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株式会社ぼのぼcorporation

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各種支援制度の後押しを受け 建物の安全・安心を守る構造検査で躍進

各種支援制度の後押しを受け 建物の安全・安心を守る構造検査で躍進

建物内部にエックス線などを当てて構造物に異変がないかを検査するぼのぼcorporation。建築物のいわばレントゲン写真を撮るという作業で、建物を利用する人々の安全・安心を守っている。そんな同社には、社員を技術者として育成する制度や、ライフステージに合わせた柔軟な働き方ができる仕組みが整っている。

建物を守る検査で事業規模を拡大

 ぼのぼcorporationが手掛けているのは、エックス線装置やレーダー装置を駆使して、壁や床、柱の内部構造を探る「非破壊検査」。例えばエアコン等の施設業者が、取付工事を行う際には壁にパイプを通す穴を空けるが、鉄筋コンクリートの建物の場合、万が一、鉄筋を傷付ければ壁の強度が落ちることもある。そこで、同社の技術者は、エックス線装置で鉄筋の通っていない場所を探し、依頼主である施工業者等に情報提供している。
 一般的にあまり知られてはいないが、通風ダクトの施工の他、床を支える土台を据え付けるためのアンカーボルトや階段の手すりの脚をコンクリートに打ち込む工事にも、鉄筋や埋設物の場所の確認は重要で、建物の安全を守る要の作業になっている。
 同社はもともと電気・空調設備等のケーブルや配水管を増設する際に、コンクリートの壁や床に穴をあけるなどの施工業者としてスタートしたが、田口社長は「これは、絶対に欠かせない検査になる」と非破壊検査装置への設備投資を進めたという。
 「必須の検査ではないため、当初、工事の費用を抑えたい発注主からは、省いてくれと言われることもありました。ところが、近年、壁や柱の強度に厳しい目が注がれるようになると、検査だけの依頼が殺到するようになりました」と振り返る。
 もちろん、装置を揃えただけでは検査はできない。エックス線で撮影したフィルムには鉄筋や配管などが複雑に入り組んだ映像が写し出されているため、それを見て頭の中で立体的にイメージを膨らませ、どこに何があるか、何がないかを判断できる力が求められる。一人前の読影ができるようになるには、「少なくても3年の経験が必要」(田口社長)といい、同社では、OJTを中心に未経験者でも正確な読影能力を身に付けられる体制も構築している。
 近年、非破壊検査は一般的になってきているが、一定数の技術者を有していることなどから同社への依頼は年々増え続けており、2018年の売上高は2006年比の5倍を超え、急成長を遂げているという。

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検査装置をそろえるだけでなく、技術者を育て上げる力が大切と語る田口社長

祝い金や手当で 資格取得を強力に支援

 エックス線装置を駆使して建物の構造を検査するには、「エックス線作業主任者」「非破壊試験技術者」といった国家資格が必要となる。入社時に資格を持っている必要はなく、多くの社員が入社後に行われる社内の勉強会で知識を深め、資格を取得している。勉強会のテキスト代、外部研修受講料、受験料まで会社負担。更に合格すれば祝い金として10万円が支給され、以後毎月2万円の資格手当が付くなど、取得を力強く支援している。
 入社1年目、技術部門の中村さんは、次回の試験での合格を目指している。
 「入社前はエックス線の知識は全くありませんでした。覚えることは多いのですが、先輩も優しく教えてくれ、無理なく知識を吸収できます」
新しい装置も次々に増やしているという田口社長。使用方法を学ぶためにメーカーの担当者を招き研修を開催するなど、社員の知識向上を支えている。

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新入社員も先輩社員たちとともに研修やミーティングに参加している

社員を第一に考えた 働きやすい環境

 葛飾区にある同社では、地元で働きたいと希望して入社した社員も多い。自転車・バイクでの通勤者には、月に5,000円の手当が支給されるなど、社員の実態に沿った制度が用意されており、社員にとって働きやすい環境が整っている。
 事務部門でチームリーダーを務める入社8年目の白井さんも、地元で就職先を探していた一人。自宅から自転車で通勤できるというキッカケで同社に入社した。
 「女性も働きやすい会社です。短時間勤務を利用中の先輩は、子どもの保育園のお迎えに合わせて、通いやすい勤務時間を会社と相談して決めています。この会社でなら長く働けると思いました」(白井さん)
 残業もほとんどないという。
 「一人が一日に担当する検査は1~2件。シフト勤務で休日も自由に選べ、全員で予定を共有します。その日に出社する人数はあらかじめ分かっていますから、キャパシティを超える依頼はお断りするようにしています」
 家族との時間を大切にすることで、モチベーション高く働いてほしいという田口社長。そのために、ライフ・ワーク・バランスへの十全の配慮に努めているという。

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「窓口業務にも専門知識は必要。先輩たちの助けを借りながら覚えていきました」(白井さん)

ここがポイント!働くやりがい!

住む人、使う人に安全・安心を届ける 建物の施主や居住者にとって、非破壊検査は安心な居住環境を確保し、資産価値を維持するための手段ともいえる。この検査は誰が何度行っても同じ評価が得られなければならないため、検査を行う技術者の技量が問われる。同社はいち早く人材育成に注力し、社員の検査力の向上に努めてきた。社員は責任の重さを感じながらも、自らの能力を発揮し、顧客や住まう人の安全・安心を支えることができるという実感が、働く喜びとなっている。

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社員の平均年齢は若く、上下関係も良い

●第19号 (2019年12月発行)掲載 ※掲載内容は発行日時点のものです。

企業情報

社名
株式会社ぼのぼcorporation
設立・創業年
設立年 1997年4月
資本金
3,000万円
代表者名
代表取締役社長 田口 義春
従業員数
20名(内、女性従業員数3名)
所在地
124-0021 東京都葛飾区細田3-8-2
TEL
03-3673-5402