手厚い研修で技術を高め、手作業のめっき加工を通して社会インフラを支える
<3つの特徴>
●インフラ設備等に欠かせないめっき加工
●社員が快適に働ける環境を整備
●技術とビジネススキルを磨ける各種研修
手作業にこだわり 顧客のニーズに応える
深田パーカライジングは、「溶融亜鉛めっき」や「電気めっき」などを扱う創業86年目を迎える老舗企業。溶融亜鉛めっきは、橋梁や送電線鉄塔、道路の標識などインフラ設備のさび防止として使用されている。一方の電気めっきは、電気を通しやすくする等の機能を付与する特性に優れ、大電流を流す発電装備の部品や送電・配電用の部品などにも用いられる。
「溶融亜鉛めっきと電気めっきは方法が全く異なるため、両方を手掛ける企業は珍しいといわれます。さらに、当社最大の特徴はめっきを全て手作業で行っている点です。そのため他社にはできない複雑な形状の製品や素材・加工方法のめっきも可能で、多品種小ロットにも対応でき、お客様から喜ばれています」
自社の強みをそう説明するのは深田社長。高い技術力でより多くの顧客を獲得し、年間1,000社以上との取引があるという。
めっき業界は熟練工の高齢化などにより、人材確保が大きな課題となっている。そんな状況を克服すべく、同社では熟練工を積極的に再雇用し、若手社員への技術継承役として活躍してもらっているという。
「ベテランの職人的な技術だけに頼っていたのでは会社の発展が止まってしまいます。当社では、熟練工の優れた技術をIoTやAIを活用してデータ化し、経験の浅い社員でも同じようなレベルで品質維持ができるシステムを構築しようというプロジェクトを進めています」(深田社長)
新卒採用も積極的に行い、大田区で初めてユースエール認定(若者雇用促進法に基づく認定)を受けた同社。現在、社員の半数を20代~30代の社員が占めるといい、若い社員への技術の伝承を進めている。
オフィス整備や休暇取得推進で 働きやすい環境を作る
同社では現場で働く社員に快適な環境を提供するため、冷暖房完備の休憩室などを備えた新社屋を竣工し、休憩時間を心地よく過ごせるようにした。
また、バランスの取れた働き方にも配慮しており、余裕を持った納期を設定することで、残業は月平均8時間程度。有給休暇の取得率も90%以上と、気兼ねなく休みを取れる環境だという。
さらに、子育て世代を支援するため、女性はもちろん男性にも有給の育児目的休暇の積極的な取得を推奨している。
そんなライフ・ワーク・バランスの充実を進める環境の中で生き生きと働くのが、化工3課に所属する入社2年目の寺西さん。
「見積書の作成などの事務や検品を任されています。ほとんど定時で仕事は終わりますからプライベートの計画も立てやすいです」
また、新しいことにチャレンジさせてくれる社風も同社の特徴と寺西さんはいう。
「仕事の効率化のため、今まで手書きで行っていた納品物の管理をシステム化できないか専務に提案し、実現しました。これからも新しいことをどんどん提案していきたいです」
OJTや「めっき学校」を通して 高い技術を身に付けられる
技術力の高さに定評のある同社は、若者の人材育成にも力を入れている。
新入社員はOJTで技術を磨くとともに、入社2~3年目の若手社員は、めっき業界の組合が主催するめっき学校で1年間学ぶことができる。座学と実習で、めっきの基本から幅広い技術を習得できる絶好の機会になっていると好評だという。ビジネススキルについては、幅広い階層・職種に対応した300テーマ以上の社外講座が受講できる。いずれも研修費用は全て会社負担。人材の成長こそが企業の成長という考え方で社員をサポートしている。
「めっき学校では自社では行っていない手法を学べるので、より広い知識を身に付けることができました。これからも技術を高め、1級めっき技能士の資格取得にも挑戦したいです」
そう語るのは化工3課の尾熊さん。入社8年目ながら形状が複雑で難しいとされるめっきを担当し、新しいめっき施工ラインの開発メンバーとしても活躍中だ。
先輩からメッセージ
柔軟な思考を持ち仕事を工夫できる人
当社のめっきは全て手作業。初めて見る形状の製品や部品にめっきを施すこともあります。そんなときに大切になるのが柔軟な発想です。これまでの経験を生かしつつもアプローチを変えるなど創意工夫をしながら、より良い方法を編み出していくことが求められます。もちろん、入社時にはめっきに対する知識はなくても問題ありません。入社後に、仕事や研修を通して専門知識や技術を身に付けられます。ものづくりに携わりたい、ものづくりに関わる技術を磨きたいという方には、やりがいのある仕事だと思います。
●第22号 (2020年10月発行)掲載 ※掲載内容は発行日時点のものです。