ウェブデザイン、紙媒体のデザイン・DTP※、システム開発の３本柱で事業を展開するガジェログ。顧客層は幅広く、医療、広告、金融、証券など、様々な業種に向けてサービスを提供している。
　部門はディレクター職とデザイナー職の２つに分かれ、ディレクターが顧客との交渉や進行管理を行い、デザイナーが制作物を生み出していく。ガジェログの最大の特徴は、営業職が存在しないところ。一般的な会社で行われる電話営業などは、一切実施していない。だが、営業を置かずに、どのように仕事を受注しているのだろうか。その仕組みについて、松田代表は、「当社の仕事は、お客様からの相談を受け、そこから始まるケースが大半です。お客様が困っていることを解消することで信頼を得て、仕事へと結び付けてきました。ですから、社員に対しては、困ったときに相談される存在になってほしい、と繰り返し言っています」と説明する。
　“相談される存在” というと、「相手の要望を100％受け入れる」と思いがちだが、ガジェログでは捉え方が違っている。その考え方が凝縮されているのが、「本気で考える、本気で発言する、すべてはお客様のために。」という経営理念だ。松田代表は、クオリティーを高めるためには、顧客に対して自分の意見も言っていく必要があるのだという。
　「もちろん、お客様の要望に真摯に対応することは重要です。けれども、デザインのプロであるからには、その要望を踏まえた上で、更に上をいく提案ができなければなりません。お客様の想像を超えるデザインを提案し、そこから信頼を得る仕事をするためには、経営理念にあるように、本気で考え、本気で発言していかなければならないのです」

※　DeskTop Publishing、パソコン上で印刷前のデザインや制作工程を行うこと。

　新入社員に対しては、年齢が近い先輩が教育係としてマンツーマンで付き、仕事に関する不明な点や生活上の悩みなどを、いつでも気軽に相談できるようになっている。また、OJTでは経験豊富な社員が中心に新入社員をフォロー。サポート体制が充実しているため、顧客対応などの責任のある仕事も、１年目から経験を積むことができる。
　入社１年目でアシスタントディレクターを務める齋藤さんは、「急スピードで新たな技術が開発されるウェブの世界に興味を持ち、ガジェログに就職を決めました。学生時代にウェブを学んだ経験はないのですが、何でも相談できるアットホームな雰囲気があるので、不安を感じることなく、仕事に臨めています。先輩社員のように、最前線で働くディレクターに１日でも早くなりたいです」と語る。
　顧客に対するデザイン力と提案力を武器に、成長を続けてきたガジェログ。更なる成長に向けて、松田代表は以下のように話す。
　「お客様の多様な要望に対して、期待を超えるデザインやサービスを提供するためには、様々な能力の集合体でなければなりません。デザイン力が突出した社員もいれば、コミュニケーション力や企画力が優れた社員も必要です。それぞれの社員の力が結集したときに、一人の力では成し得ない心に響くデザインが生み出せるのだと思います」