様ニーズに沿って技術を継承する!
積極的な採用活動で、これまでに20代の女性が複数名入社しているということが、企業の魅力を物語っていると感じました。また、入社3年目で広報という会社の顔になることができるなど、若手に任せてもらえる環境はとても魅力的です!

●第32号 (2023年2月発行)掲載 ※掲載内容は発行日時点のものです。