多様な勤務形態や、ゆとりある人員配置で 人間力を高め、障害者の自立をサポート
<カイシャの特徴>
●事業内容:身体・知的・精神の三障害を対象に、障害福祉サービスを提供
●働く環境:職員の約8割が女性。選べる勤務形態で、あらゆる職員を応援
●育成制度:法人負担で資格取得。地方での外部講習への派遣も盛ん
障害者が自宅で暮らす ことを目指して、2つの施設を運営
スモン*の当事者である前会長、故相良丰光(よしみつ)氏によって設立された全国スモンの会。現在は、障害者総合支援法に基づき、身体・知的・精神の三障害のいずれか若しくは複数を抱える障害者に向けて、入所及び通所でのサービスを提供している。
同法人が目指しているのは、障害者が自宅に戻り、地域で自立して生活できるようになること。そのために、一人ひとりに寄り添った支援計画を立てて訓練を行う。
「障害者支援施設『曙光園』での社会訓練と生活訓練を経て、グループホーム『アゼリア』で実地訓練を行っていきます。昨年はグループホームを卒業して、一般就労した利用者もいました」(相良理事長)
状況によっては自宅に戻るのは難しく、長く施設で生活する利用者もいる。その場合でも自分らしく尊厳を持って生活できるよう、同法人では接客という概念を大切にしてコミュニケーションを図っているという。
「例えば、事故による高次脳機能障害で感情の抑制が効かないケースがあります。どのような対応をしたら理解してもらえるのか、感情に寄り添えるのか、職員同士で話し合ってサービスすることが大切です。そして、『ホテルのようなサービスを目指そう』と職員に声掛けしています」(相良理事長)
日本で最初の薬害訴訟のきっかけとなったスモン。後天的に障害を持つことになった故相良前会長の「障害者が社会の裏側で生活していくような理不尽はあり得ない」という強い思いが同法人の根幹にある。そのため、障害があっても可能な限り本人の能力を生かして仕事をして自宅で生活をしてもらうことを、設立当初から一貫して目指している。
また、曙光園はスモンによって中途の身体障害者となった人が入所していた経緯もあり、他の施設と比べて中途の障害者の割合が高いのも特徴である。
「当法人は、中途の障害者が、怪我や病気による入院を終えた後で、自宅に帰り地域で生活できるように、橋渡しをしているのです」(相良理事長)
*スモン(Subacute Myelo-Optico-Neuropathy: SMON)は1950年代から70年にかけて日本で発生した薬害による神経障害
多様な勤務スタイルと 互いに支え合う環境で、女性活躍を推進
同法人の雇用形態には、夜勤がある正職員だけでなく、平日日勤のみの準正規職員や週30時間勤務の短時間正規職員、非常勤職員と4つの種類がある。新卒は、基本的に正職員からスタートするが、長く働く中で育児や介護との両立など、ライフステージの変化に合わせた勤務も可能となっている。また、女性の社会進出を応援したいという思いからシングルマザーの採用にも積極的だという。
「女性が活躍している職場です。子どもの病気で急に休むときでも助け合う気風がありますし、職員の配置人数が基準以上と手厚い点も安心です」(入社10年目、生活支援部の横主任)
また、有給休暇は月平均で1.5日の取得実績があり、ライフ・ワーク・バランスを実現している。
さらに、福利厚生制度として外部のパッケージサービスを導入しており、例えば宿泊施設などの各種割引が利用できるほか、職員一人ひとりに電子マネーが年間5,000円分付与される。
「新婚旅行で結婚休暇を取得した際に、リゾートホテルの割引が利用できました。様々なサービスがあり職員に好評です」(入社5年目、生活支援部の佐藤主任)
資格取得に向けて法人がサポート。外部研修で人間的成長も。
同法人は職員の資格取得も奨励しており、利用者のためになると認めた資格取得や外部講習受講に関する費用を負担。受験日の直前は必要に応じて公休を設定しやすいようにしている。
また、外部で多様な経験を積むことも重視しており、沖縄の離島にある障害当事者が運営する民宿で、他法人の職員と共に行う研修などもある。狭い世界の中だけでなく、いろいろな環境を知ることで人間的に成長してほしいという願いが込められている。
「現在までに、介護福祉士やサービス管理責任者などの資格を取得してきました。ほかの施設の職員と交流する研修では、日常生活の支援に関する気付きが広がったと思います」(入社9年目、生活支援部の柴田主査)
理事長からのメッセージ
自分の良いところを10個書き出せるように常に意識してみましょう。また、あいさつをしっかりできる人は誰からも評価されます。
読者からひとこと
女性が成長しながら長く働ける職場!
職員同士の円滑な交流で、個人に合わせたサービスを目指している点が素晴らしいと感じました。また、様々な雇用形態と資格取得サポートが充実しているのも女性にとって魅力的です。支援について深く考えることが可能だと思いました。
●第30号 (2022年10月発行)掲載 ※掲載内容は発行日時点のものです。